すまん、男の娘(しんゆう)が本気なんだが

人生において好きな相手に告白されるなんてことががあるとすれば、それはとてつもなく幸運であり、嬉しくあり、もう一生分の運を使い切ってしまったんじゃないかと思うほどだと思う。

そんな俺も今、目の前で女子指定の制服を着て、頬を赤く染めている親友、静別代に告白された。

いや嬉しいよ?

そりゃそうだ。

だから今すぐに俺も返事をしなくちゃいけないと思う。

・・・だが代、その前に俺にはすべきことがある。


「なぁ代」

「な、何?啓」


俺の返事を待っていたであろう、更に可愛さに磨きがかかった親友に一言。


「悪いが状況の説明をしてくれないか?事細かに」

「えっ・・・う、うん。わかった」


何だろうか。

驚きの連続でなのか、1週回ってもう心が落ち着いてきている。

いや、これはきっと目の前にいる代のリラクゼーション効果なのかもしれないな。

・・・フフッ。


「まず、代。お前はいつから俺の事を好きだったんだ?」

「・・・はじめて啓に出会ったとき。中学の時から///」


うほぉぉぉぉぉいいい!!

一緒!!

俺も!!

心が落ち着いているとは何だったのか・・・俺。


「じ、じゃあその恰好は?何で・・その、女子の恰好なんか・・」

「こ、これは///啓が僕の事、可愛い可愛いって言うから///啓ってもしかしてこういうのが好きなのかなって思って///」


好き好き好きっ!!

代がそんな恰好してくれるなら尚更だ!!

可愛いって連呼してた甲斐があったぁぁ!!

あっ、因みに俺の好み的には男の娘も範囲内だから大丈夫だね!!

代+男の娘=最強最高じゃねぇぇぇかぁぁ!!!


「じじ、じゃあ!!どうして今日は授業に出なかったんだ?・・・俺結構心配したんだぞ?」

「きょ、今日はこうして啓に告白するまでの心の準備っていうか・・・放課後までのお楽しみっていうか///・・・と、とにかくそんな感じなの!!///」


お母さんお義父さん、そして超絶可愛い義弟君。

僕ね・・・天使に連れられて、光の階段を・・・・・・


「そそ、それで啓///・・・返事は?」


はっ!!

そうだっ!!

返事・・・返事しなくちゃ!!

あぁ任せろ親友!!

そんなの決まってるぜ、俺の返事は・・・


「代!俺は・・・っ!」


そこまで言って思い出す。

代に告白されて、こんな事ある訳が無いなんて思っていて。

今になって思い出す・・・。


「啓?」

「・・・ごめん、代。俺は・・・お前とは付き合えない。」

「・・・えっ・・・」


すまない代ぉぉぉ!!

俺だって・・・俺だって本当はお前と付き合いたい!!

だって両想いだったんだよぉぉぉ!!

周りが引くほどイチャイチャしたい!!!

ベッドでうんんんんっっっ!!!


「啓・・・。やっぱり男同士でなんて気持ち悪かったよね・・・。ごめ」

「違うぞ代!!」


代が謝るよりも前に、俺が言葉を被せる。

代が謝る必要なんてないから・・・。

これは俺の身勝手だから・・・。


「俺がお前の事気持ち悪いなんて、そんな事死んでも思うはず無いだろ!」

「でも、啓・・・」

「お前の幸せを誰よりも願ってるのは俺だ!!・・・だからお前には普通に彼女作って、幸せに結婚してっ、笑顔でいてほしいんだよ!!」


泣きそうだぁぁ!!

いやもう実質泣いてるねこれ!!

死ぬほど涙出てるわ・・・ホントは出てないけど。


「だから・・・だから俺とお前は、親友であり続けたいんだ。代。」

「啓・・・うん。わかった。」


さようならぁぁぁぁぁぁぁ初恋両想いぃぃぃぃぃぃ!!!!!

そしてこれからもよろしくぅぅぅ親友ぅぅぅぅぅ!!!!!


「なら尚更、僕は・・・啓の事諦めないっ!!!」

「あぇ?」


なんっっだとっ!?


「し、代・・・何言って・・・」

「啓が今言った!僕に幸せになってほしいって!笑顔でいてほしいって!・・・僕にとっての幸せは、啓がずっとずっと傍に居てくれる事なんだ!!///」


ぐふおぁぁぁぁぁ!!

ナニィィ!!

代・・・お前・・・お前ぇぇぇ。

だが代!!

俺もあんな事言った手前、引き下がれないんだぁぁ!!

ここでもしお前を簡単に受け入れるようなことがあれば、俺は口だけの男になってしまう!!


「な、なら親友だってずっと傍に居るだろ?頑張れば同じ大学に行く事だって、就職先だって・・・なんならルームシェアするとか・・・」

「違うよ!!親友よりもっと深い繋がりが欲しいんだ!!恋人として、一生啓の隣に居たいんだ!!」


反論終了のお知らせ。

どうも、口だけの男です。

うん無理だね。

だって可愛いもん。

深い繋がりと来たよこりゃあ・・・なんかエロイね///


「だ、だから僕は///啓の事諦めたりしない。今は無理だって言うなら・・・これからその気になってもらえるように頑張るよ///」


言ってて恥ずかしくなってきたのか、モジモジと頬どころか顔を真っ赤にして俯きがちになる代。

代、俺はいつだってウェルカムだぜ?

なんて言いたいが、先ほどあんな事言った手前そんな事を言ったら俺はとんでもなく軽い男になってしまう。

口だけの男になったばかりなのに、軽さまで装備したくはない。

それに・・・代が頑張るって言ったしなぁ・・・。


「わかったよ代。」

「啓?」

「お前の気持ちはわかった。だからお前は自分の好きなようにすればいい・・・って言うか俺にそんな事決める権利なんてないしな!」


俺がそう言い終わると同時に代が俺に駆け寄って来た。

瞬間、俺の腰に手を回して思いっきり抱き着いてくる代。


「なぅぅん!!?代ぉ!?」

「うん///好きにする!!///絶対啓の恋人になってみせる!!///」


抱き着いている親友に、早速落とされかけている俺。

・・・あぁ、元からか。



これは親友が男の娘になってホモである俺にグイグイくるお話。

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