第45話◆蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その4)

◆蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その4)



「ねえ蒼汰さん、今日の夜ご飯はお鍋にしましょう♪」


セグウェイ体験から戻って来て二人でまったりとコーヒーを飲んでいたら、サキさんが急にすくっと立ち上がり富士山に向かって大きな声でそう言った。


「お・・おぅ」


俺はてっきりサキさんが得意なダッジオーブン料理にでもするのかと思っていたので、ちょっときょとん状態だった。


が、俺も鍋は大好きなので、もちろん異論は無い。


それに、富士の麓は朝晩結構冷えるのだ。  温かい鍋は寒い方が美味しいし、ちょうどいい。



「で、サキさんは何鍋がいいの?  材料を買い出しに行くのに、まずは何鍋にするかを決める必要があるよ」


「そうですね。  お鍋と言うと、水炊き、寄せ鍋、石狩鍋、牡蠣の土手鍋、ちゃんこ鍋、キムチ鍋なんかでしょうか?」


「なるほど、どれも美味しそうだね」



「う~ん 何鍋にしようかしら・・ 迷ってしまいますね」  サキさんは腕組みをして、真剣に考え始める。


しばらくして・・


「あっ、そうだ♪」


大きな声と共に、サキさんが急にニコニコ顔になる。



だけどこういう場合、経験上あまり良い結果になったためしはない。 


そして、サキさんは俺の方にビシッと親指を立ててこう言った。


「蒼汰さん、今日のお鍋は闇鍋にしましょう♪」


「や、やみなべーーーぇ?」


「はい♪  あっ、闇って言っても、ちゃんとした食材でお鍋が美味しくなるものだけですからね!」


「そりゃそうだよ。  タワシとかチョコとかバナナとかが入ってたら最悪だろ」


「えへへ  薄明りの中で、かわりばんこにお鍋に具材を入れて行くのって、なんだか楽しそうじゃないですか?」


「う・・うん、まあ・・ そだね。  で、美味しくなる具材を選ぶには、やっぱりベースの鍋を決めておかないとね」


「そうですね。  それじゃあ、失敗がなさそうな みそ味なんかはどうでしょうか」


「みそかぁ・・・  サキさんは、お鍋のシメは何派?   雑炊? うどん? それともラーメン?」


「あたしは、どれも大好きですよ♪  でも、お酒を飲むなら雑炊がいいかもデス」


「雑炊だとみそベースより寄せ鍋みたいな方がいいんじゃないかな」


「そうですね。  それでは、寄せ鍋にしましょう♪」




こうして俺たちのキャンプでは、初となる鍋の夕食メニューが決まった。


早速、クルマに乗って買い出しに出かける。  もちろん買い物をするのは、向こうの世界のスーパーだ。


キャンプ場から近場のスーパー(デ〇ズ)までは、20分くらいで着くのでとっても便利だ。



スーパーでは、それぞれがカゴを持って別行動である。


ただし、食材がダブってもいけないので定番の食材は最初に二人で買った。


鮭、えび、あさり、鶏もも肉、絹豆腐、えのきだけ、舞茸、白菜、ねぎ、大根、にんじん、春菊。



「さあ、それじゃあ行きますよ~」  サキさんがハリキッテ腕まくりをする。


「あ・・サキさん。 あまり冒険しないでね」  俺はちょっと不安になったのでサキさんに釘を刺した。


「ふふっ 大丈夫ですよ。  それより、本番を楽しみにしてて下さいね」


「な、なんですか本番って?」


「えへっ  ひ・み・つ  デス♪」


こうして、二手に分かれての闇鍋用具材の買い物が始まったのであったが・・



第46話「蒼汰、富士の麓でイチャラブする(その5)」に続く。

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異世界キャンプ旅 @a-isi

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