幼馴染の距離感がいい感じな件

ジュオミシキ

第1話 幼馴染の日常

ある日目が覚めると異世界にいるわけでもなく、

怪獣が暴れているわけでもなく、

世界が崩壊しかけているわけでもなく、

ただただ普通の世界での、俺の日常。

……ん?あぁ、そうだな。……俺達の、俺と幼馴染の日常。

良かったら見ていってくれ。

まぁ、特になんもないんだけど。





「おはよう」

「……おはおう」

俺の家、さらにいえば俺の部屋。

休日だからと夜遅くまで本を読んでいた結果、いつの間にか寝落ちしていたらしい。

時計を見ると、朝の10時だった。

そんな俺の休日の過ごし方に特段文句も言わず、ベッドの横にもたれかかって我が物顔で本を読んでいる人物。

伊佐野いさの 流季るき

隣に住んでて、小さい時から一緒にいる。

俗に言う幼馴染だ。

「朝ごはん、冷めてるかも。温めといて」

「……うん」

ベッドからのそのそ出て、洗面所へ向かう。


父さんはまだ寝てるらしい。

母さんは出かけてるみたいだ。

朝ごはんはベーコンとスクランブルエッグだった。

パンはセルフ。

バターは……いいか。

時間的に戦隊も終わってしまい、特に見るわけでもないニュース番組を流しながらの朝ごはん。


部屋に戻ると流季はまだ本を読んでいた。

もちろん俺の部屋の本だ。

「それ何巻?」

「28巻」

表紙には明らかに6巻と書いてあった。

「その先ヒロインが死ぬぞ」

「へぇ〜」

明らかな生返事。

特に何もする事がないので、ベッドに横になる。

「食べてすぐ寝ちゃダメだよ」

「ちゃんと1時間たちました〜」

「ありゃ、もうそんなに経ってた」

時計を見て少し驚く流季。

でもまた本に戻る。

「あ、本当にヒロインが」

どうやら件のシーンにたどり着いたらしい。

「ねぇ、これ次の巻ないの?」

「来月発売。予告に書いてあるだろ」

「ちぇ〜」

まぁ、また来月読みに来よっと と呟く流季。

自分で買うつもりはないらしい。

「さて、じゃあ行こうか」

はて?どこに?

「映画」

映画かぁ。

「よし、行こう」

映画を観に行くことになった。

急に。

いつものことだ。


「何観るか決めてる?」

「特には」

いつものことだ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る