書籍化間違いなしの一級品

読み終わった後、わたしは、作品の完成度の高さに舌を巻いてしまいました。
レビューを書きたいけど、この作品の奥深さを語るには、一朝一夕の言葉選びでは足りません。それほど、この作品に“当てられてしまう”人は多いはずです。

まず、個性的で謎めいた主要人物たち。彼らのことをもっと知りたくて、ページを捲る手が止まりません。
そして、挑戦的な題材。社会問題、世間を揺るがせた大事件、読む方によっては、もしかしたら受け入れ難い内容かもしれません。ですが、各題材ごとに、作者さんなりの結論に結びつき、読了後には、肉の塊を飲み込んだかのような、ずっしりとした感覚が胸に残ります。
ですが、なんといっても、「写真」というテーマによって、さまざまな「人生」が、掘り起こされていくのが魅力です。実際、本当の自分を隠す「仮面」を被って生きている人が、どれほど多いかわかりません。ですが、そんなみなさんには、今作が勇気と別れをくれるはずです。

どちらかといえば、制服を脱いで社会に飛び出し、青春やファンタジーを卒業した頃の読者さん向けかもしれません。

間違いなく、この作品の作者さんは、今後大物になります。今後の10年がとても楽しみです。

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