第2話 幼馴染の早起き

なんだか寝苦しくて目が覚めた。

布団を剥ぐと、足が腹の上に乗っていた。

もちろん自分の足じゃない。

自分の足と他人の足、乗っていたらどちらが怖いだろうか。

断然自分の足だと思う。


さて、この足は体に対して90°に乗っかっている。

足の先を辿る。

床には案の定幼馴染の流季がいた。

寒いからとベッドに潜ったはいいものの、寝相が悪くて落ちたか。

はたまた最初から足だけを潜らせたか。

後者はもはや目的が分からない。

足湯的な。

足ベッド?

とりあえず足から抜け出して、流季を起こす。

「おい、るぅ、起きろ」

るぅ。

小さい頃から変わらない呼び方だ。

「あと5分」

また絶妙な時間を提示してくる。

「あと5分だな」

「うん」

というかよくその姿勢で5分延長したな。


5分たった。

流季を見る。

まだ寝てるらしい。

ここは一旦スルー。

6分経過。

「5分って言ったでしょ!」

起きてたんかい。


なんとか起きた流季。

「今何時だと思ってるんだ?」

「4時半」

正解するんかい。

「なんだか変な時間に目が覚めちゃってさぁ、暇だったから」

「俺を起こしに来た、と」

「うん。だけどやっぱりなんか眠くなって」

「ベッドに潜ったと」

「足だけ」

まさかの足ベッド。

「だって狭いじゃん」

「そらシングルベッドだからな」

「ダブルベッドにしなよ」

「部屋が狭くなる」

「ケチ」

だいたいなんで俺の部屋にダブルベッドが要るんだ。

「私が寝れないでしょ」

「ナチュラルに頭の中を読むんじゃない」

「それじゃあおやすみ」

「あっ」

こいつ、俺のベッドを占領しやがった。

ふぅ……。

仕方なく足ベッドをする。

ふむ、なかなか悪くない。

流季の

「グエッ」

という声は聞かなかったことにする。

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