日常を壊す

あぁ、吐きそうだ。





今日も変わらず日常を過ごす。

いつもと変わらない道

何も変わらない生活

いつまでも不変なこの世界に、俺は飽き飽きしていた。

どっかに宝くじでも落ちてて、それが1等だったりしねぇかなぁ

よくあるファンタジーみたいに、異世界転生とかもいい。

または隣の家に最高の美人さんとかも…


あるはずのないことばかりを妄想する。

そう、そんなことがあるのは創作の世界だけ。

現実には起こりえない。

起こるはずがないから皆それに惹かれるのだ。



はぁ、つまんないな。

親が死に、人一人が生きるには十分な遺産を得たものの、特に趣味があるわけでもない。

目標も夢も、もっと言えば生きる意味すら感じない。

このままふとどこかに消えても、心配する奴がいるわけでもない。

ただただ慣性のまま生きているだけ。


日課にしている散歩を終え、コンビニに寄り、帰る。

いつもの日常。



そのはずだった。



コンビニでカップ麺と適当なサラダを買って帰る道筋

うずくまる少女が居た。

…大体12、3才ぐらいか?

身体は痣だらけ、服もボロボロだ。

いくら退屈だっつったって厄介ごとは勘弁願う…

俺は足早に立ち去ろうとした時だった



「…て」


…聞こえない聞こえない


「た…けて」


…聞こえない聞こえない!!俺は何にも聞こえない!!


「お願いします…助けてください…」


…あぁ、吐きそうだ。

きっと俺は今日という日を後悔するんだろう。





これは、俺が少女を誘拐する話












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短編集 硬あげミスラ @kataagemisura

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