08 不憫なダンジョンボス



 スライムとダンジョンボスはマブダチだったらしい。

 ダンジョン内部は長い年月をかけてすべて変化していった。


 ダンジョン内にいるモンスター達は、自意識が強くなって、割と自由に行動しはじめた。

 ダンジョンの構造も、掘られたり継ぎ足されたり組み替えられてりして、結構変わった。


 が、ダンジョンボスだけは例外だった。


 ボスはダンジョンの核で、最も重要な部分だ。


 だから、好き勝手されるとダンジョンその物の存在が揺らいでしまうらしい。


 ダンジョン存続の裏事情、初めて知った。


 という事で、ボスモンスターはボスの部屋から出られないようだった。


 ボスは長い事、ボス部屋の鍵を集めた挑戦者が来るのをまっていたらしい。


 だが、それだとボス部屋のルールにのっとって戦わなければならない。

 ボスが戦いに勝ったら、部屋はそのまま閉じられる。

 挑戦者が勝ったら、そのボスは死んで、次のボスが生まれるだけ。


 ボスにとってそれは、千年の孤独に見合わない結末らしくご立腹の様だった。


 魔王が封印されたばかりに、不憫なボスモンスターだった。

 だが、どんな隙間でも入れるスライムは、ボス部屋の鍵を集めなくても自由に出入りできたため、下級モンスターでありながらマブダチとなったらしい。


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