12

 神殿の外側の世界は光に溢れている世界だった。

 思わずドナはその眩しい光の中でそっと目を細めて笑った。


「さあ一緒に行こう」

 そう白い子供の狼に言ってから、これから私たちはどこに行こうとしているだろう? とそなんことをドナは疑問に思った。

 でも、そんなドナの言葉を聞いて白い子供の狼は嬉しそうな顔をして、ドナのことをじっと見つめていた。

 だから、とりあえず行けるところまで歩いて行ってみようとドナは思った。

 私たちは、自由なのだから。

 これから、どこにだって行けるのだ。


 それからドナは白い狼の子供と一緒に光の中を歩き始める。

 やがて、その眩しい光の中にドナと、白い狼の子供の姿は消えて行った。


 ドナと白い狼の子供が消えて行った世界には、優しい風が吹いている。


 その風の中で、ドナがにっこりと笑った気がした。


 ドナ 終わり

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ドナ 雨世界 @amesekai

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