第10話 ポッキーゲーム


「ねぇー先輩?私とポッキーゲームしませんか?」


「き、急に何言ってんだよ」


「ちょっと先輩とやってみたくて」


「わ、わかったよ。一回だけだからな」


「えへへ〜。照れてる〜。ではいきますよ」


「ちょ、ちょっと待ってくれ。少し心の準備をって千崎!?」


いきなりポッキーを口の中に入れられた。


「ダメですよ。先輩の恥ずかしがる顔もっと見せてください...」


ポッキーを千崎が少しずつ齧っていく。


「千崎、流石にやばいだろ...」


後1センチか2センチで俺にキスしてしまう距離。

千崎の息が荒く。顔も赤くなっている。それは俺も同じで。


「ここから先は先輩が齧ってください...」


「だ、ダメだろ。キスしてしまう」


これ以上進んだか確実に口がついてしまう。


「先輩ならいいですよ??」


千崎と目が合う。キラキラとした目でどこか覚悟をした目をしている。


「良いのか?」


「は、はい...」


「わかった」


俺が意を決して進もうとしたその時、千崎が口角を上げた。


「先輩??本当にキス出来ると思ったんですか〜〜??」


ポッキーから口を離し、千崎は俺を嘲笑う。


「そ、そうだよ」


俺が肯定すると、千崎は顔を赤くした。


「ふえっ!?」


「千崎?」


「い...いえ、な、なんでもないです...。先輩は本当ダメな人ですね」


それからの千崎は大人しかった。

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