朝起きて文句を言いながら朝飯を食べた。

制服を着て、友達と馬鹿話をしながらメンドクサイ学校へ行った。


下駄箱で靴を履き替えていると廊下で人だかりが出来ている。

いつもは威張り散らしている教師も慌てながら動いている。

近くの人に話を聞くとうちの男子生徒の自殺らしい。

誰が死んだのかそいつは知らなかったが、授業が潰れてラッキーだ。

しかも、平凡な日常では味わえない。

友達とあいつか、いやあいつだと死ねばいい奴を挙げてった。

取材とかにどう応えるか、TVに出れんじゃんと盛り上がって楽しかった。


その場で騒いでいると階段からの声がひと際大きくなった。

女生徒が教師に支えられながら、いや抱えられながら降りてきて教師が怒鳴りながら保健室への道を切り開いている。


「あの女性とが死んだのか?」

「いや、男子が死んだんだろ。」

そうこうしているうちに救急車のサイレンが聞こえ、生徒は全員道具を持ちながら教師に体育館へと誘導された。


中年の教師は

「後で説明するから、静かにここで生徒は全員待機だ。」と告げると出て行った。


体育館は一層騒がしく全員がこの話題について知っている情報を話し合っていた。

非日常が味わえる事から俺らも他の奴らも興奮して全員が心配より、楽しんでいるもんだと感じていた。


いつもなら朝礼が終わる時間になって教師が続々と入ってくると

教師からの説明が始まった


「悲しいお知らせです。

本日、もうみなさんも知っていると思うが我が校の生徒が一人亡くなりました。

2年4組の田中仁君です。

今は警察の方が自殺した教室で捜査をしています。

2年4組の近くには近づかないでください。警察の方の邪魔になります。

ですので、2年4組は先生の指示に従って空き教室で授業を行ってもらいます。

みんなさんも悲しいとは思いますが、落ち着いて行動してください。

なお、気分の悪くなった人はすぐに先生に報告してください。」


 教師が田中仁と言った後から周りからの視線がきつくなった。

確かに俺らはあいつに頼んで道具を持って来させたり、多少小突いたりした事もあった。

だけど、あいつも笑っていたし。あいつも一人でいるより俺らと居れて楽しんでいたはずだ。

周りの奴らだって俺らのしている事を見て笑っていたし。俺らだけが悪いわけじゃない。


昼休みに放送で本日の部活動は全て中止にすると放送で流れた。


下校前のホームルームで担任から

「辛い人は書かなくてもいいです。もし何か田中君について知っている事があればこの紙に書いてください。 名前は書かなくていいです。  書いたら先生が回収しに行きます。」


何も書かなかった。

周りの奴らも書きはしないだろう。

別に俺らじゃなくて何か別の原因で死んだんだろう。


足早に学校から帰宅して、テレビを見た。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る