第55話 可能性はこの手の中に

『くっ、白花を抱えたままじゃ思う存分戦えない!』

 デュエヴォルは左手で白花を優しく握りしめながら放たれる敵光線を相殺させていた。

 生身の身体であるからこそ下手に高機動をとれば、白花は耐えきれない。

『そうか、その手があった!』

 思い立ったデュエヴォルは空間収納を活用する。

 空間を上手く繋げあうことで亜空間に収納スペースを形成する能力だ。

『たんぽぽ、蒼太、そっちに白花を送る! 後は任せた!』

 一方的に通信を送れば白花を亜空間に収納し出入り口をたんぽぽ・蒼太いる隠れ家に設定する。

 送るや否やたんぽぽと蒼太の驚き喜びの声が通信越しに届く。

『これで思いっきり戦える!』

「なにが戦えるだよ!」

 上半身のみとなったデュナリプスからビームとチュベロスの怒声が飛ぶ。

「こんな惑星一つ、なに本気になって守ろうとしてんだよ! この手の環境惑星なんて宇宙にはザラっと一万はあんのに、ばっかじゃないの!」

『人類が生存できる惑星が一万もあるのには朗報だが、その惑星に住まう命は一万じゃないんだよ!』

 デュエヴォルは左右に展開させた光輪を敵背面の触腕に向けて投擲する。まるで意志を持つかのように飛翔する光輪は敵触腕を根本から切り落とした。

『どうしてだ! どうしてそこまで惑星を趣味で爆破できる! 簡単に命をおもちゃにできる!』

 度し難く悪趣味すぎる行為にデュエヴォルは疑問を抱いていた。

 単細胞生物故に多細胞生物から迫害されたからか。母星を爆破された故に報復として惑星を爆破するようになったからか。疑問は尽きない。

「お前らなんかになにが分かる! 僕様はな、僕様はな、たった一人であらゆる宇宙の、あらゆる惑星の命を救ってきたんだぞ!」

 チュベロスからの予想外の反論にデュエヴォルは思考を空転させた。

『僕様たちはな、こんな単細胞生物だけどよ、頭脳はどの種族よりも抜きんでていた。単細胞故に知能がどんな種族よりも著しく発達してんだ! その知能を発明や医療に生かすことで多くの種を、星を救ってきたんだぞ!』

「ならなおさら! 命を救うものが命を弄ぶなどあってたまるか!」

『きれいごとを今更言うなよ!』

 デュナリプスの胸部口より拡散されたビームがデュエヴォルに向けて降り注ぐ。デュエヴォルは不規則な軌道で降り注ぐビームをかいくぐりながら掌で圧縮した球体を敵胸部口にサッカーボールよろしく蹴り入れた。ゴールネットのごとくデュナリプスが爆発にて激しく揺れ動く。

「ぐううう、おまえらが武力で弱者を救い、悪を討つように、僕様も医療で弱者を救ってきた! けどよ、どんなに救おうとな、ワクチンがあろうとな、誰も救えねえ! てめえらは弱いのいたぶる悪にカチコミかけて一方的にボコせばいいけどな、僕様みたいな医者は病魔蔓延ろうと患者自身が治療を望まなければ治療できねえ! 分かるか! ワクチンを毒だと流布する奴の言葉を真に受けて治療を拒むバカどもをいかにして救おうと奮闘したオオバカモノが!」

『反ワクチンか……』

 地球でも天然痘蔓延る時代から歴史に残る問題となっている。

 勘違いされやすいがワクチンは特効薬ではない。あくまで体内に抗体を作らせ、免疫を生じさせるもの。

 だが接種者の中にアナフィラキシーを引き起こす者もおり、その効果が度々問題視されていた。

 過去と比較して医療技術の向上により安全性が向上しようと、ワクチンは他の症状を引き起こすと危惧や不振を抱く者は少なくない。

 かといってワクチン接種を拒みながら、まじないや不可解な民間療法は進んで受けるという矛盾。

 結果として感染拡大を引き起こすのは匙を投げるレベルである。

「ある惑星に未知のウィルスが蔓延したよ! 医者として僕様たち医療チームはすぐ駆けつけ、この頭脳を用いてワクチンを開発したさ! 感染率はまだ一割満たしておらず誰も死んでいない。事態は終息すると思えばどこぞのバカ組織が、そのワクチンは毒だとかわけわからんこと流布したよ。あげくに医療根拠のない治療法を広めやがって、お陰でその惑星はどうなったか、ああ当然全員死んじまったよ! 中にはバカの言うこと信じて治ったと惑星外に出るもんだから銀河中に感染拡大させやがった! 許せないのはよ!」

 断固として許せぬのは反ワクチン組織が責任逃れのため、チュベロスたち医療チームに全てを押しつけたことだ。構成員の中には各惑星に強い政治的影響力を持つからこそ誰もが盲目的に信じ、患者を一人でも多く救わんと奔走するチュベロスの知らぬところで勝手にテロリスト認定する。自然界の突然変異ウィルスを人為的に作成されたウィルスとする徹底ぶりだ。

「昨日救った患者が、今日感謝ではなく隕石投げてくる! ワクチン生成用のウィルスを生物兵器だといいがかりをつけてくる! しまいには単細胞なのを理由に宇宙の病原菌として僕様の惑星を爆破しやがった! たまたま検診に出ていた僕様は奇跡的に生き残ったよ。分かるか! 救い続けた患者に突然裏切られ、宇宙の敵として排除される気持ちが! 身勝手な理由で惑星を爆破される気持ちが!」

 チュベロスの怨嗟を体現するようにデュナリプスが今までにない機動音をあげる。それは溜めに溜め続けた恨み辛みを解き放なたんとする姿に見えた。

「だから決めたんだよ! もう誰も救わねえ! 今まで命を救ってきた分、命を弄んでやる! 惑星を爆破してやるってね!」

 デュナリプスの口が開く。胸部とは異なるほの暗い光が集う。

「そんなに死にたいなら惑星ごと爆破してやんよ! そうすりゃ二度と病にかからないしな!」

『……そうか』

 デュエヴォルは否定も肯定もせずただ相づちだけ打った。

 助けた者に殺されるなど、別に珍しいことではない。他者を救い続けた結果、自分だけ救えなかったことさえままある。

 だが、これだけは否定する。如何なる理由であろうと命を弄ぶのは否定する。怨念返しのように他の銀河を巻き込むのを否定する。

『結局、お前も同じ生き物なんだな』

「ぬあん、だと?」

『ああ、マッドサイエンティストかと思えば、どこにでもいるただの生き物じゃねえか、そうだよ、心の歪んだただの醜い生き物だよ!』

「敵を救わず倒すだけでOKの奴らが言う口か!」

『俺たちは時に倒すべき敵の命さえ救ってきた!』

 かつてデュナイドとデュエンドは敵さえ救った記憶を朱翔とみそらを垣間見た。敵だろうと侵攻する理由を知り、復興に手を貸したことさえあった。

 戦い、刃を交え、その元凶が食糧事情や過酷な環境であるとすれば復興に手を貸した。誰も彼も戦い倒してばかりではないのだ。戦わずして元凶を討ってきたことさえあるのだ。

「てめーらの実績なんか知るかっての! 僕様の望みはな、全ての生命が宇宙から消えることなんだよ! だから全ての惑星を爆破するんだよ! 趣味でね!」

 デュナリプスが吼える。チュベロスが憤怒に猛る。口内部砲身に集うエネルギーが禍々しき光の球体を形成しデュエヴォルに解き放たんとする。

『ならば俺たちはあらゆる可能性を守ろう!』

 デュエヴォルの全身より金と銀の燐光が迸る。輝きは両脚に集い、海面を蹴って空高く飛び上がった。

 その輝きは眩しき彗星となる。

『誰も、例え神であっても可能性は奪わせない!』

 彗星となったデュエヴォルとデュナリプスより放たれた滅びの光は正面から激突する。

 夥しいプラズマが迸り、海面を、天を激しく揺らす。どちらも一切の後退を許さず、減衰の兆しすらないほど拮抗していた。

『全ての可能性は、俺たちが守る!』

「戯れ言を言うな!」

『戯れ言じゃない、それこそが未来を繋ぐ可能性なんだ!』

 さらに輝きを増した彗星が滅びの光ごとデュナリプスを蹴り抜いた。

「うっそ、だろ、僕様の、最高最強傑作がっ!」

 胸部を蹴り抜かれたデュナリプスは爆発に包まれる。制御失った巨体は引き寄せられる形で海面の虚に沈み込んだ。

「あひゃひゃひゃ! 地球が爆破したぞ! 爆発した! きれいだな! きれいだな、キレイ!」

 爆発に全身を焼かれたチュベロスは戯言を繰り返していた。

 そして海面の虚より衛生軌道上まで届く火柱が噴き上がる。

『……終わった』

 達成感はない。勝利感もない。

 ただ肩の荷が下りたという感覚だった。

『まだ終わっていません!』

 余韻に浸る暇なく白花から緊急通信が入る。

『白花、無事に目覚め――』

『時間がないので早口で失礼します! まだ海面に穴が開いていますよね! あれは地球の中心核への直通ルートなんです! 取り憑かれた時の記憶がおぼろげながら残っているんです! チュベロスはマントルや重力などの影響を避けるため空間操作で直通のトンネルを形成したんです! 本来ならコントロールを奪ったアマテラスの太陽光を地球の中心核に照射することで地球を爆破しようとしていました。ですが度重なる妨害により計画を変更、爆弾を中心核との接触で爆発させる! まだ穴が健在だということは!』

『カウントダウンは終わっていない!』

 デュエヴォルは海面の虚に飛び込んでいた。

 空間操作で形成された中心核へのトンネルは半ば崩壊しつつある。

 制御者であるチュベロスを失ったことでいつ崩壊してもおかしくない状態であった。

 降下にて深度が増すに連れて、アーマーは外圧により軋み、身体を押し潰さんと降下の壁となる。

 地球は地殻、上部マントル、下部マントル、マントル、外核、内核となる構造を持っている。

 よく勘違いされるがマントルは岩石の層であって液体ではない。

 マグマとはマントルの一部が溶けたものを指す。

 表面から下二九〇〇キロメートルまでを締めている。

 ただ距離があるだけではない。

 中心核に近づけば近づくほど、圧力と温度が増す。

 中心の温度は太陽の表面温度とほぼ同じ約五七〇〇度に、圧力は三六四万気圧に達している。

 いくら人類が宇宙に有人ロケットを飛ばせる技術を開発しようと、今なお地中深くまで潜行する技術は開発されていなかった。

『あれか!』

 無数の瓦礫を突き抜け降下を続ける中、降下する物体を目で捉える。ボーリングの球と変わらぬ大きさの球体だった。

『だが、どうする!』

 破壊は悪影響があるためナンセンス。かといって抱えて宇宙に運ぼうにも、崩壊し続ける空間と地球の重力が枷となる。

『二人とも、あ、今は一人か!』

『んだよ、蒼太!』

『今さ社長から渡されたタブレットがデータ表示したんだよ! 今そっちに送る!』

 デュエヴォルに転送されるデータは中心核までの到達時間と、その解決手段だった。

『そうか、あのタブレットは社長がエネルゲイヤーΔから形成させたものだ。つまりそれに準じるだけの性能があるってことか。だが……』

 解決策が問題だった。

『いや、躊躇している暇はない!』

 デュエヴォルを突き動かすのは可能性を終わらせぬ意志のみ。

 全身を光に包み込み、さらなる速度で降下する。

 降下するに連れてアーマーの亀裂は広がり、先端から砕け散っていく。

 重なる戦闘ダメージがアーマー崩壊を押し進めていた。

『絶対に帰ってきなさいよ!』

『そうだ、そうだ、まだゲームのイベント延期したままなんだぞ!』

『帰ってきたら新しい婚姻届、役所に取りに行きますからね!』

 友からのエールが届く。誰もが帰還を信じて疑わない。

 信じられるからこそ、デュエヴォルはまだ戦える。まだ動ける。

『ああ、帰るんだ! みんなの、可能性の未来へ!』

 降下する爆弾と速度を合わせたデュエヴォルは残る光子エネルギー全てを解放せんとする。

 黒きタブレットが提示した解決手段。

 それはデュエヴォルのエネルギーと爆弾に内包されたエネルギーを衝突させることで対消滅を起こさせること。偶然か必然か、互いのエネルギー係数がプラスとマイナスに位置していた。

 だが対消滅の文字通り、互いに消滅するリスクがある。

 それすなわち皆の可能性を守るが故に、自らの可能性を犠牲とする行為だった。

『犠牲? ふん、俺は別に正義の味方でも、英雄になりたい訳でもない。ただ目の前で可能性クルーを失ったからこそ、目の前にある可能性を、ただ君だけを守りたかっただけだ!』

 中心核が目視できる距離まで縮まっている。

 デュエヴォルは静かに呼吸を整え、内に溜めたエネルギーを一気に解放させんと叫ぶ。


紡がれし可能性の波動サンライト・ビックバン! 』


 身体より太陽と見間違う輝きが放出され、人間の視界限界を超える光が空間に満ち溢れる。 

 それは可能性を照らす光。それは可能性を紡ぐ輝き。

 誰もが持つ可能性を次に繋ぐ未来への波動だった。

『これが未来を紡ぐ、力だあああああああああっ!』

 この日、この瞬間、地球は、いや太陽系は虹色の輝きに包まれた。


 あの世の匂いは嗅ぎ慣れた潮の匂いか。

 うっすらと瞼を開いた朱翔は、優しく微笑む白花の顔を網膜に映す。

「おはようございます」

「僕は、生きて、あれ、白花、えっと~」

 秒刻みで朱翔の意識が覚醒した原因は白花の膝枕だった。

「そして、おかえりなさい」

「あ、ただいま」

 内からこみ上げる恥ずかしさに朱翔は半身を起こす。

 周囲を見渡せば、天沼島の沿岸部であり、たんぽぽや蒼太、みそらの姿があった。

「終わった、のか」

 感慨もなく呆然と呟く朱翔に答えるのは赤き声だった。

「ああ、終わった。君たちのお陰で地球を守ることができた」

 見上げた宙に赤と青の巨人が浮かぶ姿に目を見開いた。

「デュナイド、それにデュエンドまで、けどみそらは!」

「なんか知らんが、目が覚めたら分離してた」

「エネルゲイヤーΔが託した融合から分離した際、新たな肉体を再構築できたんだ」

「その副作用か、混ざり合った私とみそらの意識も分離したようだ」

 デュエヴォルとして一つに融合した影響だった。

「あ、デュネクス・ギアが!」

 朱翔とみそらの持つギアが粒子状に消失していく。

「もう変身ツールは必要ないってことか」

 安堵があった。寂しさもあった。ただ戦いが終わった現実感があった。

「二人はこれからどうするんだ?」

 危機は去った。これからの未来、巨人たちはどうするのか、朱翔は問いかける。

「まだ宇宙には弱者を虐げる悪が蔓延っている」

「エネルゲイヤーΔが生きていたように、姿形を変えた仲間が宇宙のどこかで生き残っている可能性もある」

「私たちは戦いながら仲間を探そうと思う」

「そうか」

 ただただ朱翔は首肯した。

 別れは寂しい。けれど、友を見送るのに涙はいらない。

 ただこの一言で充分だ。

「「またな、相棒」」

「「また会おう、地球の友よ、宇宙で待っている」」

 双子の兄妹の声が重なるように、赤と青の巨人の声も重なった。

 そして赤と青の巨人は、流星となって空を昇る。

「行きましたね」

「ああ、行ったな」

 遠ざかっていく赤と青の流星を見上げる朱翔の肩に白花が寄り添ってきた。

 未来を取り戻した。ただ守りたい人を奪還した。未来の可能性は不確定だ。けれども、一人ではない。共に未来を築き歩む相手がいる。信頼に値する友たちがいる。苦難が先にあろうと力をあわせれば進めると信じている。

 そしてこの瞬間、朱翔の中でとある目標が芽生えた。

「ぶわっははははっ! 脅威は去った! ならばこそ!」

「うお、びっくりした!」

 前触れもなく現れるは黒樫だ。降って沸いたように出現したことから誰もが驚きのあまりどん引きしていた。

「し、社長、あんた捕まったんじゃないのか!」

「残念だが、トムヤンくん!」

「いや、だから蒼太だって、くんしかあってねえし!」

「警察か自衛隊、どちらが確保するか揉めに揉めてのう。宙ぶらりんとなった時、世界は虹色に包まれたのだよ! そうしたら、あらびっくり!」

 黒樫はテンション高き声を急激に忍ばせれば朱翔たちに囁いた。

「エネルゲイヤーΔの秘密格納庫がキレイさっぱり、空の資材置き場に様変わりしていたのだ。損壊箇所どころか、巨大ロボットがあった痕跡すらキレイさっぱり。恐らくデュナイドたちの気さくな置きみやげだろう。お陰で証拠不十分で解放だ。ああ、エネルゲイヤーΔに助けられたのは偶然と言っておいたよ。加えて君たちに影響がないよう、ちょっと関係各所が嫌な顔するデータを流しておいから安心して欲しい」

 抜け目ない社長に誰もが苦笑するしかない。

「とういうわけでだ! あ、タブレット返してね、蒼太くん」

「だから、蒼太だって!」

「合ってるじゃないの」

 冷ややかなたんぽぽのつっこみを横に黒樫は返却されたタブレットを操作し内蔵カメラを自らの顔に向ける。

「世界中の諸君、ごきげんよう! 黒樫である!」

 前振りなく唐突に黒樫のネット生配信が開始される。

「諸君らに朗報を伝えよう! 巨大生物のお陰で延期に延期を重ねたダイギガントレイド、今より一ヶ月後に開催するぞ!」

「え、マヂ!」

「まあ怪獣いなくなればやるのは道理だけど、早くない?」

「よ~し、お前ら未プレイである俺様の強化今すぐ手伝え!」

 驚く蒼太、呆れるたんぽぽ、傲岸不遜のみそら。

 そんな姿に朱翔は笑みを零す。

 失った可能性があった。得た可能性があった。

 今、朱翔の手にあるのは無限に広がる未来。

「わたくしとして朱翔さんと二人っきりでゲームデートがしたいのですが、まあ昔みたいに五人揃って遊ぶのも悪くはないですよね」

「うん、悪くない。今は――今を楽しまないと」

 白花に首肯する朱翔はとある想いを抱いていた。

 宇宙を今一度目指すと白花に伝えればどんな顔をするだろうか。

 怒るだろうか、賛成するだろうか、尋ねてみなければわからない。

 ただ今は、取り戻した日常を楽しもう。

 今を謳歌しよう。

「よ~し、みそらの強化いくか!」

 朱翔のかけ声に誰もが賛同し拳を高く突き上げた。


 これはとあるインタビュー映像。

 一度は抹消されようと前触れもなくネットワーク上に浮上したライブラリデータ。

 インタビュアーの女性は、とある双子の宇宙飛行士に一つの質問をした。


 二人が宇宙飛行士を目指した動機は?


 双子の宇宙飛行士は満面の笑みを揃えて答える。


「「宇宙人と友達になること!」」


 これは柊朱翔・柊みそら、当時一三歳の映像であった。


           ――終――

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天装戦人 DUN∀ID こうけん @koken

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