第2話 廃墟に咲く花


勇者が始めて一人でたどり着いた場所には、何も無かった。












彼が求めていたものは、何一つありはしなかった。












あるのは、ただ、先人達のぬけがら。












その場にいるのは 限りある資源を強く欲する動物達。









廃墟となった場所に憂いを落としつつ歩いていた勇者は、












ただ単純に広がる平原の中央に、ある一つのものを見つけた。









花である。












とても綺麗な艶のある花である。












たった一厘ながらも、力強く咲いている、それは花であった。









勇者は笑った。












声を出して笑った。












自分はまだ何も成していない事に気が付いて笑ったのだ。












これから自分がこの廃墟に都を築いてゆく、それでいいじゃないか!












いつの日か、この草原に眼前の名もなき花が咲き乱れる事を望み、












勇者は益々の精進を誓った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る