Ⅱ 仲間

「さあ、手続きも終わったことだし、入団する魔法騎士団ナイツを案内しよう。ついておいで。」


 魔法騎士団ナイツは団ごとにアジトで生活するらしく、僕の入団するナイツは

 黑兎ラビット」という魔法騎士団ナイツらしい。

 人にすれ違うたびに、都心に住む人々や皇族おうぞくに困惑の目で見られる。


「おい、法王が下民と共に歩いているぞ…。」


「何か無礼な事をしでかしたのか…。」


 時には皇族おうぞくが駆け寄ってきて、


「法王陛下!ご乱心されたのですか⁉共に下民どもと歩くとは…」


「彼は魔法騎士団ナイツの入団者でね。案内してあげているんだ。ちょっとそこをどいてくれないかな?」


 僕に話しかけた時と口調は同じだけど、顔が怖く見える。

 国王はこの国の民全員から認められた者だから、このようなことだってできる。

 …ほんの少し、国王陛下が恐ろしく思えた。


「さあ、着いたよ。ここが黑兎ラビットのアジトだ。」


 見た感じ、アジトは、4階建てのやや古めのコンクリート造りの建物。壁の至る所には苔や蔦が生えている。

 扉を押すと年季の入った蝶番が悲鳴を上げる。


「やあ、連れて来たよ。」


 中には黑兎ラビットのローブを来た男女が3人と、1人の長身の女性が居た。


「おう、連れてきてくれましたか、法王。」


 法王……?


「あの、貴方様は国王陛下ではないのですか?」


「いや、僕は、魔法騎士団ナイツの最高位、魔法王だけど。もしかして、勘違いしちゃってた?」


「……その通りです…。」


「アハハ、大丈夫。誰にでも間違いはあるさ。エリア、クロ団長には話してくれた?」


「ええ、頼んでおきましたよ。お兄さん」


「じゃあ、よろしく頼むよ。クロ」


「はいはい。承知しました」


 グローバー法王とエリア、と呼ばれる女性はアジトを颯爽と出ていく。


「俺、クロ・ヤスヒロ。ここの団長だ。よろしくな、新入り。」


 クロ団長は20代後半くらいの顔だが、襟付きシャツの第1ボタンを外してあり、五分丈ズボンでローブを羽織っている軽装だが、言葉遣いが何かと荒い。


「よっす、俺、フィーア・ラクセル。アンヴィア属性なんだ。好きなものは、女の子、お酒、シェラちゃん、それから…」


「アンタ引っ込んでなさい。私、リリス・チェニ。よろしくね~、可愛い子ちゃん♥♥♥」


 熱い投げキッスをかわしながら、「他にも新規入団員がいるんですか?」と尋ねた。


「ああ、いるな。お前と同じスカウトで。」


 また入り口の扉がきしむ音がした。


「よお、よく来たな。ここがお前のアジトだ。」


 入り口から入射する光に眼がくらんでしまう。

 扉が閉まる音と共に瞼を開けると―

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