六話 出会い

 真明は悪霊に憑りつかれた耕蔵を助け、お礼に十銭を受け取った。

 そして、最初に立ち寄った村を出た真明は再び北を目指す。


 山道を走り回った真明は少し疲れたのか、ゆっくりと歩を進める。


 しばらく歩いていると道端にお地蔵さまがあった。

 真明はお地蔵さまに手を合わせて頭を下げ、旅の安全を祈った。


 祈り終わるとまた歩き出す。それを何回か繰り返したあと、道の途中に茶屋があった。

 真明は茶屋に立ち寄ることにした。


 店の人に五銭の団子一本と三銭のお茶を頼んだ。

 しばらくして、頼んだ団子とお茶がきた。


 真明は食べ物にあまりこだわりはないが、嫌いではない。


 団子は串に三つ刺さっている。真明は一つ食べてはお茶を飲み、また一つ食べてはお茶を飲むことをして平らげた。


「ごちそう様でした…」


 店の人に「美味しかったです」と伝え、長いすから立ち上がった時だった。

 真明の近くにいた男が急にせき込みだした。


 真明は「どうしました」と声をかけつつ、その男の背中をさすった。

 その男は「み、水を…」と言ったので、真明は持っていた水を飲ませた。


 しばらくすると、せきが治まり楽になったようだった。


「あ、ありがとうございます!見ず知らずなのに助けていただいて…あっ、私は助七(すけなな)と言います!」

「…わたしは、真明です」

「ここで会ったのも何かの縁です、一緒に行きませんか?」

「しかし…わたしは北に向かっているので、そういう訳には…」


 助七と言う男は見るからに嬉しそうだ。


「ちょうどいいです!私もそっちに用があったので、しばらく同行させて下さい!」


 真明は仕方なく、いや半ば強引に助七と一緒に行くことになった。

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