第6話


 桃香が二歳の誕生日を迎えた数日後から、二十四時間開いているスーパーで深夜のレジ業務の仕事に就いた。仕事といってもパート勤務だったので、生活費にすらならないような給料しか得ることができなかった。どこかで正社員になって働いて、細々とでも生活できるだけの金額が稼げるようになりたいところだったが、高校中退の中卒で、しかも幼い子がいるような私などどこの会社も受け入れてはくれなかった。


 保育所が付いているような優良な企業には無縁な私は、毎晩桃香を寝かしつけてから不愉快に明るい夜のスーパーで商品のバーコードをスキャンしていた。立ちっぱなしの仕事で辛かったが、それ以上にスキャンするときのピッという音や店内で延々流れ続けているBGMが家に帰っても耳に残ることが大きなストレスで、仕事を始めたばかりの頃は頭がおかしくなりそうだった。


 店は深夜でも以外に客は多く、手早く清算を済ませて客を捌いていくうちに時間は過ぎていった。そして空が白み始めた明け方頃に家に帰って、数時間仮眠を取ったら桃香の世話と家事。慢性的な睡眠不足になりながらも私と桃香の将来のためにひたすら頑張った。

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