第6話 メンドクサイ、俺

No6

メンドクサイ、俺





 翌日は足の痛みを我慢しながら、ベッドから起き食堂へと向かった。


「おっ、おはよ..う、ござ...います」

「あらっ?! どうしたんですか、セイジロウさん?」

「えぇ、ちょっ、ちょっと昨日は働き..過ぎで...」

「辛そうですが、大丈夫ですか?」


「まっ、まぁ、なんとか.....朝食をもらえますか?」

「はい、用意しますね。」


 はぁ.....マジで体痛い....今日はどうしよう....もう少し人が居たら何とかなるんだけどな...


「はい、お待たせしました。スープにパン、ベーコンとサラダですね。飲み物はどうします?」

「では、果実水を下さい」


 ちゃんと追加のドリンク代は払ったよ!!


 朝食をモソモソ食べてると、シーナがやって来た。

「お兄ちゃん、体がイタイの? 大丈夫?」

「ハハハ、大丈夫だよ! ちょっと頑張り過ぎちゃっただけだから心配しなくても平気だよ。」


「そっか! わかった! 体はシホンだから、無理しちゃダメだよっ!」


 どこでそんな言葉を覚えてきたっ?!


 朝食を食べ終わって部屋に戻りちょっと休憩。今日の予定を考える。何かしらの金策を考えなければジリ貧だな....


 一応、思い付くがどうするか?


 俺の持ち物を売って金策に充ててもいいが、こっちの世界の物じゃないし明らかに目立つ。出来れば隠密に行きたいがツテもコネもないしな....


 仮に金があったとしてどうする?この街での暮らしは普通に出来るがただソレだけだ。


 また、目標も何もなくただ、死ぬまで生きるだけの暮らしに逆戻りだ.....

 何か目標があれば....な....


 せっかく来た世界だ、色々見たいし、食べたい、旅もしたいな....

 まずは金か? どれくらい? 1ヵ月小金貨3枚として1年で金貨3枚ぐらいか?


 てか、こっちの一年って何日だ? 一般的常識が欠けすぎててわからないな....だが、やたら滅多に色んな人に声をかけても、怪しいヤツだと思われるし、今から学校みたいとこに通う分けにもいかないだろうな....


 生活するには困らない情報は手に入るが、一般的常識やそれ以外となると何処かでボロが出るしな....


 頼れる人や信頼出来る人に相談が出来れば....ギルドを頼りたいが....アリーナさんとフローラさんしか知らないし....


 異世界ファンタジー的に奴隷か? ただ、この世界での奴隷の扱いがわからん....やっぱり忌諱される存在か?


 街中を見た時にはソレらしいのは居なかった....よな?


「とりあえず、ギルドに行くか....」


 俺は、支度をすると冒険者ギルドに向かった。


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 で、早速アリーナさんを見つけて相談をしてみた。現在、個室で相談中です。


「.....で、奴隷を買ってパーティーを組むと.....あまりオススメはしませんよ。契約次第では有益な利用は出来ますが....大抵はロクな事になりません」

「やっぱりですか.....」


「えぇ、一応、資金策は理解しましたが、それで身の回りの準備を整え地道に暮らしていくべきだと私は思いますが....」

「はい、ごもっともです」


「.....まずは、誰かに字を教えて貰い読み書き計算が出来るようになれば、仕事は選べますよ。まずは、そこから初めて見てはいかがですか?」


「それは、私も考えましたが....誰に教えてもらえればいいんでしょう? まだ、街にも知り合いはいなく、知ってる人ならアリーナさんと、フローラさんしか居ないですし...まぁ、門番さんや食事処のオッサンとお姉さんは知ってますけど....それこそ、知り合いですし....」


「まぁ、そうですね...(ちょっと、メンドクサイ人だったかな? 最初はいい人だと思ったんだけど、見余ったか?.....フロア長に相談するか?)....では、少々お待ち下さい。フロア長に聞いてみますので....」


「はい。わかりました.....」


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「フロア長、ちょっと時間ありますか?」


△▽▽▽△△▽▽△▽▽

 ワタシは、この間登録したセイジロウさんの相談にのっていたが、少々メンドクサくなりフロア長に丸投げしようと話を持ちかけた。


 フロア長のフローラさんは、仕事も出来て周りには優しく責任感も強い。さらには、スタイルも良く顔も良いきた。


 だが、


 まだ独身で年齢は25才。早い人なら成人してすぐに婚約、結婚、出産となる。現在の結婚適齢期は16~20才ぐらいだ。


 ワタシも今年で20才になるがすでに婚約中で来年には結婚をする身になってる。ちょっと遅くなっちゃったけど....


 ギルドの受付嬢は冒険者からモテるが、冒険者にはまともなのがいない。暴力的で頭も悪く口も悪い、酒と女に溺れて人生は幸先悪い。


 下手に冒険者と関わると、適当に遊ばれてポイ捨てなんて事もある。


 ワタシは、そんな事になりたくなくて婚期が遅れようと幸先が明るい人を見つける努力をした。


 その結果、見つけたのは商人の次男坊。家業は長男が継ぐけど、堅実な人で頭も良い、女性にも気遣いが出来る人を見つけたのだっ!!


 って、ワタシの話はここまでにして、フローラさん。冒険者ギルドは忙しくて、プライベートの時間も少ない。アッチもコッチもと仕事をしていたら、恋人を見つける時間もない。


 仕事に終われ時間が過ぎ去っていく。さらに、キャリアアップをすれば仕事は増え、プライベートは削られ自然と婚期を逃していく。


 たまに、上司から見合い話を受けるが大体が何かしらの癖を持つ人だ。


 フローラさんは典型的なギルドの渦に飲まれた人だ。内心では幸せになって貰いたいが、やはり仕事では頼りにしてしまう。


 もちろん、出来る範囲で頑張るがやはり手に余るものはフローラさんに頼ってしまう。

 ごめんなさい、フローラさん。あとで、美味しい茶葉をプレゼントしますから....


▽△△▽▽▽△△△▽


「どうしました、アリーナ?何か分からない事でもありましたか?」

「まぁ、分からないといえば分からないんですが.....」

「??....なんですか?」


「実は---」

「......そうですか.....まぁ、異国の方ですからね、新しい街で戸惑いもあるでしょう。さらに、多少の文化も分からなければ、悩みもある、ですか。困りましたね....」


「一応の妥協案は出したのですが、本人はまだ悩んでまして....それで、フロア長に相談したんです...ごめんなさい」


「いえ、謝る必要はないですよ。アリーナが悪いわけでは無いですし....ですが、冒険者は自己責任とはいえ、このまま先走りをしたらちょっと不味いですね。事前にギルドにも相談に来てますし....」


「不味いですか?....」

「えぇ、この後、自己責任で自分で頑張って下さいと私たちが彼をギルドから出し、犯罪を犯したとします。彼が捕まり冒険者ギルドで不当な扱いを受けたなどと吹聴したら、ギルドの沽券に関わります。しかも、登録したての異国人です」


「えっと、話が大きくなりすぎでは?」


「かもしれませんが、彼自身の正確な身元が分からないのです。事情聴取をしましたが彼自身が身元を偽っていたとしてもこちらで、強制的に調べる事はできません。彼は、何も悪いことをしていないのです。仮に他国の身分ある者だとしたらどうですか?」


「かなり不味いかも知れませんね....」


「はい、彼の扱いはデリケートです。立ち居振るまいからして高度な教育はされてます。だから、困っているのです」

「ご迷惑かけて、ごめんなさい」


「迷惑ではないですよ、アリーナ。...さて、お茶の準備をしてもらえますか?私は、彼と話をしてきましょう」


 フローラさんは、セイジロウさんが待つ個室へと向かった。私は、急いでお茶の準備をした。


 フローラさんの為にちょっと高級茶葉を使ったのは、秘密ねっ!


 あの人にも出すお茶だけど.....

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