新しい出会い

 それからまた時が経って、私たちは高校二年生になった。

 リョウちゃんを男の子だって意識し始めたのも、確かそのころだったと思う。



 最初の出会いから早くも、11年が経過していた。




「オレ、今日バイトの日だから、後はヨロシコ~」


「リョウちゃん!掃除当番なんだから逃げないでよ!!」



 私が言い終わるか言い終わらないうちにもう、いなくなってた。




 ………逃げられた。

 ……たく。

 逃げ足だけは速いんだから。





 今週は、教室の掃除当番――。


 幾つかのグループに分かれて、班が決められていた。



 一年のときは、リョウちゃんとクラスが別々だったけど。

 二年に進級してまた、同じクラスメートになった。




「いいよ、いいよ。

 オレらで、さっさと終わらせちゃおうよ。ねっ!」


「ありがとう。ごめんね……」


「大丈夫だよ。サオリちゃんが気にすることないさ」



 そう言ってくれたのは、満面の優しい笑顔で接してくれた。

 同じクラスメートの男子生徒。



 彼の名前は、中村ナカムラ トオルくん。

 このとき、私は初めてトオルくんと言葉を交わした。




 へぇ……。

 結構、優しいんだぁ。



 …―って。

 そのときの第一印象はそう思っていた。


 後に彼とは、その後の人生に大きく関わってくるなんて。

 そのころはまだ全然、思ってもいなかった。






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