第25話 中間試験一週間前
雪乃が高校に入って初めての試験となる中間テストまで、あと一週間となった。
「明日から、中間テスト一週間前となる。テスト一週間前から部活動は禁止となるから忘れないように。それと、みんなわかってると思うが四十点以下は補習があるからしっかりと勉強しろよ。」
この学校のテストの成績評価は、四十点以下が補習。年間を通して百二十点(中間期末は足して二で割る)を取らなければ進級を認められず、春休み期間のほとんどを補講や再テストを受けなければならない。
「テスト、大丈夫かな……?でも、部活が出来ないのは寂しいね。」
「まぁねー、放課後暇になるのはちょっとキツいも。」
「それは否定しないが、勉強しないと成績落ちるぞ。」
「授業聞いてれば五十点くらい勉強しなくても取れるくない?」
「わたしも毎日勉強してるから、あんまり関係ないかなぁ……。範囲がわかるんだったらそこを復習するだけだし。」
「羨ましいな……、俺にはとても真似出来ない。授業聞いてるだけで五十点も無理だな。毎回テスト前は必死に勉強だよ。」
「そんなこと言って、怜はいつも九十点くらいとってるじゃない。」
「それって凄いじゃん!」
「必死に勉強してるって言ってるだろ。何もせずにそれくらい取れれば苦労はしないさ。それに、文成先輩の方が凄いぞ。」
「そうなの……?」
「あぁ、気になるんだったらあとで聞いたらいい。」
「うちの学校じゃ、推薦枠とかもほとんどないしそんなに勉強頑張ってもなぁって思っちゃうな。」
「大学に進学するとしても、地元からは離れないと無いしな。ここに通ってる大半は家を継ぐだろうし、有名大学進学は他よりは求められてないからな。」
「進学かぁ……、わたしどうするんだろ。高校に通うことが目的だったし、身体のこともあるから……。」
「まだ悩むのは早いんじゃない?まだ二年だし。」
「もう二年だしな、気が付いたら受験期になってるさ。」
「怜はそういう所さえなかったらいいんだけどなぁー。雪乃もそう思うでしょ?」
「えぇ!?そ、そうかな……?」
「適当に聞き流しとけよ、いちいち反応してたら疲れるだけだし。先行ってるぞ。」
はぁ……。とため息をつきながら、悠誠は先に部室へ向かって行った。
「私達も部室行こっか。」
「みんなは中間テスト大丈夫なのか?」
そんな文成の何気ない一言が一人の心を傷つけた。
「怜と美咲は去年を見てる限り大丈夫だろうが、雪乃と一年生に関しては分からんからな。」
「わたしはなんとか授業についていけてるので大丈夫だと思いますけど……」
「けど……?」
「ちょっと私、用事思い出したので席外しますね……。」
「穂海ちゃん?逃げるのは良くないよ?」
「ゆ、ゆき姉……目が怖いよ……?」
「ちゃんと勉強しないと、また大変なことになっちゃうんだよ?」
「だ、大丈夫だよ!きっと……」
「まぁいいけど……。」
「なるほど……、穂海くんは勉強が苦手なんだね……。」
文成は少し考え、
「よし、ではみんなで勉強合宿なんでどうだろうか。」
とても素敵な提案をした。
雪の雫 -あなたの瞳に映る景色- 葵葉 @hazuki93
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。雪の雫 -あなたの瞳に映る景色-の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます