4 - たれ目な女の子

机を移動し彼女の斜め後ろのに机を置く。


「あっ、あんた!」


机を置いたと同時に朝比奈さんに声をかけられ少しビクッとする。

さすがにここまで近づいたら気づかれるのも無理はない。


「どうしたのみゆみゆ?」


さっきまで朝比奈さんと喋っていた僕の隣席の女子が声をかける。ボブとショートの間くらいの髪の長さで既にブレザーを脱ぎシャツの袖を捲っている。ボーイッシュな女の子だ。


「あっ!君が私の隣になる子かなぁ?私は、保立餡李ほだち あんり!さっき出席番号順で後ろだったんだよ!これからよろしくね!」


「あ、そ、そうなんだ。僕は日陰学…よろしくね。」


保立さんは、そのたれ目な瞳をニカッとしながら微笑みかけ陰キャな僕にはとてもまぶしかった…。


「ほだっち!そいつ、さっき私が話したパンツみたやつ!!」


朝比奈さんが保立さんに少し大きめな声で言う。


「えっ?この子が?でもこの子そんなことしなさそうだけどなあ?」


保立さんは僕を見るやいなや首を傾げて下から僕の顔を覗き込む。僕は朝言い伝えられなかった事を思い出した慌てて事の起きたことの誤解を解こうと口を開く。


「あっあの!朝比奈さん!け、今朝はごめんなさい!!その、僕、君に見とれててそしたら強い風が急に…それで…その…朝比奈の…見てしまって…」


勢いで言ったのはいいものの、女子とまともに話したこともない僕はどんどん声が小さくなりモゴモゴと話してしまう。


「ほらぁみゆみゆ?まなくんも悪気はないようなんだしさぁ?許してあげなよぉ。てかさぁ!みゆみゆに見とれていたってどゆこと!?なに!?一目ぼれってやつ!?」


「ぅえっ!??…う。」


ドキッとする。保立さんが僕の必死に誤解を解こうとした言葉をつまんだ。僕もハッとして顔が赤く熱くなるのを感じ少しだけ朝比奈さんから目をそらす。

朝比奈さんは少し動揺したかと思えばすぐに鋭く睨み黙って僕を見ていた。


「…はぁ、じゃあ日陰くん、今日のお昼休憩に校舎裏まできて。そこで話そう。」


朝比奈さんが小さくため息をついたあとそう告げる。


「…ほだっち、来ちゃだめだからね。」


「えぇ~~~!?みゆみゆのいけず!」


朝比奈さんが釘をさすと保立さんはプクーと頬を膨らませながら席に座った。


―…お昼、朝比奈さんに何を言われるだろうか。僕はドキドキと不安を胸にしながら午前の授業を受けた。

そういえば、さっきは保立さんからビックリすること言われたけど保立さんからまなくんって言われてたな…ぶだからまなくんなのか…?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る