第弐拾壱話―自由貿易都市ノルン―

「変装はこれでいいだろう」


「だ、誰ですか!?」


「・・・目の前で見て何を言っているんだ」


ガロンがジト目を向けるが、内ケ島の驚愕しても仕方なかった。


目覚めた二人は旅路を終えてそろそろ出発の時にガロンは検問などの懸念して内ケ島にくしを借りて整えて、内ケ島が眠っている夜中に亜人からボロマントを通常を遥かに上回る値段で買ったりして今のガロンはボサボサの自由に伸びた黒髪は綺麗に整え、

後ろに纏め凛々しく変身した。


「えへへ、ごめんなさい。

でも驚きますよ。ここまで髪型が綺麗になるなんて」


「そうか。なら、行くぞ」


「は、はい!」


無愛想なのがガロンであった。

亜人領から北の方へ進み、人類が支配する領地へ入る。アークブルーの地図では北西に位置し領地中に南東部を目指す。オーガ領と亜人領に面して、そして貿易都市がある。


「うわぁー、すごい往来ですね」


「自由貿易都市。種族の垣根を関係なく入れる数少ない都市。

そのためあらゆる品やサービスなど最先端に行く」


「詳しいですね、ガロンさん。

あっ、事前に情報収集したとか?」


「いや、頻繁ひんぱんに入って購入しているから詳しいだけだ」


「なるほど」


二人は、長い長蛇の列を最後尾に並び待つ。これが、関所と入口になっている。列にオーガやヴァンパイア、ダークエルフ、エルフなど他種族を争う事なく静かに並んでいると内ケ島は欠伸あくびをこぼす。


「眠たいのか?」


「少しは、でも平気です。

慣れていますので」


「眠たいなら今の内に寝ていろ。

おぶって歩いてもいいんだぞ」


「ガロンさん、ときどきわたしをすーーごい、子供あつかいしますよね」


怒った内ケ島にガロンは、気を遣って何故その反応なのか思った。

長い列が前に行き、入口で門番に入国する理由と怪しい物はないか厳しい目を向けられ、ガロンは丁寧に応答して二人は入国できた。


「今わかりました!カロンさんの髪型を綺麗にしたのってここを通るためだからなんですね」


「それもあるが・・・まぁ、そういう事だ」


「あれ?なにか途中から言い直していませんか」


「ようやく解ったのかと出そうになっただけだ」


本当はエルフのエレナ達に目撃するかもしれないので、容姿を変えたのだ。


匂いが敏感の犬人などの亜人がいればすぐに見破れるが、

長命のエルフは人間の容姿に疎い。内ケ島の誰ですか!それほど見た目がガラッと変わっていれば

見破れないはず。とガロン自信があった。


「まずは服屋からだ」


ガロンは最初に向かうのは服屋。

大通りはあらゆる種族で行き交じっている。内ケ島椛葉は、戸惑うと思ったガロンは思ったよりも落ち着いていて内心は驚いていた。


(朝早くから入った事なかったけど、

こんなに多かったんだ)


内ケ島は前にここへ入国したことはある。特に同じく異世界転生した人達によって新しい文化を取り入れて急成長した。


ちなみに異世界転生した人達がもたらしたのは、マンガや複雑な料理、特典、

裾が短いメイド服を来て擬似的な接客の喫茶店など。


ほとんど、趣味で現代に近い物を取り入れた都市でもある。

ともかく服屋に入るとガロンは内ケ島に振り返る。


「ここは評判が良さそうだと風の便りで知った。好きな物を選ぶといい」


「えっ!えーと、ガロンさんが買ってくれるのですか!?」


「これくらい、大した出費にはなるまいからなぁ」


ガロンはそう捨てるように言ったが値段はどれも安いとは言えない物がばかりだ。プランド物も売っていたりしていて手元が不如意な内ケ島には買えないものばかりでガロンの言葉に甘えようかと思う。


「い、いえ平気です。どうせ、わたしなんかオシャレするほど、かわいくないですから」


微苦笑を浮かべ内ケ島椛葉は鬼人の拙い温もりを感じさせる

言葉を断る。内ケ島椛葉は自分のことを美少女と呼ばれる美貌なのを自覚を持っていない。


(遠慮するのは美点なのかもしれないが、こいつは損得で生きるのが上手くないんだな)


ガロンはそう内ケ島の内面上を見れた気がした。


「ハァー、オシャレする資格か無いのは容姿が悪いってことか?」


「は、はい」


翳りのある笑みで返事をした。


「いいか、自信がないなら容姿が悪いなら、なおさらオシャレをしてみせろ」


「ガ、ガロンさん?」


「潜入する際に、立派な格好と必要になるかもしれんから、いつでも持参しないといけないはずだ」


頑なに首を縦に振らない彼女をガロンは少し強引な理屈で納得しようと言葉を並べる。なので言った事態はでまかせ、ガロン自身だって立派な格好など持っていない。


「な、なるほどですね。立派な物と高そうで安い物を選んできます!」


年頃の女の子、発言ではないなぁとその会話を聞いていたニコニコと笑顔を浮かべる女性店員。頬を引きるのは致し方ないことだろう。値段とかわいい2点を頭に入れて内ケ島は洋服を真剣に悩み選ぶのであった。


「ガ、ガロンさん試着するのですけど、これどうでしょうか?」


内ケ島が大事に持つのは純白とフリル多めのドレスだった。手頃の値段とは言えないが少し高いぐらい。


「ああ、いいと思う。さっそく着てみるといい」


「は、はい!あの、このドレス試着してもいいですか?」


「ええ、どうぞ試着してください」


店員のとりあえず褒めて褒めまくりで買っていただく手法には内ケ島は通じず疲弊した店員はすぐに笑顔を作り戻して明るく返事をした。試着室の前でガロンと店員はカーテンを開くまで待つことに。

沈黙が続き店員は早く着替え終わってと願った。その願いが叶ったかカーテンが勢いよく開く。


「ど、どうでしょうかガロンさん」


純白の魔法使いジョブのローブを常に着ていたため、見慣れていたが瑠璃るり玻璃はりも照らせば光るほど驚嘆するほど容姿端麗を持つこと改めて思ったガロン。店員の方はドレス姿の内ケ島椛葉の姿を見て興奮する。


「な、なな、なんですか!?

この美しい過ぎる原石は!!」


「へぇ?」


(静かだったのに、急にどうしたんだろう?)


怪訝になる内ケ島の視線など、まったく気にせず店員は次々と洋服を持ってくる。ガロンは頭痛を起こしたように片手で頭を抑える。


「さあ、さあ!このワンピースとか、カジュアルな格好も!!」


「そ、その・・・ごめんなさい。

わたし懐が寂しくてこれ以上は買えないんです」


これ以上を購入する意思はないと内ケ島がそうストレートに言うと、店員は些細な事と言わんばかりに笑顔を崩さなかった。


「なるほど、そういう事でしたら代金は結構です。その条件として洋服を着て歩いてくだされば結構ですよ」


「えっ!そ、そんな条件でいいんですか・・・はっ!もしかして詐欺師!?」


「いえ、いえ、いえ!裏とかありません・・・少し」


最後のボソッとこぼした声を内ケ島は見逃さなかった。


「少しって言いましたよ!」


指をつきつけ決定的な犯行と言わんばかりに。ガロンはその提案の裏か都市の中を徘徊すれば宣伝効果になり自然と可愛い格好しようと客数が増えるわけと。


「店員の提案を飲むのもいいじゃないか?」


ガロンの短い言葉に内ケ島は手をあごに当てて思考して決めたようた模様。


「分かりましたガロンさんが、そう言うのでしたら着て回ります」


内ケ島が選んだドレスもタダにしてもらい出費はなく、白のワンピース姿を身を包む内ケ島と、店を後にして喫茶店に入る。


「「おかえりなさいませ、ご主人様、お嬢様!」」


そこは、メイド喫茶店だった。

人や亜人などがメイド服を着てお客さんをご主人様と称して明るく接客する。現代日本では前のように人が多く入店しなくなったが、異世界アークブルーでは絶賛大人気。


「ま、まさかメイド喫茶に入ることになるなんて・・・思いませんでしたけど、お嬢様なんて、えへへ」


内ケ島はお嬢様と呼ばれた事に嬉しいあまりに屈託のない笑みを浮かべる。花さえ照れるほどの可憐な笑みを向けられたメイドさん達は胸を抑えたり、ある者はこれが萌えというものなのか!と謎の悟りを開いた女の子もいた。


「・・・な、なんだこれは?」


知らずに入ったガロンは、戸惑うしかなかった。初めてメイド喫茶を入った内ケ島は満足していた。

そして、慣れた様子で席に座り注文を済ませる内ケ島。アニメやマンガの知識で得たもので。


「ガロンさん楽しいですね」


「そうか?まぁ別に楽しいんならいいんだが」


「ふっふふ、ガロンさんそう照れなくとも可愛いメイドさん達にデレデレなのは分かっていますよ」


「そうか、おまえはそう見えるんだな」


見たことない格好なので、ガロンはメイド衣装をまじまじと見ていた。珍しい露出度が高いようで高くなく、清楚感で雰囲気も作り出す。こんな喫茶店があるんだなぁとガロンはそう思い紅茶を飲む。

内ケ島だけ十二分、楽しんで店を後にした。


「ガロンさん次はどこに行きますか?」


「リラックスしたなら武器屋に行くとしよう」


「・・・武器屋ですか」


弾く明るさから、地面を凝視するほど落ち込む内ケ島は力なく返事をする。


「急降下ような落ち込みだな。

行きたくないのか?」


「うん。武器は好きじゃないですけどガロンさんが行くなら行きます」


「無理しなくとも行きたくないなら俺一人だけ行くぞ」


「ううん。行きます」


外に行けば魔物と遭遇する時代。そんな世界であるため武器屋は

武器を売り多くの利益を得ることに成功し、店舗を増やしていた。ガロンが、値段と武器の安定性のあるお店に入る。苦手意識があるなか後ろについていく。


「いい杖とかないか店主」


「あぁ、すまないが無いな」


気だるそうに答える武器屋の店主。


「そうか。次だ行くぞ」


「あ、はいガロンさん」


武器屋を出て次の店に探す。武器屋はたくさんあるため無理して選ぶことはない。サービスや性能など充実して武器屋は服屋のように色々と取り扱う。性能特化や安さと成功性、中古武器など様々。

3店ほど巡っていると、いい杖があると言った。


「これが、そうだがどうじゃ?」


好々爺こうこうやの 彼は良質の杖を前に差し出しガロンは受け取りる。

内ケ島は気にいるかと思ったが、芳しくなかった。


「ガロンさん、今の杖でわたしは十分ですので」


「しかしこの武器は打撃が強いと聞いたんだが?


「ありがとう。ほら、わたしって弱いから」


内ケ島椛葉は何度目になるか分からない微苦笑をするのだった。

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