応援コメント

5 west or north」への応援コメント

  •  前回よりも読み進め、この作品の良し悪しを分析させていただきました。

     まず第一には作者様の描きたい構想というものがしっかりと確立されている点は天晴と言う他なく、細部にまで登場人物の姿を作り上げている事も、文章からすぐに察せられ、読んでいて非常に現実感を得ました。
     
     ただ、ここからが問題です。複雑な問題です。
     一つ、やっぱり独自名詞多すぎ問題。
     二つ、一コマの展開が早すぎ問題。

     順を追って説明すると、一つ目は前の感想にも書いたような気がしますが、ルビ、略語を多量に用いた文章の構成ですね。これが複雑な問題。
     言うまでもなく作者様の拘りと強みが前面に出た構成ですから、重要ではあるんですが……読み辛い。こればかりは理解力だとかそういう範疇を超えていて、文という情報媒体の限界であるように思えます。
     絵で説明されればすんなりと理解できることでも、事細かに、誰が誰に何で何をしたという文章を書けば、そしてそれが独自的だったり一般的でないと尚更、複雑になり、そしてその複雑性を解決するためにより説明すると今度は物語が停滞する。
     非常に厄介な問題です。

     この複雑さの先に有るのは二択です。
     ある程度の読者層に大変受けの良い作品。
     大衆に向けた作品として、自分の独自性を壊さずに分かりやすいよう練磨した作品。

     どちらが良いとか、どちらにした方が良いだとか、そういう事は絶対に言いません。ただ今の現状、二つ共を取ろうとして損をしている点がいくつか見受けられました。
     拘るなら、読者を置いてく程突き抜けた圧倒的世界観で魅了しこの世界の虜にする。
     書き方にアレンジを加えるなら、全体のスピード感を落とし世界観の構築をゆっくりと文にしていく。
     
     どちらかに寄る方が作品として、または技術として、より高みに立てると愚考します。

     そして二つ目、戦闘中や逼迫した状態での“動”が早すぎてもったいない問題。
     文や絵で緊張や圧倒を演出するときに用いられるのが“濃さ”です。たった一分の激戦であっても、当事者たちが感じるであろう全てを書き切り、言わば思考の渋滞を起こすことで物語の緩急を生み出し、一太刀であってもそこに一文では表せない迫力のある動を想像させることが出来ます。
     今の状態は緊張の間が流れるのが早すぎて、せっかくキリキリとした弦を張ったような演出ができているのに、弦張りの緩めが早すぎて拍子抜け、勿体ない。
     引っ張るところはもう少し張ったままでもいいのではないでしょうか。

     以上、ご一考ください。