第28話 山里は 冬ぞさびしさ まさりける

『先生、おはようございます。』

『おはよう。それにしても、9月になったなぁ。高校野球を見ていたらお盆になって気付いたら9月だなぁ。』

『本当に早いですねぇ?』

『それにしても、早いと言ったら、立ち食いそばだなぁ?』

『ですねぇ。本当に早いですねぇ?』

『ところで、関西風の出汁と関東風の出汁はなぜ?色が違うと思う?』

『えぇ?突然どうしたんですか?出汁の近い?出汁の材料とかですかねぇ?解らないですよぉ。』

『それは、徳川 家康が影響してるらしいんだよ。三河出身で今も残る味噌文化。独特の濃い色の味噌。それに対向したのが、豊臣秀吉だねぇ?これも関ヶ原の戦いで東西に別れたのが要因らしいだよねぇ。それに加え、食文化も影響しているらしいねぇ。関東では鮪を良く食べるけど関西は鯛らしいからねぇ。』

『なるほど…。確かに、関東の出汁は真っ黒で関西の出汁は透き通るほどに薄いですねぇ?面白いですねぇ。』

『まぁ、評論家ではないので詳細は解らないけど…味の分岐点は関ヶ原らしいよぉ。』

『へぇ~、そうなんだぁ。』

『ところで…』

『はい、ルイボスティーとソフトチキンと大量のパクチーのサラダとハムとチーズのサンドイッチです。』 

『あぁ~、ありがとう。はい、原稿ねぇ。』

『はい。今回も原稿は完璧!助かります。』 

『じゃ、また、原稿が出来上がる前に連絡するねぇ。』


『それにしても、先生は雑学の宝庫だなぁ。本が好きな人は頭が良いなぁ。たまには、立ち食いそばで関東の濃い出汁を堪能しようかなぁ。』


『あちゃ〜、またやっちまった。変な雑学を入れてしまったなぁ。早い→そば屋→出汁?ってなんかなぁ…一方的に話をしてしまったなぁ…。まぁ、楽しく会話出来たから良かったけど…気をつけないとなぁ。さてぇ、仕事、仕事、さぁてやるぞぉ。』


今日の百人一首は…

『源宗于朝臣〜山里は 冬ぞ寂しさ まさりける 人目も草も かれぬと思へば』


20××年 

『今日は久しぶりに青梅でキャンプだなぁ…楽しみ。先生、キャンプ場は何処ですか?』

『たぶん、この辺なんだけどなぁ…。』

『さっきから、同じ道をいったりきたりしてません?なら、道の駅の駐車場に車を置いて少し歩きません?』

『そうだなぁ。歩けば人にあって道を聞けるからなぁ。』

『ですねぇ。少し歩くかなぁ。』

『それにしても、山里には人がいないねぇ?』

『本当だねぇ?』

『それに、かれこれ、30分も歩いても車が一台もこないなぁ…』

『そうだなぁ…寂しいなぁ…あぁ…でも、稲村さんと歩くのは楽しいなぁ…』

『ですねぇ?先生、手をつなぎましょう?』

『あぁ…』

『先生、あそこを見て下さいよぉ…看板がありますよぉ。鮎釣り場まで3キロ。キャンプ場まで2キロ、道の駅まで1キロですよぉ。それに、民家もちらほらと見えてきましたよぉ。山里ですねぇ?農作業している人がいますよぉ。』

『すいません。キャンプ場はどのように行けばよろしいですか?』

『キャンプ場かい?それなら、かなり遠いなぁ。道の駅に戻って、500m行ったら途中に川があるからそれを右に500m行ったところにあるよぉ。結構、川を過ぎると道の駅に車を置いて聞きに来るんだよぉ。以前は看板があったけど…台風で飛ばされてねぇ。』

『ありがとうございます。』

『少し、行ったところに、ガソリンスタンドがあるからタクシーを呼ぶといいよ。』

『すいません。ありがとうございます。』

『それにしても、寒いですねぇ?道の駅で少しゆっくりしてキャンプ場で暖を取ろう。』

『そうですねぇ。』

『本当だねぇ?寒いねぇ?草も木も枯れ果てて、雪も降ってきているなぁ…』

『あぁ…本当だぁ。雪だなぁ…。でも、一緒だから、うれしいなぁ…。』


『山里は 冬ぞさびしさ まさりける…』


『えぇ!マジかぁ。あるのかなぁ…。キャンプ場で2人きりかぁ。でも、稲村さんと一緒に道に迷うのも悪くないなぁ。最高だなぁ…。』


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