黄昏の真世界への憧憬

@Dickie_Rotten

爆乳の白

「……つまらんわ……」

「ああ。今日おもしろいのが複数人来れない日だもんな……」

(おれとは一緒にいてつまらんだと? なめとる! おれから先に……つまらんわ……と言ったが。……ああ、おれがつまらんのか……?)

 今年十代半前後の不良少年たちは屯して駄弁っている。駄弁りも減少していてあきている。

 今年二十代半の脚長美青年はファーなしでMサイズなモッズ・コートを羽織って歩く。履いている靴はスウェードで黒色のローファー。今年十代半前後の不良少年たちの前で立ち止まるが数秒後歩きだして質問もせず通り過ぎたのだが彼はその数秒後質問をして歩き続けた、今年十代半前後の不良少年たちを振り返って見ながら。

「森下躁鬱死知っている?」

「……モリシタ・ソウジ? だれだよそれ……そもそも人?」

「ってことは、全然知らないってことだな、おまえたちの知っている先輩も。その様子だと不良とバトルしまくっていたセンコーも知らないだろ、退職してる頃だしな。あれ知らないんだな、もうかなりの前だぞ」

「なんだよバカにして!」

「この辺の地域で一番有名の不良だよ。単車ではない族車だって乗っていた。単車も。単車も族車だった。まあ知ってるのは世代が違うけど」

「マジかよ」

「おまえたちはそれじゃあダメだよ」

「アァッ!」

「オレは森下躁鬱死と組んでいるんだよ」

「……ワルの先輩?」

「ああ、先輩ってわけだよ。森下躁鬱死はいまどうしてると思う?」

「そりゃあもうヤクザとか……そもそももうこの辺じゃなくてもっと都会の……」

「なめるなよ、もう更生しているんだ。それに介護しながら近所にまだいる。ほとんど一日働いているから見てないだろうけど。制約がそうさせたとかおちぶれがそうさせたのとは違うよ、ワルには種類があるんだよ、あたりまえに聞こえるがこれは奥深いこと言ってる。人生の核と通じる話」

「……マジかよ……」

「ワルであり続けるものはアーティストとしても成功できないタイプだよ、ワルぶって芸として見せてるのに流されてるんだよ結構のが。べつにアーティスト違う人を悪く言っているのと違う話、ワルについての話。才能があるワルと才能がないワル、これは天地雲泥の差だよ。それにつまらないなんてことはないだろ。本当につまらないだとわざわざそんなふうに集まらないだろ。おまえたちがつまらないだけだ。それによくワルが言う仲間意識ってのは仲間はずれの意識だ、本当だぜ、仲間いてもそういう意味だぜ結果は。そもそも二十歳ちょっと過ぎたらその仲間の八割以上は大したことなかったってわかってくのもお約束的なのにな。オレたちの集まりなんかでも影響力あるもの同士で仲が割れすぎてとかもあるぜ、ワルだったのがワルの滑稽さを感じてワルやめていくことだってある」

 今年二十代半の脚長美青年は今年十代半前後の不良少年たちが見れる範囲から去っていった、もう会話はしていない。

「……目が左右位置ずれているゲームオタクの同級生が、頭と外見よくしたいからほとんど全身がロボットになった話を思い出した」

「……こっちもイトウ・イキト思い出した。……あいつ最近学校来てないよな」

「……裸電球があるだけのようなプレハブ小屋にいるって聞いたぞ」


 留年生、伊藤生人は十七歳。西暦二〇一九年の秋。

「イキトったらがっつきすぎぃ~」

 伊藤生人は幻覚が見えるほどに精神に負担をかけて生きていた。幻覚がガールフレンドを生み出したのは不幸中の幸いなようだ。

 伊藤生人はほとんど全身がロボットとなっている。色は緑。モッズ・コートを羽織っている。

 伊藤生人は秋月京之介というイケメンにあこがれていた。

「がっつかせてくれよぉ」

「伊藤ナマイキすぎ!」

「なんだよ急に! さっきまでは甘えさせてくれてただろ? 冗談だろ?」

「冗談じゃない!」

「……」

 幻覚のガールフレンドは不機嫌になってしまった。

「行くから!」

「よし、もっと改造してもらおう……。プロフェッサー・アイオミに」


 宇宙人らしきものと黒魔術師に支配されかけの世界を守ろうと〝ジオフロント・オブ・アガルタ〟と呼ばれている巨大地下都市から白魔術師と白騎士がやってきた。ジオフロント・オブ・アガルタには補欠の白魔術師と白騎士もいて、それが気になって伊藤生人は見にいった。

 白魔術師のが白騎士より多く、宇宙人らしきものと黒魔術師と戦うには戦闘要員が少なすぎる状況。

 自作の近未来的バイクで敵軍の宇宙人らしきものを倒そうとしているレインコート・マフィアと構成員百人を越える団体がまだ存在している……宇宙人らしきものと黒魔術師の侵略もあって構成員は増え続ける……それは潰れた会社のバイクを髑髏型のフル・フェイス・ヘルメットを着用して乗って敵軍の黒魔術師を倒そうとしているボーンヘッド・パイロッツ。レインコート・マフィアとボーンヘッド・パイロッツは暴れが戦果を出してヒーロー視される。ヒーロー視されるといっても宇宙人らしきものと黒魔術師の侵略があったからで、もとはならず者たちだが。ちなみに伊藤生人が率いる集団はママチャリで敵軍を追い、倒そうとしている。ママチャリのわけは妥協。伊藤生人の仲間であるのは高校生で無免許のものが多いからだ。伊藤生人は同級生と敵軍を倒そうとしている。

 このままだと好ましくないと判断して黒魔術師は飼い犬としてしつけた黒色の犬を召喚させて、〝ブラック・ドッグ・マインド〟という呪文を唱えた。ブラック・ドッグ・マインドは強化魔術。その犬たちは〝黙示録の犬〟とも言われる魔界出身のコワモテな番犬。犬好きはかわいがって結果かまれるなど被害を受けることも多い。

 伊藤生人はほとんど全身がロボットだから戦闘要員として活躍できる可能性が大きい。

 伊藤生人は軍の実験台兼兵器としてタダでほとんど全身がロボットだ。

 黒魔術師は呪文を記した割れ物を床や壁に投げて割る儀式もして攻撃してくる。〝イェエエエエエエイッ〟または、〝ウェエエエエエエイッ〟と叫びながら。

 割れ物の破片が目標にしている模様になるまで投げ続ける者もいて、専属戦場カメラマンに撮影を任せる黒魔術師もいる。割れ物の破片がスロー・モーションで見ないと目標の模様にできていないだとか、記憶できない状態だともし失敗していた場合次の段階にある詠唱をする意味が消えてしまったりと確実なデータを求める黒魔術師が大変多い。タブレットを投げていつもと投げるパターンを変える投げもあるとのこと。タブレットだと大した飛び散りにならずただ画面に罅ができるというだけといった場合、下級黒魔術師と魔術師界隈から見られてしまう。マジック・ミラーに夢中にさせ急に内部から割ってくる黒魔術師も多い。

 ちなみに黒魔術師の平均身長は百八十五センチメートルとのこと。白魔術師代表いわく〝白魔術師たちが黒魔術師たちのデータを図鑑化させたことから黒魔術師たちのことはその図鑑から結構把握できる〟とのこと。ちなみに白魔術師の平均身長は百九十センチメートルとのこと。


 存在する季節は春夏秋だけで夕焼けが半日以上続く世界が本当の世界。冬と朝と害悪は本来ないものだった。被害者はいない世界が本当の世界。黒魔術師たちは魔術で害悪をつくった。世界の歴史も黒魔術師たちによって改竄された。白魔術師たちは黒魔術師たちに対向したが最近より前は大体負けそうになっていた。グロウリ・クロウリーという身長百八十四センチメートルで赤毛の黒魔術師のボスは西暦一九九八年生まれ。紫装束を着ている。最近は杖に特殊アメジストを埋めた。特殊アメジストは魔力が強い。グロウリ・クロウリーの先祖のキャプテン・リード・ジミ・ブラック・オヅィ・ペジ・クロウリーがルビーを埋めた時、まばゆい閃光が迸り、夕焼けは減った……この現象は〝モーニング・クロウリー〟と呼ばれる。

 宇宙人のボスでグロウリ・クロウリーの仲間の土星人、サタン・ザ・グレース・ボーイは身長二百十センチメートルで灰色の毛。

 グロウリ・クロウリーもサタン・ザ・グレース・ボーイも腰以上の長髪だが男性。宇宙に住んでいる。宇宙人らしきものと黒魔術師の幹部は宇宙にある温泉に住んでいる。グロウリ・クロウリーもサタン・ザ・グレース・ボーイも人間から見て美形のようだ。

 グロウリ・クロウリーの愛機、レッド・ゼット四号機は天国に転移できるように改造される計画が立てられている。天国を地獄にくつがえすのが狙い。


 グロウリ・クロウリーを魔術対決で討伐すればモーニング・クロウリーは消滅し、真世界が訪れる。

 魔術対決で勝つ方法は世界一の研究員グループいわく〝白騎士と白魔術師以外の人間の持った邪心を、魔力変換器で吸いつくし、その魔力をグロウリ・クロウリーに浴びさせる、毒で毒をうち勝つ方法〟だという。魔力変換器で生気を吸われ人々が多量に死ぬのでは? という懸念もされたが、〝最悪でもロボトミー手術の効用であるから問題ない〟とも主張された。〝苦しみも減っていく〟と主張され、世界中で話題となった。


 伊藤生人はモーニング・クロウリーのない真世界にいる。いつのまにか、グロウリ・クロウリーは消滅したのだろう。

 ジョアン・アンネリース・コーネルという名の身長百六十四センチメートルでJカップでツイン・テールの補欠白騎士とイャッファ・ジューイッシュという名の身長百六十九センチメートルで推定Kカップの補欠白魔術師という気に入ったふたりの爆乳美少女とともに。そのふたりとはジオフロント・オブ・アガルタで出会った。伊藤生人という辛口評価だらけの若者が認めた最高の女ふたりであり、〝絶世なのがふたりもいるのは誤謬ととられるだろうが絶世の美少女ふたりである〟と即答で断言。もし人間時代なら考えることがほとんど彼女たちのことばかりで座るヒマもなく立ちつくしているだろうとも想定できた……伊藤生人の癖の一つに座る選択肢もなくしてしまうほどになるというものがあったのだがもう消えた。伊藤生人はほとんど全身がロボットになることで考えることを増やせているので考えることがほとんど彼女たちのことばかりではなくせる。

 イャッファ・ジューイッシュは地毛で黒髪だが乳製品を使った魔術で白髪に染めた。瞳は黒色のイャッファ・ジューイッシュ。瞳は赤色のジョアン・アンネリース・コーネル。

 ジョアン・アンネリース・コーネルは地毛で白髪。騎士団の白色の制服がお似合い。白魔術師式数秘術で伊藤生人とジョアン・アンネリース・コーネルは相性抜群だとジョアン・アンネリース・コーネルから告げられ、伊藤生人はジョアン・アンネリース・コーネルを最初の妻にすることを決めた。真世界はド田舎である、そして自由、一夫多妻は愛がある限りゆるされるとのこと。イェエエエエエエイッ! って気分らしい。または、ウェエエエエエエイッ! だ。

「つらい経験を聞いてよ、ジョアン……」

 伊藤生人はジョアン・アンネリース・コーネルの顔を間近で真剣に見る。

「いいよ、言って?」

「イャッファにも聞かせたい」

 伊藤生人はイャッファ・ジューイッシュの顔を間近で真剣に見る。

「なに? 貴方? 言って?」

「やっぱりいい、ボクはジョアンとイャッファのおかげで愉しいよ! ……そうだ! 黄昏の高原を散歩しよう!」


 伊藤生人は自分がほとんど全身ロボットという事実を消し恋愛をする生にあこがれた。

 伊藤生人をほとんど全身ロボットにしたプロフェッサー・アイオミに質問しにいこうと伊藤生人は思った。数分後、新築から出てプロフェッサー・アイオミと会った。

「嫌な記憶、消したいんであります。嫌な記憶だけであります。これからはほとんど全身がロボットなのを認識せず、美男子である認識を持ち続けたいんであります。結局VRでも構わないんであります、でもVRだという記憶もほとんど全身がロボットだという記憶は消したいんであります。ダメ人間だった記憶は残させてほしいんであります、そのほうが、好きな女子と遊ぶの愉しいからだっていうことであります……互いにつりあわないところを無理につりあわす恋愛に愉しさを感じるのであります……」

「できるよ。宇宙人の血を引いてそうなUMAっぽいのを最近雇ったから、そいつの力で操作してやろう……。それと、〝です〟とは言わず〝であります〟なのは英語的に〝デス〟つまり〝死〟と言っているみたいからなのだろう? 案ずるな、自分は英語圏出身者ではない。デス・マッチの選手を手当てしていたことはあったが」

 プロフェッサー・アイオミは流暢だがまだ外国訛りな日本語で即答。

「……そうですか。……視界を広げたいんです……。ボクは謎のものに何度もイライラしていたんです。弟は両親に似ていないから他人の子どものような感覚で奇妙なんです。ボクにも気が使えないんです。まるでボクをいないもののようにあつかうことは両親も弟も同じような感じです。でも弟がボクの嫌いすぎる性悪祖父に似てきたっていう現実はこのままだとまたボクの嫌いすぎる祖父のような嫌われ者がまた存在するんだなって、あきれるのさ! ……というわけです……。両親もマヌケで恥ずかしい思いを子どものボクがしてもいたんです、両親には平気かもしれないですけれども。この前なんて、〝ロボットになることでおまえたちをにくまないようにしてやる〟って言ったら泣かれたんだっていうのもあったんです、確かに反抗的であるという自覚はあるんですけれども。余裕綽々に見えても、子どもというこっちの立場はどうでもよさそうなんです……。でもなんか凹んでそうっていうのも癪に障るんです……そしてボクへの殺意まで感じさせたんです、かなしい……妄想で済むならいいんですけれども。肋骨と臍と股と腹が痛くなって苦しいっていうことは人間時代何度もあったんです……もちろん胸は特に痛んだね……頭も……です……。動くたびに骨が鳴って……方向確認も骨が鳴って気持ち悪いと感じたんです。ただ動かずにいても骨が鳴ってもいるんです。……つかれました。方向が気になりすぎるんですよね、敵だらけですので。味方は不確かな存在だと思うんです。祖父がやさしいなんてことは一度もなかったと思うんです。祖父はボクに気に入られたいのに意地悪をする嫌な存在です。ボクがいらないものばかりを決まって渡そうとしてきて、それが皮肉にもとれて気持ち悪いんです。皮肉にもとれることでキレてもまずい。キレさせたくてやっていることだとしてもです。祖父のたてる音は聞くと気持ち悪いんです、悪意をボクは感じとった気持ちになるんです。祖父は体重を気にしすぎていてよく体重計に乗るんです。体重計の電子音が祖父が使ったせいで呪いを感じるんです……。その体重計は本来祖父用ではなくてボク用でしたが部屋に勝手に入ってきて使われるのでボクの部屋から出したんです、結果祖父用になってしまいました、くやしいんです、新商品で愛着あったものなんです。祖父はなぜあそこまで悪口をはじめとした人を苦しめる態度やいらないものばかりを渡してやさしそうなふりするから感謝しろ、それを断れば激怒するという行為をするのか理解できないんです、ボクに限らず理解できない人のが多いはずです。祖父がヒトというよりもバケモノに見えるのは悪魔としか見れないからだと思うんです。両親はあの祖父を悪人と知っていても見逃すんです。そんなくらいにボクのことが嫌いならボクをこんなに変とされる存在にさせるなって思うんです。祖父を本心で大嫌いなんですが、そう祖父に言うと喧嘩になるのは容易に想像ができるので嫌いではないとしてきているんです。祖父よりも年上の優秀な作曲家や優秀なジャズマンはたくさんいます……祖父が単純に時代遅れだって痛感するんです、祖父はつまらないことで酔いしれますけれどもあつかいは本当に苦労します。ボクは確かにイライラしている人間時代を過ごしてきたんです。人間時代は物覚えがほとんどできないので失敗ばかりなんです、失敗や上手くいったという現象をほとんど忘れてしまうんです。母親はもっと物覚えがほとんどできないので失敗したことも忘れてボクの指摘を何度も〝病気だ〟って決めつけてきたんです。実際ゴミもすてれない判断力で病気だってのは認めれるんです……。ボクを苦しめた者たちはボクを壊したからっていい気になってるのか……? コメディ違うんだ……なのにボクが道化師みたいだってなるんです、不条理さが……!」

「それは大変だ。自分は精神科医ではないけれども、精神科医以上にそれなりの対応はできると思っている。……ほとんど全身がロボットになっても恥ずかしがり屋なんだね。わかるんだよ、伊藤生人さんが人間時代から恥ずかしがり屋だったってことがなんとなく。自分は日本軍と長い付き合いで日本への感謝も長いこと感じてきた。ほとんど全身がロボットの伊藤生人さんのような方にも役立ちたいと思っている。自分が外国人なのには変わりないけれども自分はよく敵軍だった者だと勘違いされるよ。これは自分の盟友、L・スミスもよく思っていることだ。自分は友人関係をふりでエンドさせたくないから盟友をつくるようにした。伊藤生人さん、盟友はいないのだろう? ちなみに自分は盟友ができる前まで友人はいなかった。そもそも友人とはなにかよくわからない、バカげていると見下してもいた」

「わかるんですね、プロフェッサー・アイオミには」

「ああ。でも超能力ではないんだ。それっぽくてもだ」

「なるほどです。ボク、〝人生はゲームだ〟と言って怒られて嫌われたんです。女子たちにもです。だから〝人生はゲームだ〟と言って怒られないで嫌われもないように改造をお願いしたいんです。たとえそれが人生とは違うものだとしてもです。ボクは熱い思いを持ち続けますよ、なんたって、ゲームはもとからよく遊ぶほうだという記憶は鮮明で、ゲームへの熱い思いを持っているんです。イジメを受けてもっとゲームが好きになったんです、〝ボクの居場所はゲーム・プレイをする場所だ〟とも確信したも同然なくらいにです。だってボクがそう言ってもだれも反論してこなかったからです。学校で言ったんです。学校にゲーム仲間もいないよってこと、プロフェッサー・アイオミのような見透かせる方には隠す気はないです。ボクはゲームを愛しすぎている、だから現実もゲームにするんです。疑いの余地なしです!」

「わかったよ。ガチで。ガチな思いを」

 数分後、宇宙人の血を引いてそうなUMAっぽいのが同じ室内に入ってきた。

「プロフェッサー・アイオミ、これは宇宙人ですか?」

「違うんだ。未来人育成法を実践して作り上げた人間だ。西暦九〇〇〇年頃の人間を想定した……。なにかしゃべってみてはどうかね? 西暦九〇〇〇年頃の人間を想定し未来人育成法を実践して作り上げた……人間よ?」

「イェエエエエエエイッ! ウェエエエエエエイッ!」


 伊藤生人は軍に真世界を設定してもらった。寿命がきたら爆破する兵器としても作られた。身長は複数いるあこがれのイケメンと同じの百七十八センチメートルにしてもらった。顔は秋月京之介がモッズ風ロボットで再現された感じで〝イケメンロボット〟と言える。

 伊藤生人の人生、これはほとんどロボットになってどこまでが真実なのかもわからないと伊藤生人は思う。そもそも彼は人間の時から真実をうまくつかめていなかった。そうだ、宇宙人らしきものと黒魔術師の侵略も真実をつかめずに見ていた幻覚だったのかもしれないと。ちなみにフレンドはふりで終わるという、ふりエンドで英単語のつづりを覚えたのは真実と思い続けれている模様。

 真世界に意識がある頃の寸前まで世界一のプロ・ゲーマーの遠隔操作で無双して敵軍を大都会の昼間蹴散らしたが、遠隔操作もあって余計に真実をつかめずにいた。自分がなにものかわからないとなりがちに。だが遠隔操作は下手ゲーマーの伊藤生人には必要性を感じたとのこと……それも真実かはつかめない。


 意識がどこかにおちるように消えた伊藤生人。認識力を確認していたいようだ。作動試験を改造工場に行って実行。方向を確認する……異常は特になし。さらに改造した状態の作動試験もすることになりジオフロント・オブ・アガルタ出身の翼竜の尻尾を心臓に植えたことで進化を期待した伊藤生人。ジオフロント・オブ・アガルタ出身の翼竜は尻尾を最愛のものにきってもらう慣習があるようで、そのきられた尻尾を使っている。尻尾は二メートルあり成長期であと九十三センチメートルは伸びるとのこと。伊藤生人は空港の金属探知機で股間マッサージ用の器具がばれ、人の視線に恥ずかしがったこともあったとのこと。ちなみに伊藤生人はほとんど全身がロボットになる前は百五十三センチメートルであり、それは身長の話。


 いつかは消える人生、そんなくらいならロボットになろう、そのほうが、いいと思う、と伊藤生人はロボットになった……それも真実かはつかめない。


 人間時代の夢が叶わず寧ろ気楽? そんなわけない、なのにそう感じかけるのは、そのくらいの無理をしているのだと伊藤生人は実感。

 伊藤生人がいとおしい妻たちから学んだことの一つに、〝美人の屁はいとおしい〟というものがある。


 暴力は愛がない、愛と欲は別であると言われようが伊藤生人には……それも真実かはつかめない。


 加害者が被害者でもある場合もあることをもっと着目するべきだと伊藤生人は人間時代から思っていた。今でも思い続けている……それは真実とつかめている。


 伊藤生人は小説投稿サイトで活動したことから〝小説投稿サイト〟というあだ名が付いた。人間時代に同級生から付けられたあだ名である。小説投稿サイトが出身違うならそのようには言われないだろうと想定してみると、蔑視された結果の呼び名かと思わせられた。蔑視してくる側は創作者ではないが下として見てくるようである。そもそもなぜ蔑視するかも疑問だと伊藤生人は思う。だが〝ディクショナリー〟と呼ばれる美少女と会ってから変えさせられた価値観。ディクショナリーと呼ばれる美少女は〝ディクショナリー〟と呼ばれるサイトで顔出しをする素人で荒らしにもあっていてフォロワーは少ない。だがディクショナリーと呼ばれる美少女に支えられた伊藤生人。インターネット上で好意を見せていないしリアル・ワールドでも好意を見せていないが大好きだと思っている。伊藤生人は人間時代にインターネットをよく使用していた。手がつかれた感覚なのか電気が手にたまった感覚なのかわからなくなるくらいにインターネットにとりつかれていた。伊藤生人にとってインターネットはアーティストとして生きていくためのアイテムだった。両親からは病気だからアーティストを目指していると理解されず、否定された。成功できるだろうとも期待してもらえない。ほとんど全身がロボットになってインターネットは伊藤生人自体に装備されることを伊藤生人が希望したので希望に沿うように改造された。


 ディクショナリーと呼ばれる美少女と会ったということ……それは真実とつかめている。


 記憶とはなんなのであろう、真実か妄想による虚構か……単純にすべては虚構か。睡眠中に夢を見ていたかのように早く進んでいく物事。

 VR機能の追加はさらに伊藤生人の記憶を曖昧なものとした。


 今見ている光景がある……それは真実とつかめている。


 伊藤生人が〝初めて出会ったがこの世界以外は生存地としてありえないだろうこの世界〟で生きているということ……それも真実かはつかめなくなった。


 西暦二〇一九年十二月十一日、夜。伊藤生人の第三の眼らしき特殊能力が生み出された。それは第四の眼とも言える。ヒトの二つある目は一般的だと思うのが普通。ヒトに限らず二つ目を有するものは多くいる。伊藤生人の場合は幻覚が一般的には見えないという事実から一般的には見えないものを見えるのは目がもう一つあるというのに近いとも伊藤生人は解釈した。目は目でも単純に目とは違うことで〝眼〟だとも解釈した。両目で見えているのでプラス二つ、結果、第三の眼と第四の眼であると伊藤生人は解釈した。第三の眼と第四の眼が見せるもの、それはヒトの体内が透けて見えるのだ、レントゲンのように。大量流出する母乳に夢中になる伊藤生人は視界が授乳する爆乳の噴射でほとんど埋められた。乳房は視界に入っていない。伊藤生人の冷凍精子と想い人ふたりの卵子で作ったたくさんの子ども用にとふたりが噴射する母乳が飛び散り目の前がほとんど真っ白の伊藤生人。〝マザーズ・ミルク・シューティング・スターダスト〟と母乳噴射に命名した伊藤生人。実際にスーパーノヴァ感を認識したのだ、母乳に。

「イェエエエエエエイッ! ウェエエエエエエイッ!」

 伊藤生人は叫び、爆破した。部屋の裸電球は割れ暗闇に。

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