第7話 食料大漁ゲット

そして俺達は音のする方向に走る。

しかしそこにいたのは、先ほどジュリが言った身の丈をゆうに超した、

3メートルほども有るブラッディホーンラビットだった。

おまけに普通は白い角が、こいつの角は透明で輝いている。


「……大物ですね。」


ジュリは茫然とし呟やいた。


「なあジュリ、あの角ってなぜ透き通っているのかな。」


「すいません、分かりません。」


「だよな、

まあ取りあえず捕まえてみようか。」


そうですねとジュリがいきなり呪文を唱えようとしている。

多分ハーディンをやつに掛けようとしているんだろう。  


「だめだ!!ジュリやめるんだ!!」


俺はジュリを止めた。

ジュリはびっくりし、術を中断する。


「どうしたんですかお師匠様!私は何か仕出かしましたか!?」


「だってさ、動けなくなった奴なんて、すぐ捕まって運動にならないし、

つまらないだろう?」


俺は一応、運動も兼ねてと言った筈だけど。


「楽に獲物を捕まえるに、越した事ないじゃないですか。」


「楽に捕まえたくないんだよ。」


俺達が言い合いをしていたら、

赤ピョンはいつの間にか遠くに去って行ってしまった。


「ああ、ほらぁ、お師匠様がぐずぐずしているせいで、

逃がしてしまったじゃないですか!!」


ジュリがぶつぶつ言うけど、俺はそんな気はない。


「何言ってるんだ。逃がす訳ないだろ、あんな旨いもの。」


そういうと俺は体を宙に浮かせた。

走って追うより、この方が見通しもいいし早いんだ。

でもそんな俺を、ジュリが呆けた顔をして見ていた。


「お師匠様、一体いつの間にそんな真似ができるようになったんですか?」


あれ?お前俺が飛べること知らないかったっけ?


「お前といる時には、すでに飛ぶ事なんてできていたぞ。

それより早く追いかけないと、本当に逃がしてしまう。

先に行っているから、お前も早く来いよ。」


そう言うと、俺はやつを追い宙を飛んだ。



奴にはすぐ追いついた。

取り合えずジュリが来るまで足止めしなくちゃな。

俺はやつの足元に降りた。

さて、どうしようかな。

下手に攻撃して、打撲などすると肉が傷んじゃうし、

一番いいのは、血抜きを兼ねて失血死が一番いいんだけど、

それだとジュリの到着前に死んじゃうし、ウーン。

とにかく俺は再度宙を飛び回りながら、

奴の行く手に立ちふさがり時間稼ぎをする事にした。

何と無く、蚊かハエになった気分だ。

しばらくすると、ジュリがようやく到着した。


「ハァッハァッ、な、何遊んでるんですか…お師匠様。」


かなり息切れしている、日ごろの運動不足がたたってるみたいだな。


「だって、お前に花を持たせてやろうと思って、攻撃せずに待っていたんだぞ。

それよりお前、走って来たのか?」


「当たり前でしょう。

相手の所在地がわからないのに、転移魔法なんて使えません!

今度飛行魔法教えて下さいね。

それよりも花だなんだって、そんな心遣い無用ですから、

さっさとやっちゃって下さい。」


えー、せっかく待ってたのに。

まあ俺も多少運動になったからいいか。

せっかくジュリの為に、とっといたのになー、

まあ、ジュリも此処に来るまでが、けっこう運動になったみたいだし、

しょうがないやるか―。

俺はあっさり手刀で赤ぴょんの動脈を切断した。

するとすごい勢いで血が噴き出す。

おお、スプラッタ!!


「お師匠様……、もう少し他のやり方が、なかったんですか?」


見ると、ジュリはやつの血をもろ被り、真っ赤になっていた。


「すまんジュリ、やつと同じ色になってしまったな。」


ジュリはふて腐れながら自分にクリーンをかける。

やつの血をまき散らせないよう、あらかじめパウチで包むの忘れてた。

ごめんな、だけどもうひと運動できるぞ。

だって、その血の匂いを嗅ぎつけ、他の魔物がわらわらと集まっちゃたんだよ。

ここはダンジョンの最下層、結構手ごわい奴が多い領域。

クレイジービッグベアー1頭、ドードリオンが群れで5羽、スネークオブスネーキー2匹、

仕方ないので、すべて肉にダメージを与えないよう殲滅。

もちろんパウチで包んでからの処理済だ。

これ以上来ると、解体するのが厄介だから、

さっさとやる事やって、引き上げる事にした。

おかげで俺とジュリは、かなり運動不足を解消できたし、食料の肉も大漁だった。

アイテム?うん、そういえばそれも結構あったな。

ジュリ曰く、いったいいくらの値が付くのか分かりません。

あの大きなブラッディホーンラビットの角が、どう見ても金剛石だと言うんだ。

荷物はすべて、ジュリのアイテムボックスに詰め込んで、

帰りは走っていこうと言う俺の提案を断固拒否され

ジュリの転移魔法で帰路についた。

隠れ家に着き夕食まで待てなかったジュリは、早々にブラッディ―ホーンラビットの料理を始める。

疲れも見せずに一心不乱に調理する。お前の食べ物に対する執着心ってすごいな。

そして今は二人でテーブルをはさみ、旨いシチューに舌鼓を打っている。


「うーん。なんて美味しいんでしょう!やはりこの肉はシチューに会うと思ったんです。たまりません!!」


「そうかー?これも旨いが俺はシンプルイズベスト、塩焼きが一番好きだな。今度外でバーベキューでもしようか。」


「それはここ(ダンジョン)から出てからにしましょうね。」


ジュリは少し苦笑しながら言った。




※※※ あけましておめでとうございます ※※※

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