第一章、転生?転移?大自然広がる世界
第04話 初めての朝
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいよいよ始まりました、ベルリバーさんの異世界散歩。
森の中からちっとも出ていませんが、果たして、外に出られるのはいつになるのでしょう?
まだ、アイテムボックスに手をつっこめるということすらわかってない状態。
きっとそれが分かったら劇的に色々と変わるのでしょうね。
それまでは慎ましく行動することかと…ガンバレ、至高の方々のお1柱(ひとり)
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…それはひどく衝撃的でありつつも、決してイヤではない驚きだった、なぜなら建物の所々から、光が差し込むのだ。
朝の目覚めで、目覚ましのアラームのような乱暴な音ではなく、獣たちの鳴き声、鳥たちのさえずり…そういった諸々の音が優しく起こしてくれたのだ。
あのくそったれの元居た世界では、もちろんこんな気持ちのいい太陽の光など、見たことはなく常にどんよりとした空の色、それが当たり前だったのがおかしい世界だったのだと今更ながらにして思う。
死獣天さんや、ブループラネットさんは、よくこういう話をしてくれていたな…とかつての仲間を思い浮かべながら、ポカポカとした暖かさに心を奪われたような心境で陽の光を身に受けて思っていた…そうだ、あの二人はこれのことをこう言っていたな、たしか「朝陽」っていうのだったか…
よく自然に関しての話になるとタブラさん並に話が長くなってしまう程リアルでは自然愛好家だったギルメンと、本職は大学教授という一面を持つ仲間を思い浮かべ、今後はいろんな面で彼らのウンチクが役立つことになるのだろうと他人事のように思っていた。
なにせ著作権の切れた、輝かしい栄光の作品の数々や、歴史の本などでしか「自然」なんてものを知らなかった自分でさえ、その調和のとれている芸術的な美しさにしばらく呆然としてしまう。
気がつくと、ぐぅぅぅ~~とお腹の音が鳴る、さすがにこの身体でも腹が減るとお腹が鳴るんだなぁ~となんだか可笑しかった、とりあえずは寝てる間、敷き布団代わりにしてた落ち葉でも食べてみようか…さすがにこれは毒なんてことはないだろう、と一人で考え、納得し、ひとつ「うん」と頷くと箱の中の葉っぱを手に取り口に突っ込んでく。
捨てられた木箱の中であぐらをかく異形の者、体中に口がある…かろうじて人の形だと認識はできる身体で、葉っぱをモシャモシャ食べているその姿は、よその人が見たらかなりシュールなのではないだろうか…
【大喰らい】を二つ名に持っていたとはいえ、葉っぱばかりではノドが乾いてくる…水が欲しいなぁ~…なんて思いながら葉っぱに手を伸ばしていると唐突にずるりとも、にゅるぅとも言えない変な感触が手首までを包み込んでいる。
…なんだろうこれ?と思っていると手に何かが触れる、ひんやりとしていて、特に動くモノではないようだ…
なにが出てくるのだろうと思って引っ張り出してみると…これは確か…[
これってたしか、アイテムボックスに入ってたものだったはず、なんでいきなり?と思いつつもノドが乾いていたので、今となっては体中の至る所にある口、その一通りに水を流し込んでいく、きっと腹がちゃぷんちゃぷんになっても水は尽きないだろう、これはありがたい。
ありがたいのはいいが…どうしよう?
これってどうやってしまえばいいんだ?
仕舞いたいんだよなぁ~~…なんて思いながら…[
「だから、なんだよこれ?なんなんだろう?」と不思議に思っていると、どうやら出せるばかりじゃなく仕舞えるようだ。
もしや…と思い、昨夜、間に合わせの武器として入手しておいた斧を手に持ち、心の中で「これ保管したい」と念じながら空中に持ち上げると、再びあの暗い空間が勝手に開く。
斧をそこに入れてそっと手を離すと…どうやら置けたようだ。手を抜かずに頭に斧をイメージするとそれが手に触れる…あぁ、これ[
ギルド長に教えられて、[
500kg制限という重量の限界はあるが、1つの[
たしか、メインの[
…でも一つのアイテムの重量が500㎏を超えるものなんてあったら、それは入らないんだよな…総重量5トン超えって言っても、500㎏まで入る袋が11個あるってだけなんだから…そこはちょっと不便だけど…
なんて思いながら、それなら中に入ってるユグドラシルでの武器もあったりして♪
とか思い付き、「武器、武器~♪」とかイメージしながら手をつっこむ要領にも慣れてきた…
そうすると、一番思い出したくもない武器を触ってしまった。
イヤな物、思い出しちゃったなぁ~…と思いつつも仕方ない…。
気を取り直し、ずるりと引き抜くとやはり…これはギルドよりも前、【クラン】だった頃からメンバーに居た「始まりの9人」の1人。鍛冶師だったそのギルメンから、私のギルド入りを記念してという名目で、もらった最初の武器だ。
しかし…ただ単に鍛冶師の彼がクランに入って最初に作った武器だけど、捨てるのも惜しいからという理由なだけだったと…後から、るし★ふぁーさんから聞いたときは、微妙な気分になったっけ…。
しかも、武器に名前まで付けられてるから、課金してまで名称変更する気も起きずにず~っと倉庫行きになってたんだよな…この「あまのまブレード」
なんでこんな名前なんですか?って聞いたらクランリーダーの提案と自分の記念すべき自作武器、クランみんなで入手した材料の中から作った第一号ってことで、その名前…ってことだそうだ…
(理由になっていないような気がしたけど、胸を張って言われては「そうでしたか…」としか言えなかったよな…。)
話によるとリーダーの好きな特撮ヒーローというジャンルの中で、刀身の出し入れ可能な、剣の持ち手に逆の手を添えて、武器の名前を言いながら、刀身のイメージをなぞることによって、光り輝く…なんだっけ?
れぇざー?なんちゃらとか言ってたような…
そういう武器を使うヒーローがいたそうだ。
わざわざ、ご丁寧にその仕様まで組み込んであるものだから恥ずかしい…
刀身をしまう時は何も言う必要がないのに、戦う時は居合みたいなポーズをとりながら「あまのまブレード!」なんて言いつつ刀身を出さないと、そもそも武器としての機能を充分に発揮してくれない様に作られていた。
刀身を出さない場合、その攻撃力は上級武器のダガー程度、しかも属性は斬撃ではなく殴打、まぁ、刀身を出していないのだから必然的にそうなるんだけど…、自分で戦える武器を見つけるまで、ユグドラシルではこの武器で戦うしかなく、刀身を出すポーズと武器の名前を言うたびに、よくネタにされて笑われたりしたっけ……特に誰とは言わないけどさ!!
ギルドを去る時、ギルド長に主装備を預けちゃったし、予備用の武器は売っちゃったり、欲しいってメンバーに譲ったりしたからなぁ~…何が残ってるのか自分でも覚えてないや…、たしかギルドのみんなからプレゼントしてもらったり、譲ってもらったものとかはずっと残してあったはずだけど…
ユグドラシルの時みたいに目の前にアイテムボックスのサムネイルが広がってくれると一覧でわかりやすいんだけどなぁ~…まぁ思い出せないのは仕方ないし、小声でも大丈夫か、やってみよう…。
確か、本来の刀身が出れば攻撃力は
「……えぇぇ~~~~?」
しばらく四苦八苦しながら繰り返してると、この世界では小声が一番攻撃力が小さく、声を大きくするごとに強力な刀身になっていくらしい…ちなみにもっと恥ずかしい機能にも気がついて…というか、思い出してしまった。
なんでこんな機能つけたの…「あまのまひとつ」さん…勘弁してくださいよぉ~…そう言って朝から頭を抱える異形がそこに居たのであった。
その「恥ずかしい機能」とは…
クランリーダーがまだ最強の称号を持っていない時代、必殺技みたいなのを言えたらカッコいいんじゃない?
という理由で組み込まれていた機能の1つ。
「あまのまダイナミック!!」
と叫ぶことで、完全耐性以外の全ての耐性無視、斬撃耐性も完全耐性以外は無効化され(上位物理無効化などのLV限定の耐性は有効)
防御力無視の200%攻撃
しかも神聖属性で、それを苦手とする負の属性(アンデッドなど)にはさらに追加で1.25倍のダメージが加わる。という…強力ではあるが、あまりうれしくない攻撃方法である。
何も知らないのに、なぜそのパワーワードが分かったのかというと<道具鑑定アプレイザル・マジックアイテム>で確認したら、仕様にそう書かれていたから、という理由だ。
とりあえず、気は進まないけど、必殺技ってやつ、出せるか練習してみるか…
いつどんな敵と遭遇するかわからないしな…
しかも、いざ必要って時に出し方がわからない、発動条件があった。
なんて隠し要素でもあったら、今から知っておかないと「詰み」になっちゃいそうだからな…
そう重い腰を上げ、まだ太陽の光がまぶしい、さわやかな朝の中、滑稽な叫びをあげながら、ひたすら剣を…あらゆる角度から、あらゆる方法で、色んな体勢から素振りを繰り返す「異形の者」が居たという。
何度もの素振りは、いくら発声して、振り方を変えてもなかなか技が出てこなかったからである。
彼がその「必殺技」を正しく引き出せるまでにはまだまだ時間がかかる様子だった。
そんな彼のそばに、すぐ近くまで…何者かが近づきつつあることにも本人は気づかず、彼は熱心に試行錯誤をひたすら繰り返していたのだった。
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補足説明
あまのまブレードが刀身を出さない場合、つまり「握り」の部分だけを武器として使う場合は、ユグドラシル基準で言うと「上級」と書きましたが。
そこらへんをよくわからない、という人用に簡単な説明。
・最上級(ハイレア) HR
・ 上級(レア) R
・ 中級(ハイノーマル) HN
・ 下級(ノーマル) N+
・最下級(ノーマル) N
という感じで下から攻撃力や、レアリティが高くなってく感じだと思って下さい。
「最上級」より上に行くと、そこでようやく「
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