羽前合体グランドイデハ

「なんだあのロボットは?」

突如として現れた三体のメタルクベーラに太郎松は驚愕する。

「ならば與次郎よじろうやってしまえ!!」

與次郎狐がロボット形態となった三体のメタルクベーラに襲いかかる。

「そいや!」

三体は與次郎狐を軽々とかわし、個別攻撃を仕掛けた。


オン阿毘羅アビラ吽欠ウンケン娑婆訶ソワカ!羽黒流退魔術!ハグロキャノン!」

ードシュウドシュウ

大日如来真言を唱えた黒刃=ハグロジェットが與次郎狐に向かって翼に付いたキャノン砲からビール砲を放つ。

ードーン!

與次郎狐は怯み、動きを止める。


オン阿毘羅アビラ吽欠ウンケン娑婆訶ソワカ!羽黒流退魔術!樹氷結!!」

ーヒュオオオ

同じく大日如来真言を唱えた衣月=ガッサンウィングが両手のひらを與次郎狐に向けると、風が巻き起こって與次郎狐を巻き上げ、與次郎狐を凍結させてしまった。


オン阿毘羅アビラ吽欠ウンケン娑婆訶ソワカ!羽黒流退魔術!双炎波!!」

ーボオオオ

湯子=ユドノランチャーのランチャーアームから火炎放射が凍結された與次郎狐を目掛けて放たれると、氷と火の温度差から樹氷結にヒビが入り、與次郎狐ごと爆散したかに見えた。

「やったあだ?」

「反応は消えていません!」

なんしたどぉなんだって!?」

與次郎狐が落ちたの先は新庄市内の違法産業廃棄物処理場だった。與次郎狐はヨレヨレになりながらも処理場内の産業廃棄物を食いつぶし、回復したどころかますます力をつけた。

そして再び新庄市街地に現れた。

「なんてごんだ…」

「ちゃっちゃっど終わると思っていたえでば…」

「皆さん、羽黒流退魔術の奥義を見せつける時が来ました!」

「アレか!」

「秋の峰、十界修行に耐えた皆さんなら出来るはず…」

ミツハは地上から三体のメタルクベーラに向かって合掌印を組むと、稱言たたえごとを唱え始めた。

月山大神つきのみやまのおおかみ出羽大神いではのおおかみ 湯殿山大神ゆどののみやまのおおかみと身健やかに 世のため 大御名おおみなたたまつりて 出羽三山大神みつのみやまのおおかみ 大神大神御稜威赫灼尊哉おおかみおおかみみいつかがやくくとうとしや大神大神御稜威赫灼尊哉おおかみおおかみ みいつかがやくくとうとしや 大神大神御稜威赫灼尊哉おおかみおおかみみいつかがやくくとうとしや…羽前合体、承認!」

「羽前合体!!」

ミツハが稱言たたえごとを唱え終わると、ハグロジェット、ガッサンウイング、ユドノランチャーの三体は変形合体を始めた。


ハグロジェットは腕パーツとなっていた旅客機の前部が胸内に格納され、下半身を構成していた旅客機後部は腰パーツとなった。


ガッサンウイングは背後のウイングブースターと、E3系の先頭部分が取り外され、腕・頭・脚が畳まれてつま先パーツが現れた。


ユドノランチャーは同じく背後のランチャーアームブースターとE653系の先頭部分が取り外され、腕・頭・脚が畳まれてつま先パーツが現れた。


ガッサンウイングが左脚に、ユドノランチャーが右脚となって左右連結合体し、その部分へハグロジェットの尾翼パーツが腰パーツとなって合体し、下半身が完成。


E653系先頭パーツにユドノランチャーが変形し、腕パーツが伸びて合体、右腕パーツとなる。


E3系先頭パーツにウイングブースターが変形し、腕パーツが伸びて合体、左脚パーツとなる。


完成した両腕パーツが変形したハグロジェットと連結合体し、上半身パーツとなる。


上半身、下半身パーツが合体したところで、上半身のハグロジェットから新たな頭部が現れ、眼に光が灯る。

「羽前合体、グランドイデハ!!」

出羽三山の力と田村麻呂の力が一つになった山形県の守護神が今、降臨したのであった。

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