第4話



拓磨はそう言って、また私にキスを落とす。


その甘い表情に、私までとろけそうになる。


お仕置きとか言ってるけど、全然お仕置きになってないよ…。



しばらくすると拓磨は、おもむろに私の首筋に顔をうずめた。



「っ…」


「これで心春は俺のもの」



拓磨が口づけした部分が、じんわりと熱を帯びる。


熱を帯びたところを拓磨は指でなぞった。



「っ…」


「消える前に、またつけるね」



こんなことしなくても私はとっくに拓磨のものなのに。



拓磨は満足したのか上体を起こす。


やっと解放された。


そう思っていたら、拓磨はさっき奪った私のスマホを触り始めた。


何をしているのか気になるけど…。


何か言ったところで聞く耳がないことは分かってるから、返してくれるまでそっと拓磨を眺める。



「立花の連絡先消しておいたから」


「…え?」


「ついでに男らしき奴らのもね」



そう笑顔で囁いて私にスマホを渡した。


そのまま体育館倉庫から出て行こうとする拓磨。



「あ、マンガは俺が立花から返してもらっておくね?」


「う、うん…」


「あと今度、俺以外の男見てたら…」


「なに…?」






「今度はこの程度じゃ済まないから」






そう言って拓磨は、体育館倉庫の鍵を開けて出て行った。


最後に見た拓磨の表情は無機質で、ピクリとも笑っていなかった。



「ふふっ」



拓磨は狂ってる。




なんて。


そんな拓磨に溺れてる私も、相当狂ってるのかもしれない。







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【短編】これでキミを独り占め。 咲倉なこ @sakura-nako

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