第23話 登校中

「はぁ~もうなんかどうでもいいや~」

学校に向かう途中に俺は勇吾ゆうごと合流し、勇吾は合流するなりそんなことを言った。

「どうした?急にそんなこと言って。」

「いやぁ…ね?実は…」

俺は歩きながら勇吾ゆうごに聞くと、勇吾ゆうごは愚痴をこぼし始めた。

その愚痴がまぁ…長いのだ。うん、長い。

しかも勇吾ゆうごはこういう時は矢継ぎ早に喋るので俺は話を聞くしかないのだ。

しばらくの間、俺がずっと愚痴を聞いていると、

「…って事でもうなぁ…疲れたんだよ。」

勇吾ゆうごは一通り話を終えたのか溜息をついた。

「そうか…大変だな…。」

俺はまるで全部を聞いていたような感じで適当に返した。

俺は半分位聞き流していたのだが内容はある程度は理解できる。

大体が勇吾ゆうごの家族に対しての愚痴だった。

妹の部屋に入ったら妹に非常識って罵倒されるとか、

親がやたらと何かスポーツをしろってうるさいとか、

まぁ特に気になる点は無かった。

そもそも俺は朝の事で頭がいっぱいで勇吾ゆうごの愚痴になんて興味が無かった。

そんな俺の事を勇吾ゆうごは察したのか急に

「お前…なんかあったか?」

と真面目な顔で聞いてきた。

俺は正直に言うと限界が来ていたのだろう

「実は…」

と俺は思わず、鏡花きょうかの事を勇吾ゆうごに話してしまった。

勇吾ゆうごはさっきの愚痴をこぼしていた時と打って変わり

真面目に俺の話を聞いてくれた。

話始めると俺は止まらなかった、止められなかった。

そして俺が一通り話し終わると勇吾ゆうごは真面目な顔をして一言、言った。

「…それって…俗に言うヤンデレじゃないか?」

俺は勇吾ゆうごの言っている意味が分からなかったので思わず、

「ファッ⁉」

と声が漏れた。

(ツンデレは何となく分かるが…ヤンデレって何だ?)

俺はヤンデレというものが全く分からなかったので。

「…って、なに?」

勇吾ゆうごに聞き返すと、

勇吾ゆうごは頭を掻きながら鞄からブックカバーをしている文庫本を出した。

「説明するのは面倒くさいから…取り敢えず、これ読んで勉強してくれ。」

俺はその文庫本を受け取り、タイトルを見ると

『ヤンデレ妹がいる日常』

と書いてある。

(え…妹がいるのに何で妹物の文庫本を?ていうか、ヤンデレって何?)

など突っ込んだらきりがないが

「うん…まぁ…読んでみる…。」

と曖昧に返事をして俺は文庫本を鞄にしまった。

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