超訳田村草子・新世紀陸奥話記〜東北防衛ロボットと巫女達の伝説〜

羽黒神子メタルクベーラと融合合身する

村山盆地の北部、最上地方の中心都市、新庄市

狐型の機械獣と化した與次郎（よじろう）狐（ぎつね）は新庄市街地を荒らしていた。

「きゃー助けてー！！」

「でっけぇ狐っこだなや！？」

「みなさんおちついてください！避難経路はあちらです！ぎゃあっ！」

ーバリン

ーグシャグシャ

與次郎狐は市街地を封鎖していたパトカーを一台喰らい、体内に飲み込んだ。

ーゴクン

「グハハハ與次郎よ、貴様は現役の機械を喰らい取り込み力とする！働く機械を食い尽くし、最上郡を恐怖のどん底に突き落とすのだ！」

太郎松が上空から新庄市街地を見下ろしながら與次郎狐を励ます。

そこへー

「そこまでだでば！」

「紅花の翼がいなほを携え、齎す平和の羽！出羽高校退魔部、魔がありし所に只今到着！！」

ハグロジェット、ガッサンウィング、ユドノランチャーの三機が新庄市上空に近づいてきた。

バグロジェットの黒刃が合掌印を結び、

「綾（あや）に綾（あや）に奇（くす）しく尊（たふ）と 出羽神（いではのかみ）の御前（みまえ）を拝（おが）み奉（たてまつ）る！」

ガッサンウィングの衣月も合掌印を結び、

「綾（あや）に綾（あや）に奇（くす）しく尊（たう）と月山神（つきのみやまのかみ）の御前（みまえ）を拝（おが）み奉（たてまつ）る！」

ユドノランチャーの湯子も合掌印を結び、

「綾（あや）に綾（あや）に奇（くす）しく尊（たう）と 湯殿山神（ゆどののみやまのかみ）の御前（みまえ）を拝（おが）み奉（たてまつ）る！」

3人が操縦席の中で羽黒派古修験道の「三山拝詞」を唱えると、メタルクベーラの操縦席の外に飛び出し、ミツハも外に降り立った。

「融合合身！」

黒刃、衣月、湯子の3人が唱えると、ハグロジェット、ガッサンウィング、ユドノランチャーが人型ロボットに変形を始めた。

「でりゃああっ！！」

ーキュイーン

黒刃はハグロジェットと、衣月はガッサンウィングと、湯子はユドノランチャーと、それぞれの太多須嬉（ふとだすき）から顕れた光に包まれて光の球となり、それは変形完了した各メタルクベーラに滲み入るように融合し、融合合身が完了した。

「羽黒派古修験道の羽黒神子、神命を帯びて只今ロボットとならん！」

羽黒山、湯殿山、月山の守護ロボットがここに現れたのだった！