S4.2 サボテンの踊り 2月21日

――光綿市 光綿支部紅葉――


帯刀「今日の接客用語復唱~! ご主人様、私、何でもします」

ハコベ「ご主人様、私、何でもします」

十六夜「ご主人様、私、何でもします」

十六夜「わたし……わたし?僕、何でもします。うーん……?」

夕宙「ご、ご主人さま……、私、何でも……。あの、ここは一体どういうお店で……?」

帯刀「ご自由にお使いください」

ハコベ「ご自由にお使いください」

十六夜「ご自由にお使いください」

夕宙「ご、ご自由にお使いください……」

稲生「えっ、ソラもやるの!?え~……ご、ご主人様、ソラ何でもします、ご自由にお使いください……えー……?」

帯刀「恥ずかしがらない!私も恥ずかしいんだからね!今日はご主人様が新人の人間をスカウトしてくるからね!ちゃんとご主人様の持ち物としての威厳が必要なのです!はい次!この身、捧げます」

ハコベ「この身、捧げます……」

十六夜「この身、捧げます」

夕宙「この身捧げ……、いやこれ接客っていうか接待では?場合によってはそっちのほうが敬士さんの威厳に関わるのでは?」

稲生「この身捧げます…………喫茶店、だよね……?」

夕宙「君たちもなんかおかしいと思ったら否定するんだぞ……、本当に……。」

風鳴「その前に店の方をやっとけよ……ゲーセンの方までは手が届かねーぞ俺は」

帯刀「はー……いいですよねいいですよね!自分だけの印もらったご主人様のオキニはいいですよねー!へーへーせいぜい寝首を掻かれないように気をつけておくんですね!!」

風鳴「あのおっさんに言われりゃ従うしかねぇ身にはなっちまったが、頭1個抜けちまってるみてぇで悪いな。ま、利用されるまでは甘えておくさ」


▶瀬川が車椅子で店に入ってきますね。困惑しています


瀬川「なんでまだ喫茶店が開いてないんだ……。戻ったよ。スカウトは……、成功したっちゃした。かな……」

瀬川「ほら、自己紹介して」

綾華「え、えっと……、大丈夫かな……?――綾華っていいます。よろしくおねがいします……」


▶車椅子の膝の上で小さい人形がスカートの裾を広げて恭しくお辞儀しますね


風鳴「ほー、こりゃまた……小さいな。風鳴颯天だ、よろしく頼むぜ」

帯刀「またご主人様が女連れてきた……。現役時代から隙さえあれば女女女!!!ちょっとは性欲抑えてくださいよ、ほら、好きに命令できるのいっぱいいるじゃないですか!」

風鳴 「選り取り見取りで羨ましい限りだなぁおっさん。夜道には気を付けるんだぜ」

綾華「え……そういう趣味で連れてこられたんですか? 私にはもう持ち主がいるんですけど……」

瀬川「ええ……たまたまだよ。人聞きの悪いことはやめてくれないか……」

夕宙「なんとまあ。夕宙、夕宙来玖っていうよ。よろしく」

十六夜「十六夜です、初めまして」

稲生「お、新人さんかー……ってちっちゃい……!妖精さん?お人形さん?――それはともかく、ソラはソラだよー。よろしくね」

綾華「あ、みなさんはじめまして。よろしくおねがいします……」

風鳴「ま、安心しな。少なくともそのおっさんが1番安全だぜ。……色んな意味でな」

瀬川「はぁ……、帯刀くん。店を開けてくれるかい?」

帯刀「はーい!」


▶すすっと立て札をくるっと回し、そのまま制服を取り出してみんなに見せるよ


帯刀「取敢えず今日はこれね!膝上3cmの普通の制服だよ。そこの高校からもらってきた」

十六夜「わかりました、着替えてきますね」

夕宙「いやそれうちのとこのじゃ……?えぇ……」

稲生「まぁ確かに普通と言えば普通……。ってそれ色々と大丈夫なのかな?まぁいいけど……」

瀬川「ほっ……普通の服でよかった……。帯刀くんもやっと一般常識を……」

帯刀「Mしかないから、無理でも着てね」


▶全員着たよ。サイズが偏っている為ぶかぶかになったりしていますね


綾華「わあ……みなさんとても可愛らしいですね!」

ハコベ「大きすぎる……。ずれちゃう……」

十六夜 「ぶかぶか……さすがに動きづらいですよこれ」

稲生 「おー、ソラにはちょうどぴったりかな?くるくるーっと、うん、いい感じ」

夕宙「知り合いにでも見られたらどんなふうに言われるんだろうなあ……」

風鳴 「あんたも気の毒にな……。そんで、連れてきた嬢ちゃん、アヤカだっけか。戦えはするんだろうがこの店ではどうすんだ?俺みたいに居着くのか?」

瀬川「いや、宅急便を装って帯刀くんが毎日自宅往復することになってるよ。風鳴くんがやりたいかい?」

風鳴「冗談はよして欲しいぜ。今の御時世にゃあ明るくねーが、いい目では見られねーだろうが。パスだパス」

浅倉「おじゃましま……す?えっ、来るところ間違った?がーるずばー?」

元木「っす……。自分の意志でスカート履いてるならまだしも、いい年こいて履かされましたはねーだろ……」

夕宙「いい歳こいてって言われてもこちとらまだまだガキンチョじゃい。大人の意志決定には逆らえないんだ……」

元木「ふんっ……」

百瀬「おはよーございます!!――おや?」

風鳴「よおツムギ、トモカ、タケシ。朝早くからご苦労なこったな。ドリンクはセルフサービスで頼むぜ」

帯刀「そうそう、浅倉ちゃんも奴隷だしはいこれ。そこの学校からもらってきたやつ、着て」

浅倉「えっ嫌です……。制服はいいけど、ここで着たら次以降もっとひどいのを着せようとするじゃないですか」

帯刀「着て」

浅倉「ひっ……」

稲生 「おねーさんなら似合うよー……って、なんかそれどころじゃなさそうだ」


▶浅倉はそのまま奥に連れて行かれて無理やり着せられますね


綾華「なにやら奴隷?なる言葉が聞こえたのですが……。ここにも誰かの所有物の方がいるのですか?」

風鳴「残念だが半分がそうだな。ここにもってこたぁ、そっちも事情ありか。おっさん、まずは色々話す場作ってくれや」

夕宙「待った、貰って来たって言いました?流石に無断でとかじゃないですよね?買ったり譲ってもらったりしたんですよね?」

帯刀「こう、女の子に刀を見せたら脱いでくれたよ。制服着た子は全部ご主人様の持ち物!生殺与奪を握られてるんだ」

綾華「そうなんですね~」

百瀬「やっぱあの制服ですよね。かわいいからって人気あったし、ほんと似合ってますよ」

稲生「えっ、それはちょっとヤバすぎない?……こっそり脱いでおこうかな……」

浅倉 「違う……私は奴隷なんかじゃない……あれは事故、事故なんだ……」

瀬川「それは後で僕が返しておくよ……。帯刀くんもこの制服着たかったんだね」

帯刀「かわいいですからね!」

百瀬 「でもぶんどるのはだめです。お店で買ってください……」

夕宙 「いや、いかんでしょ……。すぐ返してきてあげてほしいんですけど……」

元木「ダメっすよ瀬川さん……。瀬川さんが一人で返しに行ったらそれこそ事案っすよ」

瀬川「困ったね……。浅倉くん、代わりに後で返しに行ってくれるかい?気に入ってもらってるみたいだし」

浅倉「なんて言って返せばいいんですか……私、その高校に通うかもしれないのにやだよぉ……。変なやつって思われたくないよぉ……」

元木「――衝撃の高校デビューができるんじゃねぇかぁ……?」

百瀬「私が返してきますか……?」

稲生「汚したりしないうちに着替え直してきまーす……」


▶こっそり着替えに行こうとしたところを刀の鞘が飛んできて阻止されますね


帯刀「こらー!仕事の服だよ!!!脱いじゃダメー」

稲生 「うー、無理に着替えに行くと斬ってでも止められそう……。一旦ここは着ておくかぁ……」


――30分後


瀬川「さて……、今日の営業服も決まったし改めて自己紹介してくれるかな?人形が動くのは僕も久々に見るくらいでね。少々君に興味があるんだ」

夕宙「いいのか……、これで……」

風鳴「そういう言い方だぜおっさん。しかし人形つったか?こん中でもとびきり珍しそうなやつだな」

元木「――人形ねぇ……。てかまだ他によく知らねぇ奴いるんだよなぁ……」

十六夜「人形さんなんですか?いろんなものがいるんですね」

綾華「あ、はい。改めてはじめまして。綾華っていいます。市内に住んでいる、神風沙織って人に所有されているドールです」

稲生「おおー、お人形さんかー、なるほど納得」

浅倉「動く人形かー。なんか昔、そういうアニメ流行ったんだっけ」

綾華「えっと、ご主人は一般人で、私が動いてるのとか知らないんですけど、こっそりご主人のパソコンで遊んでたら、なんか声をかけられました」

元木「ふーん……。瀬川さん、この人形は自律してんすか?その神風って人が夜叉かなんかで、操ってるってわけじゃないっすか?」

瀬川「神風くんは僕のボイチャ仲間でね。素質センサーが反応したからスカウトしに、2人で会うオフ会を企画したら……、素質があったのはこっちの子だったんだ。それに、魂が入ってるから操ってるわけではないよ。自律人形さ」

百瀬「いいっすね、自律人形かぁ……」

綾華「素質?ってのはよくわからないですけど、まあ喋って動く人形なので普通ではないですよねー」

夕宙「敬士さんはともかく、綾華ちゃんはよく会おうと思ったな。ご主人のPC使ってたわけだし」

瀬川「いや、最初は神風くんと約束して、神風くんの自宅でオフ会をしたんだよ。じゃあこの子がコンタクトを取ってきただけだよ」

百瀬「オフ会かぁ……いいなあ……」

夕宙「それはそれですごいっすね……。いきなり自宅かあ」

元木「へぇ……。じゃあ立派に一つの生命体ってわけだ……珍しいからってコレクションしたくて連れてきたってわけじゃないっすよね?特技とかあるんすかぁ?」

綾華「特技?と、いうかよくやってるゲームはアクションとかFPSとかです!」

稲生「おおう、現代的というかアクティブというか」

風鳴「なるほどね。どのぐらいの時期からそうなったんだ?まさか店かどっかで売られてる時から、ってことはねぇだろ?」

綾華 「んー何年前とかはわからないですけど、動けるようになったのは今のご主人のもとでですね」

風鳴「そうか、まぁそういうもんだよな……。ありがとよ」

十六夜「ご飯とかって、食べないんですか……?」

綾華 「食事や睡眠はいらないですねーご主人が寝てる夜は動きやすくていいです!」

元木「なんの参考にもならないお役立ち情報をどうもありがとう……。元木猛っす」

綾華「猛さんですね。よろしくおねがいします」

浅倉「ホラーでよくある髪の毛の伸びる人形の話とかって、こういうのが元になってるのかな……」

帯刀「違うよ。この子は斬ったらだめ。活力がある。髪の毛が伸びるのは、生気はあるけど活力がない。斬ってもいい」

浅倉「生気?活力?」

帯刀「わかんないから奴隷なんだよ?」

風鳴「薄々思ってはいたんだが、斬っていいか悪いかで全部組み込まれてねーかあの知識」

元木「生きてても死んでるみたいな人間ってみたことねぇかぁ……?それの人形か人間かってだけだ……」

瀬川「さて、本来は今日は特訓をしようと思ってたんだ。暇してそうな大学生達はともかく……元木くんたちは学校はいいのかい?サボるのは親御さん達に迷惑だから勘弁してくれよ?」

浅倉「今日は休みですー。学校サボるほど不良じゃありませんー」

元木「はんっ……まさか。瀬川さん、こんだけ中坊が自然に集まってるんすから……」

瀬川「ははは……。それもそうだね。夕宙くんと十六夜くん、それに綾華くんの特訓を兼ねてたんだ。君たちも話だけ聞いていくといい」

風鳴「いや一人いねーじゃねぇか。いない奴らで言えばもっとだが」

帯刀「うさちゃん?あの子は今、四季さんと一緒に英雄様祭りに行ってるよ」

十六夜 「お祭り……いいなぁ」

瀬川「もともと英雄様祭りの話をしようと思っていたんだ。紅葉では本来解決不可能とされてきている事件を解決した人間のことを英雄と呼ぶんだ。英雄のほうが、強いっていう概念を登録出来るだろう?実際強いんだけど、英雄という概念で更に強さに拍車がかかるんだ」

帯刀「四季さんも英雄ですよ。なんせ、あの朱鷺森大戦の生き残りですからね……!あの事件は夜叉の憧れなんですよ!!敵!敵!敵!死体!死体!死体!ラスボスが見つかってなくて未だ捜索中!紅葉の全戦力の3割が死亡したやばい大戦なんです!教科書に乗るくらいですよ!!」

風鳴「いや教科書に載っちまったらまずいんじゃねーか?まぁわかったぜ、おっさんみたいな奴らで未だに戦ってるのが居るってことだろ」

瀬川「僕はそこまで強くないよ。それに、僕も英雄基準からすると片手であしらわれるほどだよ……。ともかく、紅葉にはそんな英雄の記録を残し過去の栄光を元に概念付与することで英雄全体の底上げをしているんだ。少数精鋭ってことだよ」

稲生「へぇー……すごいなぁ……そんな大事件には巻き込まれたくないけども」

帯刀「このはちゃんとかもそうなんだよ?Vtuberしてる人は大体英雄なんじゃないかな?」

百瀬 「いずれ私達も、英雄に叩き上げられるということなんですね」

瀬川「五体満足で生き残れば英雄になれるよ。――嫌でもね。そんな過去の英雄の記録をホログラムとして立体化して、ボコボコにしてもらう企画が和歌山で行われてるんだ。宇佐木くんはそれに行ったんだよ」

風鳴「なんだよ、そんな話があるなら俺にも通して欲しかったぜ」

元木「その説明で行きたがるって、そっちの趣味でもあんのかよ……」

風鳴「そりゃあ痛い目じゃねーが、どこまでいけるかって可能性は見ときたいもんだろ。――まぁ、縁がなかったもんはしょうがねぇ」

十六夜 「特訓ならそっちでもよかったんじゃないですか?」

百瀬「ただ見ているだけでいいなら、永遠に見てたい光景だろうに……」

瀬川「今の君たちじゃ2秒もかからずに動けなくなるよ……。初心者にはそれ相応の特訓の仕方があるんだ」

夕宙「まあ、少なくとも死ぬ危険があるよりはいいんじゃないかな……」

綾華「なんだかよくわからないですけど、すごそうなお話ですねー」

浅倉「特訓用に戦える相手を出せるなら、それを悪鬼にぶつけちゃえばいいんじゃないかな……。けど、そんなことができないから特訓させられるのかぁ」

瀬川「特に綾華くんも含めて、素質だけで生き残れるほど優しい世界じゃない。十六夜くんや綾華くんはそもそも知らなかったね。そもそも悪鬼というのは負の感情の集合体なんだよ」

瀬川「この負の感情の集合体は周りの負の感情を集めて急速に巨大化していく。放っておくと日本を飲み込む程だ。飲み込まれた場合、日本にとって良くないことが起きる。負の感情に支配された人間が一番怖い、って妖怪ものでもよく見るだろう?」

瀬川「人間が一番怖い原因は負にある。この負を取り除くために、多数を生かし、少数を切り捨てる。この、切り捨てられる側にいるのが僕たち夜叉だ」

稲生「うえー……。ホント、とんでもないものに巻き込まれちゃったなぁ……」

瀬川「妖怪や妖精達が手伝ってくれるのは自分の威厳のためだ。人間が一番怖い、なんて思われてしまうと漫画とかの創作物に影響が出て、強さの象徴としての彼らの存在は、フィクション含めていらないからね」

元木「ふふんっ……」

風鳴「そういうもんなんだな。ある意味で生存戦略ってやつなわけか」

瀬川「起源としては神降ろしと一緒だからね。夜叉としての覚醒は……、って昔知り合いから聞いたよ。今回は倒しやすい悪鬼を作成しておいた。帯刀くん」

帯刀「はーい!」


▶機械を思いっきり蹴り飛ばして青い悪鬼が出来ますね


綾華「うきゃ! いきなりなにやってるんですか! 物を粗末にしちゃだめですよ!」

稲生「うんうん、そうだよねー、そういう反応しちゃうよねー」

瀬川「この機械はネットに漂う負を集めるものだ。今や世界は現実だけのものじゃないからね。ネット世界も悪鬼に侵食されると終わりだから。――それに、僕はこの機械の製作者を信用していないんだ」

十六夜「信用してないなら使わない方がいいんじゃ……」

浅倉「信用してないけどうんぬんみたいなめんどくさいやつ?」

帯刀「毒を食らわば皿まで、ですよ。私も斬り捨てたい程ですけど、紅葉には必要なんです」

元木「そんだけ嫌われる奴なら、こういう扱いも織り込み済みだろうよ……ある意味正しい使い方かもな……」

綾華「私も物だからああいうのを見るのは……痛そう……」

瀬川「悲嘆するなら製作者を恨むがいい。この中には、今流行りのスラングが入っている。スラングそのものに負はないが、間違いなくそのうち出来る。それを予め被害軽減しておくわけだ」

十六夜「でも見ず知らずの誰かを恨むのもちょっと大変そうですよね」

浅倉「ヤバい人でも関わらなきゃ大丈夫でしょ?作られたものと作った人は別だしさ」

風鳴「スラング?まぁやることはいつも通り、おっさんに貰ったあれも試せるかもしれねーな」

元木「俺らでなんとかできるレベルの内に俺らの経験値にしとこうってことっすよね?理解したっす……」

稲生「やっぱり戦うのやだなぁ……。でもやらなきゃ……」

夕宙「誰かのせいかもなあ。あーあ」

帯刀「綾華ちゃん、だっけ?はいどーぞ!」


▶帯刀は人形サイズの首輪を渡すよ


綾華「あ、ありがとうございます……、ってえっ……。これですか……?」

夕宙「ああ、この子も首輪なんすね……」

帯刀「紅葉にいる以上はご主人様の所有物ですから。忠誠を誓いなさい」

綾華「ううっ……ご主人以外からの首輪なんて……」

元木「帯刀さん、こいつだって意思のある生命体で、大事な主人が要るんでしょ?忠誠誓うだけなら別の形のもんでもよくないっすか……?」

帯刀「はー?わかってないですねー!女の子は見える形で束縛されることで初めて、愛情がわかるんですー!ほら、あそこの紬ちゃんだってもう立派にご主人様の奴隷ですし」

浅倉「変な価値観押し付けないでください!立派な奴隷ってなんですか」

元木 「だそうですが?瀬川さん?」

瀬川「どうだろうね。その首輪は謂れや経緯はどうであえ、僕たちとの見える思い出には違いない。帰りたい、と強く思った時その首輪に祈るといい」

元木「だ、そうだ……命あっての物種だ……人形に命がある時点でなんつーかアレっすけどね……」

綾華「うぅ……!! ごめんなさい……。ごめんなさいご主人……着けないと危ないらしいんです……本望じゃないんですぅ……」


▶震える手で綾華は自分の首に首輪をゆっくりつけます


風鳴「明るくても気を付けるんだなおっさん。ともあれ、自分の居場所が定まってるならそれに頼らなくてもいいようになんだろ。自分を見失うなよ」

夕宙「かわいそうになあ……。でも今回ばかりは拒否った方がやばいからなあ……」

帯刀「ほら、見覚えあるでしょ?これがご主人様への忠誠なの。十六夜くんも紬ちゃんも来玖くんもみーんなご主人様の奴隷なんだよ?」

十六夜「男の子は、男の子にも束縛を……?」


▶自分の首輪を触って確認しますね


綾華 「来てはいけないところに着てしまった感が……」

稲生「ソラはただのアルバイトだからね、違うからね?」

瀬川「無事に帰ってくるまでが特訓だよ。繁縷、君はここで待っているといい。別の方法で戦う方法を教えよう」

ハコベ「はい。ご主人様」

元木「腹括ったなら行くっすよ……、行かなきゃ帰ってこれねぇんすから……」

綾華「こ、これに入ればいいんですよね……。ドロドロしてますけど……えいっ」


――見て!このはちゃんが踊っているよ――


▶白い無機質な空間の真ん中でVtuberのこのはちゃんが謎の踊りをしていますね。かわいいね!


元木「ハンッ!愉快に踊ってるだけだな。止まっても、躍らせてやるか」

ソラ「あー、このはちゃんだ……。偽物とはいえやっぱりなんだかなぁ……」

百瀬「このはちゃんが特訓相手……!」

元木「トモ、トモカ!残念だがこれは訓練ではないぞ。用意されこそすれど紛れもない実戦だ。油断するなよ」

風鳴「そういや言い忘れてたな……、俺は妖精だ。だからこの空間ならこうなれる。風の精らしくやれるわけだ、お前はどうだ?」

綾華「変身……。ええっと、どうすればいいのかな……?」

風鳴「イメージすりゃいいらしいぜ。自分がどうなりたいか、どうしたいかのな。ほぼ全員それで何とかなってんだからそんなんでいいんだろーよ」

十六夜 「なりたい姿って何でしょうね、本当に……」

浅倉「相手がなんだろうと関係ないね。敵ならぶっ飛ばすだけ!」

綾華「イメージ、イメージねぇ……。なりたい自分……むむむ……」

夕宙 「これ実際は英雄様祭りとあんまかわらないことしているのでは?」


▶綾華は屈み込んで唸った後、ビキビキとひび割れるような音とともに急速に体が膨らみ、髪が赤く染まります。顔を凛々しく上げた頃には人間程の大きさに黒一色の軍服ワンピースを可憐に着こなす女性がいますね。見た目も人間そっくりです。


綾華「おぉ!?――視界が高い!?これはよく見えるなぁ……。それに動きやすい!」

綾華「服もかっこいいし強そうな銃もあるし、すごいわねこれ」


▶かなり大きなアサルトライフルを肩にかけていますね


ソラ「おおー、いいなー、かっこかわいいなー」

元木「ほぉ、見た目だけは一端の戦士だな、遅れるなよ」

夕宙「やっぱり、人間になりたいもんなんかなあ……。動けると……」

風鳴「さあな……。そういうのはいいっこなしだろ」


▶戦闘前 元木 橙

▶戦闘前 十六夜 急に歌うよ[昼目、竈、其駒、塩祓] 


 戦闘開始!


▶[ファストトラベル]秋月このは 見て!このはちゃんが踊っているよ かわいいね(物理、魔法、自然反応攻撃を察知するまでこの状態を継続する)

▶秋月このは 見て!このはちゃんが踊っているよ かわいいね(移動を察知するまでこの状態を継続する)

▶ [行動数追加] 秋月このは 見て!このはちゃんが踊っているよ かわいいね(一般判定を察知するまでこの状態を継続する)


▶とてもかわいい踊りをしていますね。とても和みます


百瀬「かわええ……」

十六夜「そうですねぇ……」

ソラ「あのまま踊ってるだけだったらいいのになぁ……」


▶夕宙 ネットサーフィンで判定 立弓

 失敗 成功 


▶割り込み 秋月このは 見て!このはちゃんが踊っているよ かわいいね [みんなが移動したせいでこのはちゃんは踊るのをやめてしまいました][みんなが判定したせいでこのはちゃんは踊るのをやめてしまいました][紬のせいです あ~あ][綾華のせいです あ~あ](対象に向けて行動数追加、挑発をされた効果を適用し、両方その場で適用する)


▶秋月このは 瞬獄殺(対象にすり抜け移動し、物理4d8)見様見真似のガンラッシュ(物理5d4 5d4 6d7) 洋剣千本(魔法10d4)

▶浅倉 回避判定[冷静な助言]

 成功 成功 成功 成功 27ダメージ[浅倉:薄い本×2]

▶急に踊るのをやめ、気づけば浅倉に肉薄していますね。踊るように剣や銃を乱射し、追い込むように浅倉の周囲を剣で囲み串刺しにしました


浅倉「ちょっと、何でこっちに来んのよ!いきなりじゃ避けきれないじゃん!」

夕宙「理不尽にも踊るのをやめてしまいました。僕のせいか?あーあ ――とも言ってられんなこれ……。申し訳ない……」

元木「気にするな、見てわかる事が判らない奴だっているものだ」


▶秋月このは 瞬獄殺 ファイアブレード(自然反応攻撃4d5)ファイア 見て!このはちゃんが踊っているよ かわいいね[魔法攻撃判定を察知するまでこの状態を継続する]

▶綾華 回避判定

 ファンブル 11ダメージ 20ダメージ 19ダメージ[綾華:縁故・所有]

▶補助動作禁止

▶更にこのははワープしたかのように急に目の前に現れ、綾華を炎を纏った剣で斬り付けた後に空中に飛び上がり、炎の火球で追撃を入れ大きな爆発が起きますね。爆風がおさまったころには、何事もなかったかのように踊りだします


綾華「きゃあ! 熱い!あっつい!こんなの聞いてないー!」

夕宙 「じゃあごめんなさいだし、こっちに戻ってきてもらうかな」


▶夕宙は腕をかなり伸ばして、ネットで無理やり覆うように、自分の場所まで地引網の要領でこのはを引きずってきます


▶元木 セージ エレメントトラップ[キスメ]

▶浅倉 特攻魔法 ダーク

 22ダメージ[エレメントトラップ]43ダメージ 38ダメージ[精霊の加護]4ダメージ 10ダメージ


元木 「フンッ、痛めつけられるのが趣味なのか?もう傷だらけだな。備えろ!ルヒ!かかれ!トラップ!」

浅倉「誰に言ってんのさ!気に食わないけど、仕方ないから合わせてあげるよ。仕方なくね!」

元木「ハーッハッハ!愚か者が!跳ねろ!ドシャ!ドーシャ!」


▶このはの足元の影から黒い影が勢いよく包み込みます。黒い影が槍のように全身を突き刺した瞬間、このはがピタっと踊るのをやめますね


▶夕宙 精神安定判定

 成功 昏睡!


夕宙 「あーだめだあ、動き早すぎてなんか、目、まわ、る……」


▶電池が切れたように首をガクッと落として動かなくなります


▶割り込み 秋月このは 見て!このはちゃんが踊っているよ かわいいね ×2 [みんなが攻撃したせいでこのはちゃんは踊るのをやめてしまいました][みんなが攻撃したせいでこのはちゃんは踊るのをやめてしまいました] [風鳴のせいです あ~あ][風鳴のせいです あ~あ]


▶秋月このは 瞬獄殺 見様見真似のマシンガン(物理1D9 1d9 1d9 1d9) 見様見真似のもみじダンス(魔法3D8 3D8 3D8)全体 十六夜 浅倉 夕宙

 8ダメージ 18ダメージ 11ダメージ[十六夜:縁故][百瀬:縁故・蚊雷×2 薄い本×2[軽減の知識]][浅倉:縁故]

▶ふわふわとスカートがひらり上がった瞬間に、弾丸の雨を降り注がせますね。更に体を捻って飛び上がり、下にいる人達に更に弾丸を打ち込みます


▶秋月このは 見様見真似の棗シュート(物理6d8) 見様見真似のみらのラッシュ(物理2d9 2d9 2d9)風鳴

 24ダメージ 11ダメージ 11ダメージ 7ダメージ[風鳴:蚊雷×4]

▶降り立った途端に刀を4本投げ、それを銃で大量に打ち込んで目に見えない程の跳弾を作ります。桜吹雪が気づけば舞っており、気づいた頃にはこのはは風鳴の羽に刀を差し込んで、魚を捌くように裁断しました。その時同時に浅倉が跳弾を弾いた隙をついて牙突の構えを取ります


風鳴「ってぇッ……が、なんてことねぇさ!」

浅倉「何でまたこっちに、なんとかして捌き切らないと――あっ」

ソラ「くっ……させないっ……!おねーさんはソラが守るっ……!」


▶稲生 絆庇う 浅倉

▶綾華 通常攻撃

 成功 22ダメージ


綾華「見えた! ここだぁ!」


▶牙突の構えを取っていたこのはが突撃したのを身体で庇います。稲生の肩に突き刺さり、このはが一瞬重心をを崩したところを鋭く捉え、膝と心臓に命中しますね。このはは前から倒れ伏しますね


▶無機質な白い空間にTwitterが映し出されますね。パクツイbotです。金色の光が出てきて、空間が壊れていきます


百瀬「か、勝った……さすが……」

綾華「お、終わったの……? 良かったぁ……」

浅倉「えっ、あっ……また……ごめん、なさい」

ソラ「だ、大丈夫……。誰かがやられちゃうのを何も出来ずに見てるくらいなら、これくらいの痛みどうってことないよ……」

元木「おい、また帯刀に気絶させられたいのか?やれることはやってやったんだろう?俺の引き立て役にはなったぞ」

風鳴「おー、上出来だ。しかしまぁ、怒涛ってやつだな。まずいのは、ライクか」

十六夜 「のんびりはしてられないですね、連れて帰らないと……」

百瀬 「見事な魔法だったよ、元木さん……!――それに……、綾華さんもすごかった……。私も頑張らないとなぁ……」

浅倉「私が、私がいなかったら……。邪魔にならないように先に戻っていますね……」

ソラ「そんなに気負わなくても大丈夫だよ……。ソラだって不死鳥さんを呼ぶくらいしか出来ないんだから」

百瀬「私が、来玖さんを送りますから……。皆さんは先に戻ってください……これくらいはやります」

風鳴「今みたいに金色の光が出りゃ終わりってことらしい。こっからは帰る時間だ。っと、それならトモカ。こいつを渡しとくぜ。それなりにいいもんらしいからな」


▶元木 ヒール 百瀬

 13回復

▶風鳴 回復薬G 百瀬 譲渡


百瀬「ありがとう、颯天さん、元木さん…………!」

十六夜「ちゃんと戻ってきてくださいね、待ってますから」

風鳴「わりぃが頼んだぜ」

元木「ト、モカ!必ず戻れよ……!」

百瀬「ええ、戻ってくる……」


▶百瀬 脱出判定

 成功[人間振り直し]ファンブル 失敗 失敗 10ダメージ 11ダメージ 14ダメージ

▶何もなかった


▶百瀬は壊れ行く悪鬼から夕宙をおんぶして逃げ切ったよ


百瀬「やりきった……。来玖さんと一緒に戻る……!」


――光綿市 光綿支部紅葉――


帯刀「お手!」

ハコベ「はい」

帯刀「おかわり!」

ハコベ「はい」

帯刀「くるっとまわってワン!」

ハコベ「わん」

帯刀「よし。ご主人様になでなでしてもらうために今日も頑張ったね」

ハコベ「はい……」


▶ボロボロの面々が帰ってきますね


浅倉「――戻りました」

元木「っす」

瀬川「おつかれ。まあ今どきの流行りのトレンドの勢いには……勝てなかったみたいだね」

綾華「も、戻ってこれ……うわっ!」


▶元の体に急速に縮んでいき、出た時に足を取られてコケてしまいますね。それを帯刀が抱っこして瀬川の膝の上に乗せます


帯刀「首輪、いいでしょ~~~」

綾華「も、もう終わったんですから!外していいですよね!?」

瀬川「いいよ。ただ、思い出はちゃんとしまっておいてね。その経験が、思いが強さになるから」

風鳴「高低差がありすぎるのも考えもんだな……。あとはあの二人が」

稲生「いつもの光景……。安心もするけどどことなくイラッともしちゃうねー……」

十六夜 「?勝ったには勝ったんじゃないですか……?」

綾華「ふぅ……スッキリした……」


▶首輪をつけている十六夜の前で綾華は首輪を外すよ。その時、飛び込むように百瀬が跳ねるように戻ってきます。ボロボロですね


帯刀「来月になったら忘れるようなネットミーム程度にボコボコにされるようじゃ、まだまだだねってことよん。生きててよかったね」

百瀬「ひ、ひぃ……。ただいま……戻ってこれましたぁ…」

元木「トモッ……百瀬さん、よかった……」

稲生「!おねーさん!よかったー……!夕宙さんも……!」

百瀬「瀬川さん、来玖さんを診てください…………!」

瀬川「はいはい。全く、人間を守護るのが本懐だろうに……」 


▶車椅子の角の部分で、倒れた夕宙の首の近くを蹴ります


瀬川「古来から機械を治すには斜め45度に衝撃って決まってるんだ」

風鳴「ほー。由緒ってのは色んなとこにあるもんだな」

稲生「仮にも怪我人……人?に対して雑すぎません?でもよかったぁ」

十六夜「いや、えぇ……」

綾華「あわわ……」

元木 「こいつ昭和の機械だったんすか……?」

夕宙 「んデッッ!!!!!!!ってててて…………あ、あれ、このはちゃんは……?」

夕宙「ああ、勝ったのか。というか寝てたのか。かっこわるーい……」

稲生「そうだ、紬おねーさんも大丈夫?ごめんね、前に出るのがちょっと遅れちゃって……」

浅倉「わ、私は大丈夫です……。それよりも、いつもごめんなさい。私のせいで、天さんが、天さんが……」

稲生 「ううん、大丈夫大丈夫、さっきも言ったとおり、誰かが居なくなっちゃう痛みより誰かを守るための痛みならかるいかるい」

百瀬「そうそう。元木さん、良いよ朋花でも」


▶元木に視線を送りつつ、花笑みますね。


元木「ヒョヘッ!?いや、ちがうんすよ、ちがうつーか……、その、あの、記憶ないってことで、ちがっ、ないんで、なんのことがわかんねんすけど、その俺中坊なんでだから、そんなこと……トモカ……さん……」

風鳴「お疲れさんトモカ。ライクも無事そうだしアヤカも即戦力、良い事だらけで何よりじゃねーか。ソラも何かあったら診てもらえよ」

夕宙「ああじゃあ朋花さんか運んでくれたの。ありがとうございます」


▶瀬川は厳しい顔をして、耳に通るような声でつぶやきます。


瀬川「百瀬くん、君には再起動したアンドロイドの設定をする義務がある。[恋は流れ星、青春は一瞬の煌めき]」


▶夕宙は頭に手を置いてお辞儀をしようとした瞬間に止まりますね。目に光もなく、機能停止をしているのがわかります


百瀬「いえいえ、これくらい大丈夫よ……。あんな力を持ってたなんて……あれ?」

十六夜 「わ、すごい。あんなカクンて止まるんですね」

稲生「おお……ロボっぽい……。けど、大丈夫なのあれ……?」

元木「――瀬川さん?」

瀬川「言っていなかったが、アンドロイドはご主人様の権限を一生同じ人間にすることが出来ない。人間には寿命があるからね。だから、アンドロイドは一律として、自分が死亡した場合設定の再起動をしてご主人様と、行動義務を再設定する必要がある」

瀬川「敵に接収されても殴り飛ばせばまた資源として、駒として再利用できるからだ。放置していても再起動はするが、完全初期化だから予め止めたほうがまだいいんだ」

綾華「はぁ……。来玖さんって、電気で動くお人形さんだったんですねぇ……」

風鳴「意外と難儀なとこもあんだな。それを今度はトモカに任せるってわけか」

浅倉 「次目覚めたら別人、ってことですか」

百瀬「ひぇ……。降って湧いたご主人様チャンスに困惑ですよ……?」

元木「――別にそれ……。ト、モカさんじゃなくたっていいんじゃないっすか……?」

瀬川「そうだね……。敢えて言うが、ゴミを拾ってきたのは百瀬くん、君だからだ。僕が止めたから記憶データは残るが、本質はご主人様次第だ」

風鳴 「チャンス、ねぇ。まー奴隷になるよりはマシだわな」

稲生「記憶が残るんだったら、変な設定しなきゃ根は夕宙さんのままのはず……。多分」

元木「んだそりゃ……。置いてこさせるべきだったんじゃねぇか……くそっ」

十六夜「そうはいっても、壊れてはいないですし貴重な戦力ですから……」

瀬川「アンドロイドは拾った人のものだ。そうでないと、取り合いになる。これは男型だが、女型は引くほど美人だからな」

瀬川「動かない、人の役に立たない物なんて存在価値はないんだよ。思いが生きる強さになる以上、思いに見捨てられたものなんて、ゴミのほうが感情を向けられる。そうだろう、綾華くん?」


▶瀬川は膝上の綾華を机の上に移動させますね


風鳴「……。飲み物でも用意しとくか。アヤカ、好きなの頼んでいいぜ」

綾華「飲食は必要ないのですが……。飲めないわけではないですし、紅茶でもいただきましょうか」

百瀬「ところで……これどうやるんすか……?――あの……」

帯刀「はい。再起動のやり方のメモだよ」


▶帯刀のメモを見て、百瀬は夕宙に跪きます。メモを見ながら詠唱しますね


百瀬「真実の姿を我の前に示せ。盟約のもと、我に従い給え。……えーと、百瀬朋花を主としよ」

百瀬「我が名はクラース……?」

瀬川「我が名はクラース……」

百瀬「え」

帯刀「お約束のボケですから。アンドロイド契約の時に絶対やるらしいですよ」

百瀬「なるほど。だから紙にも書かれると……。で、瀬川さん、とにかくこれで動くんですねコウさんは」

瀬川「後は、緊急停止のパスワードと、来玖のあり方を決めてやってくれ。弟でも彼氏でも、このはちゃんとしてふるまうでも、真面目でもクズでも、思うがままだよ」

元木「彼氏!?冗談じゃないっすよ!こんなのどう考えてもただのポンコツろぼっとだったじゃないっすか」

百瀬「えーとパスワードはさっきのでいいです忘れちゃうし。あ、これですね。緊急停止のパスは[恋は流れ星、青春は一瞬の煌めき]!」

夕宙「再起動、完了しました。命令を。」

百瀬「悩みます。ロボットとはいえ学校に通う一人の人間ですから……」

元木「トモカさん!ここはもういっそ性能は変わらないとしても都合がいいように戦闘マシーンと思い込ませませるべきっすよ!感情の無い殺人マシーンってことにしたほうがいいっすよ!」


風鳴「ほれ紅茶だ。俺も飲食をする必要はねぇんだが……。ま、成り行きだと思ってくれ」

綾華「貴方もでしたか。紅茶、ありがとうございます。――ここは賑やかですねぇ」

風鳴「妖精全部がそうなのかはわからねぇがな。退屈はしねぇさ、ただ……なんなんだろうな。おっさん、ちょいと外で休んでくるぜ」

瀬川「小心者だね」

風鳴「……かもな。そういうやつらしい」


▶風鳴が出ていった頃、夕宙が話し始めますね


夕宙「型番はS-07-27、名前はダチュラ。どうか命令を」

百瀬「え、そういう感じなの……あなたは、夕宙来玖という名前があるよ。性格は……、今じゃないといけないんです?瀬川さん。できれば今まで通りでいいです……」

瀬川「ロボットに今までどおりはないよ。ちゃんと言葉で束縛するんだ」

十六夜「ロボットって、便利なように見えるけど案外そうでもないんですかね」

百瀬「そこはもう、機械ですねぇ……。じゃあもういいわ私の弟になりなさい!それでいいから!!」

夕宙「はい。姉さん。百瀬来玖、全力で弟になります」


元木「弟……アイドルとかの……彼氏の隠語……。ばっかおまえ考えすぎだぞ猛、でもおまえそれ、トモカさんの身内になるってことじゃねぇかそれふざけんなよ」


百瀬「姉さん…………」

浅倉「こんなにあっさり関係性が変わっちゃうものなんだぁ……」

稲生「うーん……。人で言うなら身体は無事だけど魂は無事じゃないってやつ……?ふくざつ……」

百瀬「……わるくない、かも」

元木 「……へ?」

瀬川「所有者の権限は、主人が死ぬか、機能が停止するかだ。大切にしてやってくれ。おねーさんにはこちらから連絡しておく」

元木「大切に……?これを……?トモカさんが……?……はー?」

帯刀「奴隷が減っちゃったね紬ちゃん。ご主人様に恩を売るチャンスだよ」

浅倉「なんでそうなるんですか」

瀬川「取敢えず綾華くん。銀行口座を教えてくれ。今回の報酬は78万円だ。来玖の銀行口座番号も百瀬くんに渡しておく」

百瀬「──つい追い詰められて言ってしまったけど、これからどうすればいいの……」

綾華「いえ。私口座は持ってないですよ……?人形ですし……」

瀬川「なるほど……。じゃあこの紅葉銀行のネット口座の番号をあげよう。課金とかに使ってくれ」

綾華「課金!? やったぁ! 私じゃどうにもならなくて諦めてたんですよねぇ。ありがとうございます!」

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