パズルに挑戦してみませんか? ただし、風変わりなピースばかりですが。

わけのわからない話。
というのが、第一印象だった。
最初から最後までひたすらシュールである。

内容は決して万人向けではない。
合わない人はとことん合わないと思う。
読後に嫌悪感しか残らない人もいるだろう。

しかし、不思議なことに気付く。

はじめは「わけのわからない話だ」と思っていたはずなのに、物語を読み進めていくうち、あるいは物語を読み終えてあれこれ考えているうち、自分のなかで「もしかして、こういう意味かな」などと解釈が出来上がってゆくのだ。

そこには巧妙な(?)仕掛けがある。

この物語には、さまざまな部品が用意されている。
「海苔の佃煮」「不貞腐れた」「プリン」「消費期限」「キープ」などだ。
読み手はこれらの部品を「自由に」選んで組み立てて「自分の好きなように」物語を解釈することができる。
シュールな物語と見せかけて、実はとっても親切設計なのだ。

興味深いのは、ひとつひとつの部品がユニークなこと。
これが詩一さんの作品の魅力なのかもしれない。

この話を「理解できなかった」と思う人でも、読後にはその手の中に何かが残っているはず。

何を掴むかは、あなた次第。
ぜひこの作品に挑戦してみてほしい。

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