第24話 不在 その理由

 その後はヤマシタの「で、彼氏さんとはどうなんすか」と言うセクハラをしどろもどろでかわしつつ、ドルチェのティラミスまでしっかりと平らげてしまった。

 これはちょっと暫く気を付けないと脂肪化するパターン。

 そんな事より、リュウよ。

 既読は付いたものの、その後音沙汰無し。

 怒っちゃった?

 そっか、じゃぁまた今度

 くらいの返事くれても良いんじゃないの?

 友達とご飯に行くくらいで怒るなんて、この先リュウと続けていく自信ない。

 いや、友達とご飯じゃなかったけど。

 何で嘘ついた、私……。

 正直に、職場の後輩と仕事の相談でご飯食べてる、って言えばよかったのに。

「先輩!」

 ヤマシタの声で、我にかえった。

「もー、そんなに彼氏さんの事が気になるなら電話したら良いじゃないっすか」

「え?」

「どーせ、さっきのLINE彼氏さんでしょ?」

「うん……」

「さ、彼氏さんに電話しに行きますよ!」

 ヤマシタ、伝票を持って行ってしまった。

 慌てて後を追ったんだけど、支払いさせてくれなかった。

「悪いよ、誘ったの私だし」

「彼氏ができたお祝いって事で」

 それを聞いたレジの男性が少し微笑んだりするもんだから、急に恥ずかしくなっちゃったじゃない。

 はたから見れば、おばさんが彼氏できて浮かれて報告したみたいじゃないのよ!

 ヤァマシタァァァ!!!!!!

 でも

「次、おごって下さい」

 抜け目ないわ。


 ☆ ☆ ☆


「さ、ほら。今すぐ電話して! 返事こないから自分もしないとか、そんな意地は意味ないっすよ」

 そ、そうなの?

 ヤマシタにせかされて、つい。

 ほら、ご飯は断っちゃったけど、今からちょっと飲みに行ったりとかできるし。

 ね。

 と、リュウの番号に、つい、電話しちゃった。

「お。出たら変わって下さいね。ちゃんと先輩の事お願いしなくちゃいけないんで」

 なんでよ。

 ヤマシタ、にやにやしてる。

 そうだった、こいつ、ワイン飲んでた!!!

 酔っ払いに乗せられてしまった。

 でも、もうコール音してるし切るわけには、ねぇ。

「あれ? 出ないっすか?」

 うん……。

 寝ちゃった?

 お風呂?

 トイレ?

 急な仕事?

「あー、残念。いつか合わせてください」

 ヤマシタはそう言ってご機嫌に帰っていった。

 んだけど。

 本当、リュウどうしたんだろう。

 私、今気づいたけどリュウにこんな長く放置された事なかった。

 何度か電話もしたし、LINEも送ったけど出ないし既読もつかない。

 やっぱり、急な仕事?

 ウチに戻って、シッポのご飯を用意していたらスマホが鳴った。

 え?

 香織ちゃん??

「ノリちゃん! お兄ちゃんが事故」

 心臓が大きく跳ねた気がした。

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