第6話 ウッキウキのロボ

ロボは呼んだら直ぐに帰って来た。


出迎えた瞬間『お待たせ! お義父さん!』と言われて殺しそうになったが、ギルマスたちが止めてくれた。危うく前科がつくところだった。


ハヤトの家でロボフェンリルが尻尾をぶん回している。いい子でお座りしているが可愛くない…デカすぎる…しかしララのためだ。


「ロボ殿、以前は俺も少々やり過ぎたと思っている…その節は申し訳なかった。都合のよい話だが、ララを助けるために力を貸して貰えないだろうか」

ハヤトとザザが頭を下げる。


「ワフッ! いやいやいや、あれは俺こそ悪かった。重症化する前に呼んで貰えてよかった。さっそく魔力をあげたいが?」

「………頼む」


ロボフェンリルの体から出た魔力の塊がララの眉間に吸い込まれていく。…ロボの体から出たものが可愛いララに…嫌すぎるが仕方ない。


苦しそうだったララの寝息がスピスピと楽そうに変わった。…ロボが必要だと認めざるを得ない。


「ララちゃん…良かった!」

マルセルが涙ぐむ。


「次は3時間後か?」

「大体の目安だ。様子を見て時間も量も調整する」


側で見守っていた雛子ギルマスも小次郎ギルマスも豊作ギルマスも安心したようだ。


「ロボ、また我を忘れるようなことだけはダメだぞ」

「ああ、小次郎ギルマスには迷惑をかけた。大丈夫だから心配すんな!」

「軽過ぎてめちゃくちゃ心配だよ…」


「本当にすごい効果だね、明日また診にくるよ」

「雛子ギルマス、新婚なのにすまなかった」

「医者の勤めだよ。当然のことだ」

以前はロボを追いかけていた雛子ギルマスは漁師の一郎と結婚して、幸せな新婚生活を送っている。


ララの様子を確認し、みんな帰っていった。

── ロボ以外は。


「ザザ、ララを頼む。ロボを部屋に案内してくる」

もちろんロボの部屋はハヤトたちの部屋から1番遠い部屋だ。

「ここだ。必要なものは大体揃っていると思うが不足があれば言ってくれ」


「家の中に1人暮らしに必要なすべてが揃っているんだな」

「祖父が弟子を取っていた頃に一番弟子が住んでいた部屋だ。風呂は母屋の方が大きいから向こうを使ってもらった方がいいな。ここの風呂はロボには狭いだろう。ここにもキッチンはあるが飯は用意するから一緒に食おう」


「俺も家事は得意だ。ハヤトは自宅勤務だが俺は暇だから家事をやらせて欲しい」

「そりゃあ、ありがたいが…」

「触っちゃいけないものとか、注意することはあるか?」

「調剤に関するものはだめだ。危険な薬品もあるからな。それらは全部仕事部屋に置いているから、ほかの部屋は問題ない」

「分かった。さっそく今日の夕飯から作ろう。キッチンについて教えてくれ」

話しながら人型に変化するロボ。相変わらずイケメンだし家事もできる。ロボは我が家のキッチン設備に大喜びだ。俺はIH派でキッチンには食洗機も完備しているしオーブンもメリケン製の大きめのを設置している。



「美味い…」

ロボお手製の石狩鍋は絶品だった。


「エゾは美味いものが多いから休みの日は食べ歩きで忙しかった。各地の市場でいろいろ買い込むのも楽しかったな。インベントリに食材を放り込んでいるから食事は期待しててくれ」

「食費はこっちで持つから請求してくれ」

…話し合いの結果、食費は折半になった。ロボはデカイだけあって大食いだった。


食事の前に魔力を与えられたララも美味しそうに鮭を食べている。魔力だけでなく食べて栄養を取ることも大事らしい。


認めたくないがロボとの同居は快適な予感がする。とりあえずロボの魔力でララが救われたことと同居についてSNSで発信しておこう。

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