第35話 お得が好きなんですよ

 閑話休題という感じで。事実なのか記憶の改ざんなのかわかりませんけど。


 いつからかなぁと思うんですが、お得に目覚めた最初の記憶は幼稚園の頃です。

 

 小学生に上がる前だったはずなので、幼稚園の頃だったと思ってるんですが、九九を覚える用の教材かなんかで、押せば数字が浮かび上がるものがありました。たぶん姉が使ってたか貰ったものだったんだと思います。

 A3用紙くらいの大きさでノートパソコンを閉じたような厚さの箱型でした。1から9までの数字が縦横に並んでいて、ボタンを押すとカチャっと下の赤い板が浮かんできて6×8の場所であれば赤く48の数字が浮かぶみたいな感じです。

 なぜかそれにハマりました。かちゃかちゃ面白かったのもあるんですが、これやってたらたぶん得なんだろうなと思ってました。

 

 そんな幼稚園児だったので数字は100までたぶん数えれたんだと思います。

 

 今でも変わってますが、当時もちょっと変わってたと思うんですけど、ぶらんこに乗りながらふと後ろに倒れたらどうなるんだろうと思ってやってみました。一瞬不思議な感覚を覚えたんですが、頭を地面にたたきつけて泣いてました。

 よく泣いてたようなきがしますが、馬鹿すぎでそのことはなんか今も覚えてます。あと畳んだ布団に突っ込むのが楽しくて、勢い余って窓ガラスに頭ぶつけて出血してました。


 そのブランコなんですが、結構人気でみんな乗って遊びたがりました。なので交代で使ってたんですが、振った数で交代みたいなルールになりました。

 たぶん自分が「100までにしよう」とか言って「おまえ100まで数えれんのかよ」みたいなやりとりがあったんじゃなかろうかと思います。

 数の数え方の説明もしたようなしなかったような気がしますが、まあなんせみんなで100まで合唱してました。

 みんな10までは数えれてて、2の10で3の10になるんだみたいなことは言ったような気がするようなしないような。

 そんな説明のせいだったのかわかりませんが、「…96、97、97、98、99、110」みたいな合唱になってました。100だろって突っ込んだんですけどみんな「何が?」みたいな感じでした。


 そんな幼稚園児でしたが、小学でもそんな感じで、賢い方が得、いい子にしてた方が得って感じてたのでそうしてたような気がします。

 別に打算とか計算とかできるほど捻くれてはなかったとおもいますが、得してた方がいいだろう的な考えは少なからず今もあるのかなぁと思います。


 でもまあ損得だけで行動してたわけじゃないです。「これ」みたいな直感でやりたいと思うこともありました。

 教材があったのも姉がいたからなんですが、その姉がピアノを習い始めました。

 最初はあまり興味なかったんですが、あるとき鍵盤を指で押しました。

 背伸びしてようやく届くくらいだったんですが、音が出ました。これだと思いました。

 あんまりわがまま言わなかったかどうかまでは思い出せないですが、これはどうしてもやりたいと懇願しました。思い返せば犬飼いたいとか、お菓子欲しいとか色々言ってたような気がしますけど、ピアノを習うことができました。これは両親には感謝しかないです。

 自分の感性の出発点はここだったのかなぁと今でも思い返したりします。

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