美食礼讚 #四字物語

【調理】洗礼のフルーツタルト

【洗礼のフルーツタルト】

依頼人

浮光の都の主人(3フィート)

バター

グラニュ糖

姑獲鳥の卵

薄力粉

卵黄

グラン糖

「双脚羊」の母乳

扁梅の粉

カットフルーツ(イチゴ、バナナ、キウイ、【聞き取り不能、特産品】、ファズベリー、少昊、皇女の眼球)

──君たちならもう知っているかもしれないが、我が都は程ほどに安定しつつあってね。元々穏健派ではあった私にとっては、ここ最近の平和には胸を撫でおろすばかりだよ。

　それで、使用人の親族にも不幸があって色々と慌しくなったから、一人働き手が欲しくなってしまったのだけれども、丁度そこに女の子がやってきてね。大分姪も大きく育ってしまったし、侍女も年を召し始めていたころだから、娘が出来るようだって皆賛成してくれたんだ。

　それで、今度新入りの彼女のお祝いに作りたいのだが……その子は人間でね、おそらくあの隣国の戦いから逃げ延びたのかもしれない。身寄りがいないとは聞いていたから、せめて生かせるような手立てが欲しいが……ほら、私たちは化物だろう？少しこの見た目じゃあ醜いだろうから、少しばかり彼女の目を抜いて休ませようかな、と。

　最近腕の立つ職人がいてくれてね、洞窟の精みたいに目が痕跡器官で退化とか見えないものに他の感覚で補完してくれる、みたいな眼鏡を丁度作ってもらうんだ。だからそれまでは彼女には休ませたり、今後働きづめだろうから遊ぶのも良いかもしれない。

　フルーツタルトは、豪勢に作ってくれよ？無論彼女は一度だけしか見えないかもしれないが、こういうのは真心が大事って言うからね。何も見えないなら、うんととびきり綺麗なお菓子で胸いっぱいにして食べてもらいたいんだ。

　……ああそうだ、彼女の目、阿蝶みたくとても赤くて綺麗だろう？材料は私が出した特産物の他に、何か君たちにとって綺麗で赤い物もいれてやってほしいな。

　彼女が成人になる時が楽しみだな、ロゼワインの準備もするから、その時もよろしく頼むよ。