「自分を切り裂くという適応方法」 (SF)

「自分を切り裂くという適応方法」


 この作品は瞬間的な力で書きました。

 社会学に関する図鑑を読んだ時、「全制的施設」についての記述に出会い、そこから始まりました。

 まず第一のシチュエーションとして、精神病院という「環境」を設置して、次に、自己の壊死、と呼ばれるシチュエーションを考えました。このために「新ロボトミー」というギミックを設定しました。強制的に自己を奪う、というか。

 自己の壊死、と呼ばれる展開を受け入れない人物が、外科的手術を受けることで、自己を書き換える、成形する、という展開まで進んだ時、なら、最初に設定した環境をもっと広げてみてはどうか、と気づきました。そこで、「全社会主義」と名付けた、社会という「環境」の引用を決めました。

 とにかくこの短編は、適応することと自己を変化させること、その関係と、社会に合わせてどこまで自己を変えるべきか、どこまで適応していくべきか、そんな疑問を投げかけることに終始しています。

 ちなみにフリーマンという名前は、もちろん、ロボトミーを開発したフリーマンからの引用です。また、病院のスピーカーからの放送は、ジョージ・オーウェルの「1984年」を意識しました。

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