【雑記】13時11分

 チョコレートの生成依頼は今日で13人目だ。

 隻腕の、身なりのいい少女が涙ぐんだ様子でウェイターに話しかけ、返された麻袋を手にしていた。衛生的な問題だ。美味しく食べるのであるなら、消毒と人工血液を用いた上でだが、尚早にしてしまったらしい。

「嫌よ、人工血液だなんて私じゃないじゃない」愚図りかけた少女に、ウェイターは慌てて説明した。人工血液にも種類はあること、確かに成分は保存性の高い漿液を使用するが、好みによってはフレーバーを血に含ませられる。

 少女は頷いては渋々了承した。その後リクエストにシナモンとロゼワインを注文したという。年頃なのだからステーキとして頼めば喜ぶだろうにと思ったが、言う義理はあるまい。

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