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 何はともあれ、まずは練習だ。俺はジムカーナの草レースに数多く参加することで、クルマを操る技術を磨いた。


 実際、LVSドライバーはほとんどがジムカーナ出身だ。狭い範囲でクルクルとコマネズミのように動き回ることが要求されるLVSとジムカーナの共通点は多い。ただ、ジムカーナには決まったコースという物があるが、LVSにはない。だからドライバーには状況に臨機応変に対応する能力が要求される。


 この能力に長けているのが、ラリードライバーだ。ラリーにも一応コースはあるが、何度もそれを走れるわけではなく、また自然の中で刻一刻と状況が変わるため、ドライバーはそれに応じて常に最適な走りをしなくてはならない。俺はもともとラリー屋だったので、そういう能力もそれなりにある、と自負している。


 一番ダメなのがサーキットのレースドライバーだった。彼らはとにかくスピード狂で、前のクルマを追い抜かなければならないという強迫観念に駆られているような連中だ。しかし、LVSでは競技中に時速100キロに達することはほとんどないし、前のクルマを抜いてしまったら負けがほぼ確定するのだ。なので、レース出身のLVSドライバーはほとんどいなかった。


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