第7話 クリス

 俺たちは現場となったユウキの部屋の中で話す事にした。


 まだその辺からユウキがヒョッコリ姿を現わしそうだ。



「……約束の時間になっても連絡を寄越さないからアツシ君が、ここへ来たらしいんだ」

 ヒデが訥々とつとつと事情を話した。



「うン……」部屋を物色しながら頷いた。

 アツシはユウキのバンドのリーダーだ。



「そう、ッで、いくらドアをノックしても返事がないので不審に思った彼がドアを開けたらしいの」

 クリスも説明を加えた。



「え、鍵は……」

「合鍵を持ってたらしいわ」


「なるほど…… ッで、硫化水素か……」

 どうも納得できない。

「この前、会った時は全然、そんな素振りはなかったのに……」



「ええ、彼はプライドが高かったそうだから友人のあなたには伝えなかったンじゃないの」


「そんな。あ、そうだ。ユウキには彼女がいたンじゃ」


「ええ…、でもその彼女に振られた事が原因みたいねェ……」


「振られた。だから自殺したッて言うのか」

 にわかには納得できない。

 


「ええ、遺書が残されていたのよ」

「何、遺書が……」



「今は……、ご実家に有るわ」

「ユウキの実家か……」


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