ここって実はすごい学校にゃんだに!

「貴様ら、朝から何を騒いでいる」


 ロランの背後から、低く威厳のある声と共にスーツ姿の人物が登場した。


「はぁ……見慣れた顔だな? マオ・リリベル」

「げっ、リベル」

「リベル様と呼べと、何度言わせるつもりだ。貴様の脳味噌は空っぽか?」

「うぅ……」


 この嫌味ったらしい言葉遣いをする人はリベル・ディクター先生。

 自他共に認める鬼畜で俺様にゃ、教頭兼、数学教師兼、生徒指導兼その他もろもろのヤバい先生だに! 

 こんにゃにも色々兼業しているから、もう学校に住んでいるんじゃにゃいかってくらい仕事魔で、眉間に刻まれた深いシワと色濃く残るクマが特徴。

 間違いにゃくイケメンの部類にゃのに、この特徴と掛けているモノクルのせいで悪の組織の幹部にしか見えにゃいと生徒達に言われているんだに……


 しかもあの悪魔のようにゃ失点ポイントシステムを考えたのはこの人だし、何故か『様』をつけて呼ぶように強要してくるし、とにかく厳しいし、口が悪いし、横暴だし、他人を一々フルネームで呼んでくるのが嫌味っぽいし……

 生徒が苦しむ姿を見るのが、にゃによりも好きだといわれている恐ろしいやつにゃ! 


 あっ! 

 ちにゃみに、マオ・リリベルというのがニャアの名前。

 今まで言う機会がにゃかったから言わにゃかっただけで、忘れてたわけじゃにゃいんだに! 本当だに? 

 だってほら、日常生活してて突然心の声で自己紹介とかしにゃいじゃん? そんにゃ感じ! 


「ロラン・オーデル。時間だ、門を閉めろ」

「了解しました」


 腕時計を確認したリベル様が指示を出すと、ロラン先輩が訓練された動きで校門の方へと走っていく。

 その姿を見送っていると──


「エルラル・ティネット、マオ・リリベル。貴様らもさっさと中に入れ、締め出されたいのか」

「は、はいですにゃ!」

「毎度毎度、よく懲りずに遅刻してくるものだな。学習能力が足りないんじゃないか?」

「むっ」


 リベル様の嫌味にニャアが反応しかけると、エルラルが「遅れるわよ」とニャアを引っ張って走り出した。


「はっ、確かに! 元々三十秒遅刻しているのにロラン先輩のせいで時間を食われていたにゃ!!」


 朝のホームルームがないこの学園で、このタイムロスは一限の遅刻につながる一大事! 


 こうして、ニャアたちは「他人のせいにするな!」という地獄耳ロラン先輩の声を無視して教室へ急いだのであった。


 ………………

 …………

 ……


 ── 私立クレテリア学園。

 この学園は、エルファナ・D・クレテリアさんが、日本に作った三学期制の学校だにゃ!


 と、ニャアはモブ先生の化学の授業を聞き流しにゃがら、説明を始める! 


 この学園は少し特殊で、にゃにゃにゃんと! 

 世界各国の上流階級── 貴族や元貴族・王族の血を引く者、大企業の社長らなどのご子息たちが、交流できる場として開かれた学園にゃんだに! 


 だけど、まだ開校して間もにゃい試験運営の段階らしく、今生徒として通っている学生は家を継ぐ予定のにゃい人たちばかり。

 無事落としても「玉の輿!」というわけにはいかにゃいのだ……


 例えば、ロラン・オーデル先輩。

 彼の家は中世の時代に爵位を貰い、騎士として王家に仕えた貴族の五男! 

 その影響か、ロラン先輩は騎士道を重んじていて、立派にゃ騎士のようににゃるのが夢らしい。

 まあ、騎士を目指すにゃんて時代錯誤と思うか、素敵だと思うかは人それぞれだけどにゃ? 


 さらにさらに、上流階級の者たちと才能ある者たちの出会いの場にもする! という理念の元、奨学金入学の枠があり、学園運営の為多額の寄付金さえ払えばどんな人でも入学させる訳あり入学枠があるにゃ。


 エルラルはにゃんでも訳あり入学枠らしいけど、詳しいことは教えてくれにゃかったに。

 そして、ニャアも訳あり入学組! 何が訳ありにゃのかは、まだ秘密だにゃ☆


 この私立クレテリア学園は、世界中の人が集まるから公用語は英語ににゃっていて、授業は全部英語にゃんだに! 

 でも日本にある学校として、第二外国語の必修科目で日本語の授業があるし、ちゃんと制服もある学校だにゃ。


 そうそう、ちにゃみに今ニャアたちが話しているのはもちろん英語! 

 みんにゃの目には日本語に見えてるかもしれにゃいけど、それはあくまでも日本語の意訳でしかにゃいにゃ。


 ニャアがにゃあにゃあ言ってるように見えるのも、意訳された結果でしかにゃいにゃ! 


 メタァ。


 ………………

 …………

 ……


 キンコンカンコーン♪ 


 ニャアが学園についてまとめていたら、いつの間にか一限が終わりを迎えていた。

 でも、この先の授業も特に興味がにゃいし、何よりポカポカ日差しがニャアの睡魔を刺激する。


「ふわぁ〜」


 ……うん、眠いにゃ。


 大きく欠伸をして、ニャアは机に突っ伏する。

 あとでエルラルにノート見せてもらおう。そう決心して、ニャアは欲望のまま目を閉じた。

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