発進!イワシロジェット
各自自分の部屋に戻った12人の寮生は机の前に田村麻呂より授かりし如意輪陀羅尼神呪経を置いた。
如意輪陀羅尼神呪経をトランシーバーの要領で全部屋の寮生に伝える。
「みんな、準備はいい
「OK!!」
「ようし…出動!!」
最後に常盤明純寮長の机に如意輪陀羅尼神呪経がセットされると、うつくしま寮全体に光が走る。
-ゴゴゴ
するとうつくしま寮の外観は変形し、大型のジェット機になった。
その過程で寮内では、
寮母個室
「それでどうして東京から?東京の方がいいのに…」
-ゴゴゴ
「あ?地震?理事長先生!」
「心配要りませんよ。孫達に託された力を信じましょう」
「何言っているんですか?開かないっ…?」
磐如と美冴が缶ビールを飲んでいる寮母個室は完全に閉められ、モニターが展開され、テレビが勝手に灯いた。
寮内の個室は椅子と机が廊下を移動して広間に自動的に集められ、広間にはモニターが多数展開し、机にはタブレットが多数展開された。
寮生もそこに集められ、机からケーブルが出てきては各自のスマートフォンと繋がった。
ただ龍美、剣、勝代、光美の4人に加え、鶴子、桐花、1年2組弓道部員の
会津誠道高校のブレザージャケットを脱いでソファーの背もたれに預けると、ソファーは水平斜めになり、各自が滑り台のように滑り落ちる中、機械的にロボットアームで単、袴、手甲を装着され、大正浪漫を感じさせる和服姿になった。
袴姿になった8人は滑り台の先にある機械的な座席に滑り込むように座り、光美の座席のみが寮の廊下をレールでイワシロジェットの操縦席へ移動し、残る7人はその場で待機した。
-ゴゴゴ
イワシロジェットの発射台がせり上がり、発進音が鳴り響く。
「イワシロジェット、発進!」
-ドゴォッ
光美の号令でうつくしま寮が変形したイワシロジェットは轟音を鳴り立てて会津盆地の空へ飛び立った。
向かう先は雷獣が逃げ込んだ会津地方の南の南、南会津町田島地区である。
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