第16回 書き出し祭り/3-3『ルゼの喝采、あるいはファランディールの偽典』感想
※小説家になろう様にて開催中の、第16回書き出し祭り参加作品への感想です。
キリスト教バリバリかと思いきやそういうわけでもなかったけれど修道院は出てくる。
まぁ、そんなことはこの物語の前には無粋ですね。
私には書けない文章の美しさよ……。好きです。
普段からこういった筆致で物語を紡いでいらっしゃる方なのでしょうか?
物語の題材や雰囲気にマッチした重厚な文体で最高でした。
本文自体が芝居がかっているというか、そういう部分もいいですね。
書き出しを読んだだけで、主席陣の学生生活が垣間見える(むしろそこも見せてほしくなる)のも、それだけ魅力があるのだなと唸らされます。
気になった部分としては、具体的な物語の大筋がどういうものなのか分からなかった部分でしょうか。私の読解力の問題かもしれません。
儀劇院を卒業し、修道院にいる妻を迎えにいく。あらすじから想像されるのは、妻からの拒絶の言葉。恐らく、主人公の恋心はエメリからすれば父親の筋書きをなぞっているだけで、セロの主体的な感情ではないということなのでしょう。もちろん、自分の想いも。
未完の聖劇に記されていることが現実になっていることを恐れ、聖撃を完成させてその呪縛から逃れようとするエメリに対し、主人公もまたエメリとは異なるアプローチで(二人で幸せになるために?)聖劇を完成させようとするのでしょうか。
それだけであれば私も引っ掛からなかったと思うのですが、父親のファランディールが”殺された”という一文がどう絡んでくるのかが分からなかったのです。
壊れかけた関係を丁寧につくろうという部分に、ファランディール殺害の真相が絡んでくるのでしょうか?
ファランディールの死の真相というものは、きっと物語の重要なポイントになるであろうと予想されるのですが、あらすじにはそのとっかかりになりそうなヒントがありません。
本文にも。もしかしたら、それほど重要ではない?でも重要でないのなら、病死だっていいはずなのです。むしろその方がスッキリするでしょう。だから”殺された”理由や犯人はきっと重要なのに、あらすじ最初の一文とヴィオのセリフに少しだけ。
本文で語られるのはきっとまだ先だと思われるので、せめてあらすじに匂わせてくれていたら、続きへの期待(妄想ともいう)がより深みを増したのではないかなと思いました。
ともすると重すぎる物語ですが、ヴィオとマリーセラを清涼剤に進んでいってほしいなと思います。
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