すまん、寄り道なんだが

告白された事が代にバレてからというもの、代のアプローチが日に日にその威力を増してきた。

弁当食べるときは毎回あ~んしてくるし、


「はい、啓❤あ~ん」

「代、恥ずかしいって!」


授業でペアを組む事になった時、いつもより密着してくるし、


「啓の背中、あったかいね///」

「皆見てるぞ!!先生まで何ニヤニヤしてんですか!!」


更に、昨日から待ち合わせして一緒に登校する事になったのだが、


「おぉい代!腕に抱き着くなって!もう学校着くぞ!」

「もうちょっとだけ!教室まで!」

「それ全然ちょっとじゃないね!?」


こんな感じで俺は前にも増して代の猛烈アピールに耐える日々を送っていた。

そして学校が終わってもそれは変わりなく・・・。


「啓!今日これからちょっとだけ寄り道して行かない?」

「あぁ。いいけど・・・。」

「やったぁ❤じゃあ行こう!」


珍しいな、代がそんな事言うなんて。

年に何回かあるかないかじゃないか?

・・・まさかこれもアピか?

何てな。


「ここのクレープ美味しいってクラスの子から聞いたんだ!食べて行こうよ!」

「いいぞ・・・って何!?」


代が指さすクレープ屋・・・の前に長蛇の列。

しかも並んでいるのは俺らと同じように寄り道なのか、他校の女子高生や仕事終わりであろう女性ばかりだった。

俺も並ぶの・・・?


「代・・・俺待ってる・・・」

「行こう啓!」


ダメなのね。

言い終わる前に代に引っ張られ列の最後尾に並ばされる。

・・・と思いきや、すぐさま他の女子高生が俺らの後ろに並んできた。

これは長期戦になりそうだ・・・・・・。


「ねぇねぇ、前にいる人ちょっとカッコ良くない?」

「確かにちょっといいかも。」


そんな会話が後ろから聞こえてくる。

俺より前に並んでいる人に男性の姿は見えない。

列に並んでいる男は俺だけらしい。

つまり今のは俺の事だったらしい。

異性にカッコいいと言われたのは何気に初めてかもしれない。

悪い気はしないな。

そしてその会話が俺に聞こえたという事は、もちろん俺の隣にいる代にも聞こえていたという事で・・・、


「むぅ・・・。啓はどのクレープにするの!」

「うわぁ!?代どうした急に!?」


いきなり代がガバッと抱き着いてきた。

腕どころか前から。

代の柔らかい体の感触が服越しに俺の体全面をカバーしているぅぅ!!

あああったかい!!

いい匂いするぅぅぅああ!!


「代ほら!列進んだぞ!」

「は~い❤」


代は俺から離れると、今度は俺の腕に抱き着き後ろをチラッと見る。

・・・ははぁ~ん。

今の一連の流れから考えるに、さては代の奴・・・嫉妬してるな?

後ろの女子が俺の事カッコいいって言ったからか?

可愛い奴め!!

大丈夫だ!!

俺もお前の事可愛いと常に思ってるからぁ!!


「前の人達カップルみたいだね。」

「うん、すごいラブラブって感じ。」


今度はそんな会話が聞こえてくる。

君たち良い事言うね。

しかし残念ながら付き合ってはいないんだよなぁ。

・・・残念ながら・・・。

そして代はというと、


「えへへぇ///カップル///」


めちゃくちゃお気に召したようだ。

更に強く抱き着かれる。

代?

俺の右腕お前と一体になっちゃうよ?

俺は構わないけどさぁ・・・。


列に並ぶこと約5分。

ようやくお目当ての美味しいと評判のクレープを買うことができた。

俺はチョコバナナ、よく見かけるやつだな。

対して代が買ったのが・・・、


「代・・・お前それ、一人で食べられるのか?」

「うん!食べられるよ!」


お店の限定らしい、スーパーメガデラックスクレープというクレープ。

見るからにデカく、俺のクレープの3倍はある。

そしてイチゴやバナナ、キウイにみかん、トッピングの量もえげつない。

見ているだけで口の中が甘ったるくなってきた・・・。


「いただきまぁ~す❤」

「いただきます・・・。」


パクっと一口。

・・・うん、確かに美味しい。

何か独自の製法で作っているのだろうか?

他のお店で食べた事のあるクレープより全然美味しい。

これは人気と言われる理由も分かるな。

横に座る代を見ると、


「う~~~ん❤美味しい~~!!」


ご満足の様子。

完全に女子の反応なんだけどそれは。

周りにいる女子に溶け込んでて違和感無いんだけど・・・。


それから俺より先にあのどデカいクレープを完食した代。

・・・胃まで女子かお前は。

なんて事思ってると、


「ああぁっ!?」

「ど、どうした代!?」


いきなり声を上げる代。


「啓と食べさせ合いっこしようと思ってたのに美味しくって全部食べちゃった!!」


何!?

俺まだ食べられるよ!!

もう一回並ぶか!!?

あぁぁダメだ、さっきより並んでる!?

チクショー!!!


「啓!明日も来ようね!!」

「えぇ?・・・まぁ、良いけど・・・」

「うん!よーし明日こそは・・・!」



ガッツポーズをする代。

そして心の中でガッツポーズする俺。

・・・・・・明日はクレープのためにお昼は軽めに食べとこう・・・。

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