第7話 負の感情

そんなわけで、わりと穏やかな感情で生きてこられたと思うのです。


だからこそ、私に負の感情を呼び起こさせる人を憎む気持ちが芽生えるのです。


そんな感情を持たないまま生きられたらよかったのに、

そんな感情を呼び起こさせてくるのは、いつも自分以外の身近な人間で、


胸をかきむしられるほどの絶望の中で、私は笑うのです。


憎む気持ちが強くなればなるほど、笑顔で「普通」でいることを選択します。


心の中で、憎む気持ちと向き合いながら、疲れながら憎みながら覗いた深淵の中に見たものは、空洞の中にいる無の自分です。


「よかった」って言いながら、憎しみと戦いながら、自分の何かを抑え込んで、「普通」でいることを選択する私は、弱いのでしょうか。


それでも、そうしなければ生きていけません。


何事もないふりして、平凡であるふりをして、普通でいるふりをして、今日も笑顔で「よかった」と言う優しい自分でいるのです。


それでいいですか?


怒りを、憎しみを爆発させることができたら、本当は楽なのかもしれません。


けれど、そうしません。


そうして抑え込んだ心にあるものは、私のプライドという名の理性です。



眩しい光は、深い闇があるからこそ存在するのです。


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