第10話 帰宅

「お疲れ様でした。」

椿つばきさんはそう言って

バイトを終えて着替え終わった俺たちにコーヒーを振る舞ってくれた。

結局、今日はさくらちゃん以外お客さんが来なかった。

「ごちそうさまでした!」

勇吾ゆうごは俺より早く飲み終わり先に帰るようだ。

「じゃあ俺、早く帰らないといけないんでお先に失礼します。中也ちゅうやもじゃあなー」

勇吾ゆうごはそう言って店を出た。

勇吾ゆうごが店を出た数分後――――

「ごちそうさまでした…」

俺もコーヒーを飲み終わり、帰る支度を始める。

「あ、中也ちゅうや君…ちょっといい?」

椿つばきさんが俺を呼び止めた。

「なんですか?」

俺は彼女の方に振り返った。

椿つばきさんが少し俯きながら言った。

「えっとー次、来る時でいいんだけど…

もし、まだあるなら持ってきてくれないかな?」

「まだまだあるので、全然いいですよ。

俺が持っていてもですし…売ろうと思っていたぐらいなので。」

俺がそう答えると彼女は笑顔になり嬉しそうに

「ありがとう!やったー!」と言った。

「じゃあ俺はそろそろ帰ります、お疲れ様でした。」

「お疲れ様ー」

俺は帰る支度を終え、店を出た。


「ただいま…」

バイトを終えて帰宅した俺は自室へ向かった。

ガチャ―――バタン……

「ふぅ……」

自室に着いた瞬間…俺は深くため息をついた。時計を見ると6時半を指していた。

俺はベットの腰を下ろし、スマホを取り出した。

スマホを付けるとラインの通知が来ていた。

鏡花きょうかさんからだ。)

俺はすぐに内容を見た。

―――『今度、4月22日にどこか行きませんか?』―――

俺は動揺した。

(これは……彼女からののお誘いでは⁈)

と俺は最初に思った。

(だが……水曜日?4月22日水曜日?何かあったけぇ…)

俺はカレンダーを確認した。

(4月22日水曜日は…2週間後で……あ!学校の創立記念日でじゃん!)

俺はそのことに気付くとすぐに返信した。

『そうだね。鏡花きょうかさんはどこか行きたい所の希望はありますか?』

すると、すぐに既読が付き返信が返ってきた。

『すぐには出て来ないのですが、あまり人が少なくがいいです。』

俺は彼女の返信に返した。

『分かった。明日までに考えておきます。』

すると、またすぐに返信が返ってきた。

『じゃあまた明日もお昼、食べませんか?』

俺は今日の昼休みことを思い出した。

(あの弁当、凄く美味しかったな…作ってくれないかな…)

俺はそう思いダメ元で返してみた。

『そうだね!また弁当お願いしてもいいかな?』

またすぐに返信が返ってきた。

『もちろんです!また頑張って作ってきます!』

俺はこの返信を見た瞬間―――

(よっしゃぁぁぁぁぁぁーーーー)

と思わずガッツポーズをしていた。

『ありがとう!楽しみにしているよ。』

と俺はすぐに返信してスマホをスリープにした。

暗転した画面を見ると俺の背後の本棚に赤い光を放つ小さなが見えた…

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