2 - 思い出す今日の桜

餡李から応援され階段前を後にした僕は少し走りながら校舎裏についた。まだ周りを見渡したところ、朝比奈さんは来てないらしく校舎を壁にしながら待つことにした。


携帯をいじりながらさっき餡李から言われた言葉と思い出す。


――――…でもまなくん、そんなにビビらなくてもいいと思うよ?あれでもみゆみゆさっき照れてたし~。みゆみゆ、あんな顔してたけど耳真っ赤にしててさ~!自信もっていいと思うよ!まぁどっちにしろ心の準備は必要だろうけど~あはは!――


餡李の言ってたことが本当なのか僕をビビらせないための嘘なのかはわからないけど、こんなラブコメみたいな場面だしやっぱり少し期待してしまう僕がいる。



…それに僕自身、朝比奈さんに惚れている。



入学式前の桜舞う中初めて朝比奈さんを目にしたとき、多分…いやきっと僕は初恋をした。いままで恋とかしてこなかった僕にずっとわからないものだと思っていたけど、あの胸のドキドキが脳に貼り付けにされて音が鼓動の音しか聴こえないくらい僕は胸を高鳴らせていた。その聞きなれない心拍音と一緒に僕の視線が勝手に朝比奈さんを追いかけていた。世にいう一目惚れというやつだろう、と疎い僕でもよくわかった。


今から朝比奈さんが来ること、告白ってそりゃ思いたいけれど朝のあれがあったんだ、気持ち悪いって言われるかも。何を言われるのかわからない。


けれどなんとなく僕は今のこの初恋の気持ちを大事にしたいと思った。無駄になんかしたくないと思った。

これで振られるなら後悔はしないし、うまくいったら…。


朝比奈さんには悪いけどなにか言われる前に、この気持ちを先に言おう。

そう思い結審しただけで心拍数が上がってきて、息が荒くならないように何回も小さい深呼吸をした。こんな興奮は人生始めてだった。

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すれ違いコミュニケーション 㐂咲七々 @kisaki-nanana

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