Ⅳ 滅茶苦茶


「はーい、何か用ですかぁ?」


「用があったから呼んだんだろ。お前さ、ラシャ村にこいつらと一緒に行ってくれ。」


「はい!団長直々のご命令ならば!

 って、おやおや?そこの青年君たちは入団したてホヤホヤかな?」


「あっ、はい!宜しく御願い致します!」


「いいよいいよ~。そんなにかしこまらなくて~。そんで、団長様はどういったご要望で?」


「こいつらのサポートをやってくれ。お前、回復魔法リカヴェル使えんだろ?体力とかなんやかんや消耗するだろうから、付き人として行ってくれ。」


「かしこまりました!」


「んじゃ、いってら~。」


「よぉーし、私はラピス・ランス。よ~ろし~くね~!」


 なんだか、楽しそうな先輩パイセンだなぁ…。

 僕は、これからの生活に胸を弾ませた。


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「そういえば、ランス先輩の属性って何なんですか?」


 アズが、箒に乗ってラシャ村に向かう途中、ランスに尋ねた。


「私は天然石ナチュラル属性だよ~。私が生まれてきた家系は、代々石にまつわる属性でねー、希少金属レアメタルとか、大理石マーブルとか、

 色々あるんだよ~。」


「そうなんですね。」


『なあ、ちょっといいか?』


 僕はアズにこっそり話し掛ける。


『なんだよ?』


『さっきのアジトにいた、凄くアピールしてくる…チェニ先輩って、何なんだろうな?』


『さぁ……。しかし、あれを見たときは背筋がぞっとしたよ…。』


「さぁさぁ、着きましたよ。」


 ここが……。一瞬カイルは目を疑った。

 辺り一面焼け野原。家もなく、畑は灰と化し、親を亡くした子ども達が至る所で泣き喚いている。


「なんと惨いことをするんだ…。」


「無駄口叩いてないで、早く作業する!」


「あっ、はい!」


「皆さーん!助けに来ましたよ~!」


 ランスに急かされ、カイルとアズは急降下し、着地した。


「もしかして、魔法騎士団ナイツの方々でしょうか?」


 痩せ細った男性が僕らに尋ねた。


「ええ、そうですが。」


「おぉ、直々にありがとうございます!おい、助けが来たぞ!」


「やっと来てくれたのか!」


「もう見捨てられたかと思ったよ…。」


「これで元の生活に戻れるね!」


 子どもたちは手を取り合い、大人は嬉し泣き。


「いつまでも喜んではいられませんよ!早く作業を開始してください!」


「でも、負傷者がこれだけいれば、どうすることもできませんよ。」


 村人の一人が訴える。


「私に任せなさい!回復魔法リカヴェル ガーデンクォーツ療養!&ペリドット夢誘惑!」


 ランスが叫ぶと同時に、ランス以外の体が光り、カイルとアズの周囲には、2人の女性が現れた。


「ななな、なんでシェルラがここに⁉」


 アズは突然現れた「シェルラ」という女性に対して、慌てふためいている。

 僕の近くにも、昔、好きだった女の子が視界に入った。


「リオン……。」


 リオンはクスッと微笑むと、僕の周囲と一体化シンクロして消えてしまった。


「……あれ?魔力が回復してる…。」


「そう!これは昔恋した子が自分の心身を回復させてくれる魔法なんです‼」


「なんか滅茶苦茶な魔法ですね!」


 アズがツッコミを入れる。


「じゃあ、あの石は?」


 僕が村人たちが乗っている巨大な赤みのある水晶を指差すと、「あれはね、ガーデ

 ンクオーツ。心身を回復させたり、危険を回避したり、ポジティブにさせる効果がある石ですよ。」


 と、説明してくれた。

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