第3話 デレる後輩


『私智也君が好きなの』


「彼女の友達と一緒にやる」というギャルゲのヒロイン佐倉なぎさが主人公の智也に告るシーンだ。


『俺もなぎさが好きだ』


智也がokを出し、ヒロインのなぎさは満面の笑みを浮かべる。


「きゃーーーーーー!!!好きすぎる!なぎさたんが可愛すぎてやばい」


千崎が興奮を抑えきれず、声を荒げる。


『友達を紹介したいの。いい?』


『え?』


『実は私の友達とも付き合って欲しいの』


『それってどういうこと?』


『私と私の友達の凛と智也で付き合うってこと』


『でも俺はなぎさが...』


『お願い。ダメ?』


『しょ、しょうがないな。まとめて付き合うか』


「ってどんなクソゲーーーーーーーだよ!!タイトル回収しちゃったよ!ハーレムエンドで終わりかよ!!雨宮瑠衣先生の新作がこんなクソゲーだったなんて思いもしなかった」


「ぐすんっっ...うえーーーーーん。えーーーーーん。泣ける。泣けるよ雨宮先生...。やっぱり神作だなーっっ」


「どこに泣ける要素があるんだよ。微塵もなかっただろ」


「あっっります。だってこんなにも幸せな笑顔を浮かべている凛を見てたら泣けて、、、涙腺崩壊しました。これで泣けない先輩がおかしいんですよ!」


「はいはい。分かった分かった。だからこれで涙を拭けって」


「話を流さないで下さいよー」


千崎は俺のハンカチを受け取ったら涙を吹き、鼻までかみやがった。


「はい先輩。ありがとうございます」


「お、おう」


俺は千崎に返されたハンカチを見て動揺してしまった。


「せんぱーーーーぃ?もしかして私の使用済みハンカチでいやらしいこと考えました??あれれ?」


笑顔を向け、余裕そうだ。


「はー?そ、そんなこと考えてないしー」


「先輩動揺してる〜。面白い〜〜。先輩だけなら私のいやらしいこと考えてもいいですよ〜?」


「そ、そうなのか?」


「先輩ーー?顔が赤いですよーー??」


「ち、ちげーし」


「あはははっ。先輩可愛すぎてやばい」


「ど、どういう意味だよ!」


「そのままの意味ですよ〜」


「は、は、はー、へくしゅん!!!!」


ホコリが入ったのか思わずくしゃみをしてしまった。当然、抑えるものは手にあるハンカチしかなくて。


「え?」


千崎は驚いて、素っ頓狂な声をあげる。


「どうした?」


俺が千崎の様子が変になったので聞いてみると千崎は赤面して顔を隠そうとする。


「なんで千崎が顔赤いんだ?」


「え、これ、ちがっうの...」


顔を手で隠し、首を横に振る。


「そ、そうなら良いが」


「先輩...。やっぱりそのハンカチ欲しいです。私が使います...」


「今、このハンカチでくしゃみをしてしまったぞ?」


「いいんです」


「でも」


「それがいいんです!」


「そんなに欲しいなら」


俺がハンカチを渡すと千崎はすぐにポケットにしまい、凄く喜んでいた。


「ありがとうございます!!大事に使います!!」


目を輝かせ、千崎は満面の笑みを浮かべる。


「あぁ」


よく分からないが、そう返事をしておいた。


「あ、そうだ、せんぱーーーーぃ?ゲームクリアしましたし、一緒にベットに行きませんか〜?」


「ねぇーそれって変な意味じゃないよねーーーー???」


俺の波乱万丈な1日はまだ終わりそうになかった。

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