第弐拾玖話―内ケ島椛葉―

内ケ島椛葉うちがしまなぎはが生まれたのは平々凡々へいへいぼんぼんの家庭であった。当時14歳の家庭構造は父と母の三人家族。

家族とは理想的なほど仲良く自由に愛された環境で育った。

心優しくなるには環境によって、そして成績の方は自由または放任に近い環境で。


放任と言っても

成績には触れずこだわらずで娘と遊び甘えに屈して無理させずに育った。生まれた才能など妄想の産物と分かった現代で環境が能力や性格が決まる。愛情をいっぱい受けて育った椛葉は優しく、傷つけさせないとやめるようにした事で

成績は芳しくない。


「あぁぁーー!ち、遅刻だ!!」


内ケ島家の朝は早い。椛葉は例外となるが。


「おぉー、今日も遅れるのか。

でも焦らずにのんびりと行くんだぞ」


リビングでそう注意ではなく、

自堕落させる甘い言葉。

そんな言葉を使うのは父親の内ケ島氏理うちがしまうじまさ、サラリーマンで娘の椛葉には溺愛できあいをしている。


「フフ、そうよ椛葉なぎは

人生は長いんだから、遠回りが近く道になるのよ」


ゆるゆるふわふわな笑顔をこぼすのは母親の内ケ島零うちがしまれい。この母親は基本的にマイベースで誰にも優しい。そんな女神にも匹敵するほど慈悲深さと

周囲からよく言われ、夫や娘となるとかなり甘々となる。


(うわぁー、二人ともわたしが怒っていない今日も)


階段を降りてリビングのテーブルに置かれている皿の上のパンを

口に入れた、かなり古典的な食事。


「ママ、パパどうして起こさなかったの。遅れそうなのに慌ててよ。どうして怒らないの」


口からパンを右手で取りまくし立てると二人は穏やかな表情で答える。


「いやぁー、だって嫌われたくないだろ?ほら気持ち良さそうに寝息を立てているんだぞ。

起こすほど鬼じゃないよ」


「そうよ。ママは椛葉の睡眠を邪魔する外敵を守っているのよ。

具体的には掃除」


「今日も自由な独特なセリフだね。わたしは、もう行くからね」


内ケ島椛葉は生まれつき自由フリーダムに翻弄はされない。これが日常茶飯事で、突っ込んでいたら疲れて倒れると椛葉は強くそう思った。


「気をつけて行くんだぞ。

危なくなったらデジポリスを使うんだぞ」


父親の氏理は言うデジポリスとは数多のスマホアプリの一つで

警視庁公認防犯けいしちょうこうにんぼうはんアプリ。

痴漢を遭ったとき、痴漢に遭った報せるブザー音などや地域で犯罪や痴漢など頻繁に起きるのを利用者の情報の量で危険性など解る。

これは、父親が杞憂とは言えない。椛葉の容姿は白皙はくせきの美少女。


「大丈夫だよパパ。こんな、わたしなんかに・・・気をつけるねぇ」


口を開いて見てくる通りすがりの人が多い事を感じていたので、

否定しようにもそろそろ警戒するべきかもしれないと椛葉は思った。しかし、暫くして忘れる。


「道中、気をつけるのよ」


「はーい!」


椛葉は家を出てから通学路で車にねられ、事故死をした。それは、あまりにも突然で強い苦痛に悲鳴を上げる、それが断末魔となり深い眠りがいざないそして無限の安眠が訪れた。


「きゃああぁぁーーー!!!

・・・・・ハァァ、ハアァ、ハァ、ハァ、ハァ・・・こ、ここは?」


内ケ島椛葉は、体験したこと無い激痛に絶叫していると苦痛は幻のように消えていた。痛みを感じないなら身体は?動かせるか?など考えをよぎるが異常はない。

まるで、夢のようだった。


「でも、ここが夢の世界みたい」


「ええ、そうですね。ここではある意味そうと言えるでしょうね。貴女あなたからすれば」


「えっ!?だ、誰ですか?」


内ケ島は、謎の世界を見渡すが誰にもいない。声をしたのも頭の中という不可解な出来事。


(やっぱり夢?それに地面がくもの上で色んな時代の建物があるし)


「それは生まれた個人の文化に合った建物を創造させているのです」


「えっ、なに?」


(わたしの声が聞こえるの?

心の声がどうして聞こえるの。

もし、聞こえるなら面白い事を言って)


内ケ島椛葉は、もし心の声を読む人がいれば自分には思いつかない発想やアクションをすると思った。内ケ島椛葉は勉学や運動も出来ないがすぐに煮詰につまる状態になれる。ちなみに煮詰まるの本来の意味は結論が出る。

よく誤用される行き詰まるだが、

それはともかく。


「・・・・・」


「・・・・・」


「・・・・・あ、あの。面白い話を振るのは女神の私には無茶振りと言う言葉では?」


「えっ?女神なんですか!?」


(えぇぇーー!!自分から女神なんて言っていたけど・・・中二病的な痛い発言か、ボケなのか判断が難しいよぉー。むぅー、当たり障りのないリアクションをしよう!)


「で、ですから。心の声は聞こえるのですよ」


「そ、そうだったーーー!!」

(そ、そうだったーーー!!)


内ケ島が、心の声を読まれる事に信じてくれたが女神とは信じてくれない。女神様は思った、あれ?

日本人はアニメやマンガ、ラノベという事前知識みたいなモノがあるから理解力は世界では類を見ないと思ったのに。いえ、前の人々は理解力が高かった。


「貴女もしやリア充という生き物ですか?」


「い、生き物ぉぉーー!?」


(生き物って、何を言っているの。学校の非公式的のランク制で分けられてランクが高い人は色んな人から声を掛けられる人気者で発言力かそれなりに高くて、

意味は多いけど全部、当てはまるのは充実した人を指すよ)


内ケ島の発した言葉は短い間に思考の方では早く回って次々と言葉など出ている。成績が悪いイーコル頭の悪さと直結しないと女神は思って読み取ったリア充の定義を知り苦笑する。


「そ、そうですか。貴女は賢いんですね」


戸惑いを隠して女神様は褒め言葉を発した。どんな反応するか、純粋に言いたかった2つで起きる。

慣れてきた内ケ島はゆるふわな笑みをする。


「まぁーさか、どうせ、わたしなんか無知蒙昧むちもうまい遮二無二しゃにむにしか猪突猛進しか出来ない女の子です」


(な、何を!?わ、わたしなんかが賢いなんて、そんなことあるわけがないよ。お、おおぉ、落ち着こうよ、わたし!女神様はきっとSという悪趣味な変態さんです。

うん、きっとそうに違いありませんね)


表裏がツッコミどころあるセリフの数々。表の裏のセリフが、なんたか逆のようだなと思っていた。


「ち、違います!あ、貴女は私を突っ込ませることに何の意味があるのですか?現実逃避をしないでください」


「お、落ち着いて女神様。

周章狼狽しゅうしょうろうばいしないで」


(わぁー、女神様がかわいい反応している。かわいい、きゃあーー)


「・・・貴女ギャップがありすぎます。コホン、ではそろそろ姿を見せます」


女神様の声がそう言うと天空から光が下りる。否、それは降臨の光であった。あまりにも眩しく内ケ島は目を閉じる。降臨した女神様は雲の上に着地する。すると、まばゆい光は一瞬で収まり女神様は

内ケ島椛葉を微笑見る。

まぶたの裏で光が収まったと理解した内ケ島は、慎重にまだ収まっていないかもしれないと、おもむろに開く。

内ケ島椛葉は目を大きく見開き

女神様は可愛い反応ですねと思った。


「め、女神様!」


(うわぁー、眩しい)


「はい、女神ですよ内ケ島。

私は太陽の女神、アマテラスと申します」


日本神話で知らない人はいない。

あまりにも有名な女神。

父はイザナギ。母はイザナミ。

弟はスサノオとして知られる。

古事記こじきに記させれる女神を内ケ島はポカンと呆然となっていた。


「そう緊張なさないでください。

私には気軽に読んでください」


やっと女神の役目と余裕を戻った女神様ことアマテラスは優しく微笑む。これから手続きがある。


「あのー、アマテラスって名前ですか?」


(アマテラスって。キレイで長い黒髪と黒い目なのに外国人みたいな名前の女神だなぁー)


「いえ、私戸同じの名前の人ってなんなんですか!?それ逆に合わせてほしいですよ内ケ島さん!」


アマテラスは、内ケ島椛葉の自由奔放な解釈に翻弄されるのだった。


「いいですか。貴女は現世で亡くなりました。それは悲しくて苦しかったですよね。そんな貴女に特殊な転生で生き返らせるでしょう」


アマテラスの人差し指を立ち左右に振りほれは教鞭きょうべんのように。内ケ島椛葉は、疑心暗鬼になっていた。


「あの、説明はなんとなく分かりましたが。それってわたしが死んでしまったから?」


「はい。ここは天上、特別処置として貴女を世界に行けます」


「それは戻れること?」


「いえ、残念ながら日本がある世界には2度といけません。

干渉しないようにしていますので。昔はよく、ありました」


それからアマテラスの愚痴が始まりあまりにも荒唐無稽で虚構きょこうのような話に欠伸あくびをする。


「と、とりあえず異世界にしか行けないことですよねアマテラス様」


「はい。それを選ぶのは貴女の判断に任せます。どうしますか?」


「もちろん。行きます!

行ってみて冒険とかドラゴンに乗りたい!」


夢が膨らむ内ケ島の言葉にアマテラスの顔にかげりゆく。

すぐにスマイルに戻るアマテラスは内ケ島に説明を閑話休題と続ける。


「では、特典としてチート能力を授けます。異世界で転生した結果によりランダムで手に入れます」


「はい!」


ビシッと着立の内ケ島。


「転生はしますが、よろしいですか?」


「はい!いつでもどうぞ」


無邪気でわくわくして目を輝かせていた内ケ島にアマテラスは

良心の呵責を覚えて、両手を内ケ島に前へ向ける。


「ラァララァ―――――」


「えへへ、かわいい声ですね」


(アマテラス様と会うのは最後になるのかな。さようなら)


内ケ島は読心術が出来ること分かって別れの挨拶をした。


「貴女は・・・気をつけてください。

さようなら内ケ島椛葉」


内ケ島の足元から神々しい魔法陣が出現して幾度も重なった魔法陣。回転して光が放って包み込む。そして内ケ島椛葉は転生した

異世界アークブルーに。


「・・・本当に気をつけてください」


アマテラスは内ケ島椛葉に無事でありますよう思い呟いた。

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転生した英雄を狩る者 立花戦 @fadpgf33gaa5d5d

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