Different is beautiful

茉莉花 しろ

自分について語ってみる

私、この話の作者であるJasmineは小さい時から変わり者と言われていた。

人とは違った感性を持っていたからなのか、はたまた親が変わり者だからなのか、未だにその原因は分からない。

それでも、自他共に認める変人であることには変わりはないのだ。

今もそう。いきなり思いついてこんなことを書いているんだから、この国にいればかなりの変人だろう。


そんな私は人より変わっているせいでよくイジメのようなものに遭っていた。

今では笑って話すことも出来るが、その時の気持ちなんて普通の人だったら想像するに容易い。しかし、私は運が良かったのか、力が元々強く、剣道の経験者であったため、暴力的な行為を振るわれることは一切なかった。今思うと、さすがに腕っぷしで敵うとは思わなかったのだろう。

そんな私がよく遭っていたものは「シカト」と言われる精神的な攻撃だった。さらにそこに加えられるように「悪口」も追加された。それに関しては、本当に精神が削られる思いをしたのを昨日のことのように覚えている。

イジメなんて、何回遭ったことか。初めの方はそれはそれは傷ついていた。相手からしたら、さぞ嬉しかったであろう。散々悩んだ挙句、私がたどり着いた答えが「諦め」だった。親に言っても無駄、先生も頼りにならない。自分だけを信じるしかないと思っていた。そして、徐々にその環境に慣れてしまい、ついに「ああ、またか。」と思ってしまうようになった。


完全な「諦め」だった。何も信じず、頼らず、このままでいいと思った。


幸運なことに、その間にも私のことを助けてくれた人が大勢いた。私を必要としてくれ、仲間と友達に出会うことが出来た。


しかし、私が変人であることに変わりはなかった。

このまま、一生この肩書きと一緒に過ごすことになってしまうのか、そんなことも考えていた。


世間から見た私は、「社交的で」、「明るくて」、「努力家で」、「良い子」らしい。でも、私はそんな風には思えない。ここに書いてあるのを見ればわかるが、自己中心的で、暗くて、承認欲求が人一倍強い人間だ。頑張るのは、私自身の価値を認めて欲しかったから。それ以外に理由なんて存在しない。


ここからが本題。昨年、私が留学した時のお話。


私は、自分の大学のプログラムを使って中国へと留学した。英語専攻で勉強しているが高校から勉強している中国語を本格的に学びたかった。

ただそれだけの思いで私は日本から出た。


そこで知り合ったのは、同じ部屋のスペイン人だった。いわゆる、ルームシェアってやつだった。向こうでの生活はなれないことがたくさんあった。このスペイン人の女の子達は素直で活発的な女の子だった。私とは、正反対。そんなことを頭の片隅で思っていた。


しかし、ある日。現地での日本人留学生との間でわだかまりが発生した。これに関しては私にとっての問題であったが、これがかなり私の精神を蝕んだ。留学していて忘れていた感覚。自分は「変人」であるということ。全てを受け入れてくれるルームメイトに私は気を緩めていた。

そこで私は情けなく泣きながら彼女達に話した。私の拙い英語で必死に伝えた。


「私は、日本にいると「変人」「頭おかしい」「お前と一緒に居たくない」と言われる。それは、私が「普通」じゃないから。普通じゃないから、皆んなに無視される。私はここにいるのに。私って、変なのかな?頭おかしいのかな?分かんない。何も分かんないよ。」


こんな感じで話していたと思う。

柄にも無く泣いて喚いて、ルームメイトに必死に伝えた。

ただただ聞いて欲しくて、私の心の叫びを誰でもいいから聞いて欲しかった。

その一心で話したんだと思う。

私の話に対して、一人のルームメイトは私を抱きしめて言った。


「ねえ、Jasmine。あなたは変じゃないよ。頭がおかしいなんて、そんなことない。あなたのその性格は個性なの。絶対に変じゃない。そんなこと言う人がいるなら、私が怒るわ!」


私の代わりに怒っている彼女の顔を私は見れなかった。目の前が歪んで、霞んでいた。そのままルームメイトは続けて言った。


「いい、Jasmine。世界にちょっと変わった人がいるからこの世界は面白くなるの。同じ人ばかりじゃつまらないでしょ?だから、あなたは変じゃない。」


「この言葉を覚えておいて。

         

          Different is beautiful

   

この言葉のように、色んな人がいるから世界は面白いの。わかった?」



その時にはもう私の目からは大きな雫がたくさん落ちていた。彼女の服を汚してしまったけど、そんなこと彼女は全く気にしていなかった。強く強く抱きしめてくれる彼女は私より細く、小さな背丈だったが、私にとっては温かくてどんな人よりも逞しいと感じた。


それからだった。私は、自分自身を受け入れて、私を好きになり始めた。

そうすると、今まで考えてきたものが馬鹿みたいに思えてきた。

同じことを強要して、大人数が強くて、声が大きい人の方が勝つ。いつだって少人数の方にいた私はこれが大嫌いだった。少人数にいた自分も大嫌いだった。自分は何で「普通」じゃないんだろう。何で、みんなと異なっているのだろう。そんなことばかり考えていた。


しかし、これを学んだ私は考える。


「普通」って何だろう?


人によって違うし、基準も変わってくる。


「普通」を押し付けることによって、苦しい思いをする人もいる。


私のように、私以上に苦しんでいる子供達や大人達にも知ってほしい。


「Different is beautiful」


ちょっと変わった人が世界を面白くしているということを。

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